マガジンのカバー画像

自由律俳句集「食べられる退屈」

88
拙作自由律俳句集「食べられる退屈」の過去投稿分を集めました。
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

【自由律日記】 「食べられる退屈」(19)

【自由律日記】 「食べられる退屈」(19)

 砂粒を数えるほどの退屈と諦念

 地上で炸裂する美しい花火

 面白いことも明日は苦痛

 どんなものにも存在がある

 これ以上何を考えれば日は暮れる

【自由律日記】 「食べられる退屈」(18)

【自由律日記】 「食べられる退屈」(18)

 瞼が重くなる

 一瞬の騒音で変わる人生

 退屈なときに働く感覚を求め

 退屈の波間狭まる

 早春の暁に犬の糞踏む

【自由律日記】 「食べられる退屈」(17)

【自由律日記】 「食べられる退屈」(17)

 この町は大きいが地下鉄がうるさい

 日本が中心の地球儀を探す

 会話の順序が気にかゝる

 誰も彼もが利己的に見える

 楽しい場所が脳裏に浮かぶ

【自由律日記】 「食べられる退屈」(16)

【自由律日記】 「食べられる退屈」(16)

 虚空の夢計画通り太りゆく

 飽きもせず蛾が電灯に集まる

 鳥の立場で物を語るような悟り

 シンクロする月の光と風のハミング

 目先の退屈に気を取られる

【自由律日記】 「食べられる退屈」(15)

【自由律日記】 「食べられる退屈」(15)

 時を超え差出人知らずの手紙が届く

 行動に移せぬ苛立ちもある

 目覚まし時計に勇気づけられ

 時にはポリフォニーに心揺らされる

 大蛇に飲まれて明日を知る

【自由律日記】 「食べられる退屈」(14)

【自由律日記】 「食べられる退屈」(14)

 退屈はハングルの「口」の中あたり

 求めない退屈からは逃げられない

 連結しているような花屋の坂

 凋落は常に不定形であれ

 駄洒落から生まれるものもある