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病牀二十一貫

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短歌集「病牀二十一貫
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2021年5月の記事一覧

【短歌日記】 「病牀二十一貫」17−1

【短歌日記】 「病牀二十一貫」17−1

リハビリは退院するまで続けたい何かゞ足らぬ不安に怯え

早朝にスピッツ六本採血し病気は完治とお墨付き来る

退院しあれもこれもと待ち望む全てが更に遠のいていく

【短歌日記】 「病牀二十一貫」16−2

【短歌日記】 「病牀二十一貫」16−2

より強いコルセットひとつ注文し完成までに入院延びる

できるだけ横にはならず座るよう言われてもなお腰鎮まらず

部屋を替え新たな窓の正面に懐かしき我が家の灯が点る

【短歌日記】 「病牀二十一貫」16−1

【短歌日記】 「病牀二十一貫」16−1

退院の日は遠のいて伏す度に廊下で狂女の叫びが響く

朝晩と止まることない断末魔心の病新たに誘う

痛みなら日を追うごとに増してゆき不安と共に夜が深まる

【短歌日記】 「病牀二十一貫」15−2

【短歌日記】 「病牀二十一貫」15−2

面会で外から来てる人の服見ては季節の変わり目を知る

体調で見ずともわかる曇り空退院予定の日もまだ見えず

腰椎の壊死止まらずに進行と現実を知る中秋の夜

【短歌日記】 「病牀二十一貫」15−1

【短歌日記】 「病牀二十一貫」15−1

毎日のワークアウトが退院を早めてくれると信じたかった

自分以外患者はすべて狂人か人事不省と思い続ける

腰以外快方へとは向かえども何か変化の兆しは見えず

【短歌日記】 「病牀二十一貫」14−2

【短歌日記】 「病牀二十一貫」14−2

シャワー浴び想像以上に腰痛めさっぱりしながら脂汗かく

偉そうにその腰一体どうしたと言葉遣いも知らぬ老人

エアコンの空気冷たし夜更けには熱いコーヒー恋しく思う