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自由律俳句集「食べられる退屈」

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拙作自由律俳句集「食べられる退屈」の過去投稿分を集めました。
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2022年2月の記事一覧

【自由律日記】「食べられる退屈(83)」

【自由律日記】「食べられる退屈(83)」

 存在の軽さ較べ瞼なお重くなる

 爆竹でアリの巣拡張工事

 たゞならぬ角度で本開く

 どこまで似る似たもの同士

 春の緩みのせいにしておこう

【自由律日記】「食べられる退屈(82)」

【自由律日記】「食べられる退屈(82)」

 東京ブギウギの東京はもはやない

 夢砕けギターばかりが饒舌になる

 サクランボ遅れて恋歌う

 一緒に騒いでも独り

 諭すように歌い失笑買う

【自由律日記】「食べられる退屈(81)」

【自由律日記】「食べられる退屈(81)」

 手伸ばし草原の先

 風吹く丘に降り立って

 風邪福岡に蔓延って

 桜散る 夢の種結び

 忘れたいことなど今日だけでも両手に余る

【自由律日記】「食べられる退屈(80)」

【自由律日記】「食べられる退屈(80)」

 依存の前に手を引きたかった

 火をつけて逆だと初めて気づく

 誘惑にも負けない貧乏具合

 しくじって次どうするか迷う

 乗り遅れ狼狽えて草履脱ぐ

【自由律日記】「食べられる退屈(79)」

【自由律日記】「食べられる退屈(79)」

 踏んではいけない物を踏む

 満月見て左足だけ踊る

 足止めて表札見る

 寄せ集まりでも鮮やかな色成す

 石畳の道に迷う異国の異教徒

【自由律日記】「食べられる退屈(78)」

【自由律日記】「食べられる退屈(78)」

 紅い薔薇神経質そうに咲く

 暗闇でイガを踏む

 一歩踏み入れ異臭

 何かゞ起こる前二つ三つとくしゃみ

 素手で持てない物を持たされ

【自由律日記】「食べられる退屈(77)」

【自由律日記】「食べられる退屈(77)」

 名曲の作曲家名前も思い出せず

 整髪料いらなくなった春

 気づかれず霧の声に耳塞ぐ

 店見つけても欲しいもの見つからず

 行列の先頭が気にかゝる