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雑感日記「おかしな日本語」

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「おかしな日本語」シリーズ連載分をまとめてマガジンにしました。
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【雑感日記】 「おかしな日本語」(20/終)

【雑感日記】 「おかしな日本語」(20/終)

 これまで「おかしな日本語」というテーマで最近の日本語について書いてきました。最終回の今日はその本質についてかなり難しい話をできるだけ理解してもらえるように書いてみます。

 この日本語シリーズの主なテーマは「言語は変化するが、それで本当にいいのか」という問いかけでもありました。実際にどのように言語が変化したのか、それを知るには戦争直後の古い映画などを見ればその変わり様は明らかです。

 たとえば

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【雑感日記】 「おかしな日本語」(19)

【雑感日記】 「おかしな日本語」(19)

 今回は以前にも紹介した「みたいな」とよく似た用い方をされる言葉を紹介します。まずは例文です。

あの人今日休みはるて言うとった、知らんけど。
今日午後から雪が降るんだって、知らんけど。

 最近徐々に耳にするようになってきた言葉でもある「知らんけど」。もとは関西方面の方言の一つだと思いますが、それが最近関東地方でも耳にするようになってきました。とは言ってもまだまだその頻度は少ないですが、関西地方

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【雑感日記】 「おかしな日本語」(18)

【雑感日記】 「おかしな日本語」(18)

 今回は平気だと言う人も比較的多い言葉の変化を紹介します。まずは例文を紹介します。

あのラーメン屋の盛りガチやべぇよ。
こないだの写真ガチ賴むよ。

 わかりますね、使ってませんか「ガチ」を。なんでしょうねこの「ガチ」って。今から5年以上前くらいからだんだんと耳にするようになってきました。元は「ガチンコ」という真っ正面から受け取る意味合いがあったものだと思われます。物がぶつかる時の音が「ガチンコ

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【雑感日記】 「おかしな日本語」(17)

【雑感日記】 「おかしな日本語」(17)

 今日はここ数年でかなり耳にするようになった形容詞的表現を紹介します。まずは例文から。

 役所の神対応。
 あいつの手際よさは神だろう。
 
 もう一回改めて考えてもらいたいのは「神」の多用によるその価値の低下です。人それぞれの意識にもよるでしょうが、「神」というものは「もうこれ以上はない絶対的な存在」なのです。大したこともないがちょっとすごいと感じたことにすぐ「神」を用いるのは神様の乱用でしか

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【雑感日記】 「おかしな日本語」(16)

【雑感日記】 「おかしな日本語」(16)

 今日は文字ではなくて音の話です。かれこれ30年くらい前から日本語(標準語)で気になるイントネーションの移行が始まっています。イントネーションの表現は文字では難しいのでひらがなとカタカナを使って説明します。以後例の中でカタカナは高いイントネーション。ひらがなはカタカナに対してイントネーションが下がるということにしましょう。

 この表記でいくつか例をあげます。
桜[さクラ]  紅葉[モみじ] パパ

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【雑感日記】 「おかしな日本語」(15)

【雑感日記】 「おかしな日本語」(15)

 今回は自分が特に嫌だなと思っている言葉遣いを紹介します。まずは例文

事前割引が適用する形で総額で八千円割引という形になります。
失言した議員が記者会見で謝罪をする形で一件落着した。

 わかりますか、そうです「形」です。何にでも形を用いて処理するこの言葉遣いは言ってしまえば頭悪いなこの人という印象を強く与えます。何でもかんでも形で終えるということは以前書いた「やつ」などと同様、汎用表現でもある

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【雑感日記】 「おかしな日本語(14)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(14)」

 今日紹介する言葉もついつい使ってしまう表現の1つです。まずは例文をご覧ください。

ジャガイモを一口大に切ったらフライパンで焼き色をつけてあげてください。
このどら焼き、お母様に食べさせてあげてください。

 一見とても丁寧な表現にように聞こえてきます。ところがよく考えてみるとおかしい事に気づくかも知れません。正解を先に書きましょう

ジャガイモを一口大に切ったらフライパンで焼き色をつけましょう

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【雑感日記】 「おかしな日本語(13)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(13)」

