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自由律俳句集「食べられる退屈」

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拙作自由律俳句集「食べられる退屈」の過去投稿分を集めました。
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記事一覧

【自由律日記】「食べられる退屈(88)」

【自由律日記】「食べられる退屈(88)」

さびりかげでもなんじょもなんね

残暑の道端で西瓜切る

眼鏡曇って道踏み外す

たゞならぬ光景も三日で見慣れる

夕暮れ時包丁をしまう

【自由律日記】「食べられる退屈(87)」

【自由律日記】「食べられる退屈(87)」

 軌道と言うより線路

 青い鳥に逃げられる夢ばかり

 空き地に群れるカラスの数かぞえ

 通り過ぎる電車どこへ行くか気にかゝる

 ずぶぬれのまゝ海へ行く

【自由律日記】「食べられる退屈(86)」

【自由律日記】「食べられる退屈(86)」

 足音潜ませ希望の明日逃げてゆく

 銃口と言論が今日も人を踊らせ

 夜中のゴミ捨てにも概念を分析する

 ネギ切って朝が来る

 三遍回って自由と叫ぶ

【自由律日記】「食べられる退屈(85)」

【自由律日記】「食べられる退屈(85)」

 デイライフにコミットでもしてみるか

 対岸の島から悲鳴が聞こえる

 雪だるま避けわんこ歩く

 外から見ているだけで良かった

 昨日よりもさらに縮む

【自由律日記】「食べられる退屈(84)」

【自由律日記】「食べられる退屈(84)」

 あんなに渇望し翌週は机の下

 そんな道具あったなら隠遁しなかった

 時計多く持ちまた約束守れず

 勝手にそれでいゝと決めるな

 謂れのない言葉死ぬまで呪い続ける

【自由律日記】「食べられる退屈(83)」

【自由律日記】「食べられる退屈(83)」

 存在の軽さ較べ瞼なお重くなる

 爆竹でアリの巣拡張工事

 たゞならぬ角度で本開く

 どこまで似る似たもの同士

 春の緩みのせいにしておこう

【自由律日記】「食べられる退屈(82)」

【自由律日記】「食べられる退屈(82)」

 東京ブギウギの東京はもはやない

 夢砕けギターばかりが饒舌になる

 サクランボ遅れて恋歌う

 一緒に騒いでも独り

 諭すように歌い失笑買う

【自由律日記】「食べられる退屈(81)」

【自由律日記】「食べられる退屈(81)」

 手伸ばし草原の先

 風吹く丘に降り立って

 風邪福岡に蔓延って

 桜散る 夢の種結び

 忘れたいことなど今日だけでも両手に余る

【自由律日記】「食べられる退屈(80)」

【自由律日記】「食べられる退屈(80)」

 依存の前に手を引きたかった

 火をつけて逆だと初めて気づく

 誘惑にも負けない貧乏具合

 しくじって次どうするか迷う

 乗り遅れ狼狽えて草履脱ぐ

【自由律日記】「食べられる退屈(79)」

【自由律日記】「食べられる退屈(79)」

 踏んではいけない物を踏む

 満月見て左足だけ踊る

 足止めて表札見る

 寄せ集まりでも鮮やかな色成す

 石畳の道に迷う異国の異教徒

【自由律日記】「食べられる退屈(78)」

【自由律日記】「食べられる退屈(78)」

 紅い薔薇神経質そうに咲く

 暗闇でイガを踏む

 一歩踏み入れ異臭

 何かゞ起こる前二つ三つとくしゃみ

 素手で持てない物を持たされ

【自由律日記】「食べられる退屈(77)」

【自由律日記】「食べられる退屈(77)」

 名曲の作曲家名前も思い出せず

 整髪料いらなくなった春

 気づかれず霧の声に耳塞ぐ

 店見つけても欲しいもの見つからず

 行列の先頭が気にかゝる

【自由律日記】「食べられる退屈(76)」

【自由律日記】「食べられる退屈(76)」

 朝から晩まで自転車で逃げる

 雨だけは降るなとツーリングの空

 つれない猫 夢にも出て来ず

 経緯思い返す事さえ想像できぬ

 明日もきっと退屈だもっと寝て過ごそう

【自由律日記】「食べられる退屈(75)」

【自由律日記】「食べられる退屈(75)」

 豆腐屋のラッパもスピーカーから

 退屈が忍び寄る満員電車のあちこちで

 あるじなき手袋木の枝暖める

 退屈積もり尚重くなり

 幼きころなくした帽子思い出す