 今日紹介する用法は最近になってかなり問題だと思われている表現だと思います。まずは例文を紹介します。

こちらが限定品のチョコレートになります
ご注文の品が明日到着になります

 これらの言葉遣いに違和感がない人は恐らく同じような言葉遣いをすることだと思います。しかしその言葉遣いに妙に敏感な人もたくさんいて、それにより他の人を苛立たせてしまうこともあります。

 例文は2つとも「なります」で終わっ

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【雑感日記】 「おかしな日本語(12)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(12)」

さて、今日は口語でよく登場し、非常に鬱陶しいやと思いつつも自分でもたまに口をついて出てしまう言葉を取り上げてみたいと思います。例はこちら、

なんか5Gなんて言ってるけど見たことない。
急に暗くなってなんか怖いんだけど。

と話しますよね、その「なんか」って何でしょう。

 皆さん。「なんか」なしで会話ができますか。あなたの話し言葉には「なんか」が知らず知らずのうちに混ざり込んでませんか。これ、ひ

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【雑感日記】 「おかしな日本語(11)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(11)」

 これまで比較的話し言葉を中心におかしな日本語の例を書きまたけど、今日は書き言葉にのみ登場するおかしな日本語について書きます。
まずは例文です。

またメールちょうだいww
おはようっ!!!!
ぉやすみ。
今日ゎ日曜日。

 これ以外にもネットのログを見ているとへんてこな表現が氾濫しています。しかしこれらの大半はいずれ下火となるのはわかっているので特に取りざたしてどうのこうのというつもりはありませ

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【雑感日記】 「おかしな日本語(10)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(10)」

 今日は曖昧表現の中でもおかしな表現を紹介します。まずは例文です。

僕的にはその意見とかに賛成だけどね
どうせ飲むのならビール系かな

 例文の「~的」というのは「~の見地では」というような意味合い。たいていは人格、人称代名詞などと「的」をつけるものです。ではどうして「的」なのかというと「的」という言葉そのものが用いる単語を限定しなくなったからではないかと思われます。つまり何にでも「的」をつけれ

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【雑感日記】 「おかしな日本語(9)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(9)」

 今日は言葉の簡略化によって生まれた変な言葉をいくつか紹介しましょう。まずは例文です。

最近キモい政治家が勝手なことばかり言っている。
あいつこの一ヶ月で7人に告ったんだって。

 まず「気持ち悪い」を簡略化して「きもい」「気色悪い」を簡略化して「きしょい」、もうすっかり定着して日常会話にも登場します。

 こういった短い単語は一度使われるとそれまでの正しい形が長くてまどろっこしく感じられるもの

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【雑感日記】 「おかしな日本語(8)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(8)」

 今日はみっともない語末表現である「みたいな」について書いてみます。この言葉はすでに30年近くも前から多用する人が増え、口癖にしている人は相当な数に上ると思えます。だいたいこの言葉は知らず知らずのうちに口に付き、使っている本人はしつこく使っているという意識を持っていないと思われます。しかし使わない人はそれが気になってしょうがないものでもあります。

 「みたいな」はどちらかというと無意識のうちに口

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【雑感日記】 「おかしな日本語(7)」

【雑感日記】 「おかしな日本語(7)」

 今日はまず例文からです。

A:ぶっちゃけアイツの言ってることって説得力あるよね。
B:その方法、ぶっちゃけ失敗しか見えないよ。

 今日は21世紀に入ってからかなり耳にし、テレビにまで登場したおかしな日本語を紹介します。それは「ぶっちゃけ」です。流行る流行らない以前の問題として、音感として非常に醜い。「とても」の代わりに「チョー」が取って代わるのと同じようにいつしか「ぶっちゃけ」が市民権を得て

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