人生で一番怖かった日 in London
ロンドンでの初めての自活生活の記事を取り上げてもらいました。
ありがとうございます!
とても楽しかった思い出を、とても楽しく執筆できました。
なので、今日はロンドンで起きた怖かった話を書こうと思います。
我ながらかなり機転の利いた応戦で回避した出来事なので、もしも同じようなことに遭遇したら、ぜひ参考にしてみて下さい。
(できることなら、そんな危険に遭遇しないことを祈ります)
若者とバカ者
ロンドン、夏。
私はその日、朝から一人でショッピングを楽しんで、その後友達と食事をして帰りが少し遅かった。
ロンドンでは終電の後も24時間バスが走ってるので帰れなくなることはないが、ナイトバスは乗っててもあまり気持ちのいいものではないので、その日も終電ギリギリで帰ってきたと思う。
駅を出ればまだ街全体に明かりが灯っていた。
大通りに沿って歩き出してしばらくすると、誰か後ろからついてきてるような感じがあった。
嫌だなとは思ったけど、駅前だし、遅い時間とはいえまだ人がたくさん行き交う道。もしかしたら勘違いかもしれない。
私は神経を後ろに集中しながら、これからヤバいなと思った。
そのとき私が住んでいた家は閑静な住宅街の中にあり、その道に街灯は少なく暗かったが、住宅街だったためにその時間には逆に人が通ってることはほとんどない。
人がいれば、逆に怖い。
だからその道に入った時にまだ後ろからついてきているようなことがあれば、絶対おかしい。
でも私はショッピングバッグを両手に4つも5つも持っていて、しかもハイヒールだった。
ロンドンの住宅街はまだ石畳のような道が残ってるところもあり、わざと大きさや形の違う石を組み合わせてデコボコ舗装されてるから走れない。
「走ってヒールが欠けても嫌だしな…」
若いというのは大胆で、守るものがないとはこうも怖いもの知らずでいられるようだ。
私はカバンから携帯電話を取り出した。
大通りから右に曲がって、暗い住宅街の中に入って行った私は、振り返りながら車がこないのを確認する振りをして道を渡った。
もちろん確認したいのは車じゃない。後ろに誰がいるのか、だ。
そしたらいた。しかも2人!!!!
2人とも背の高い男性で、フードをかぶっていた。
何これ、めっちゃ怖いやつじゃん。……やるしかない。
私は携帯を耳に当てると、自作自演で白熱の芝居を打った。
「ハロー、ハニー」
ハニーなんて初めて言った。すごい恥ずかしい!
「遅くなっちゃってごめんね。荷物がいっぱいあって、ヒールで足が痛いの。今ちょうど角にいるから迎えに来てくれる?」
後ろの人に聞こえるように、声を一生懸命後ろに飛ばして、あくまでもさりげなく、甘える彼女風を演じる私。ちょっと恥ずかしい!
たまに、ふふっと笑ってみたり、yeahと相槌を打ってみたりもしてみた。
「じゃあ、待ってるね。See you later.....love you, too」
ここまでくると、だいぶ演技にエンジンがかかってくる。
私は満面の笑みで電話を切って、後ろをチラッと見て血の気が引いた。
2人の男は見事なUターンを決めてもと来た道を引き返していたったのだ。
これで私の後ろをついてきていたことが証明されたわけだ。
買い物バッグをたくさん持ってたからお金があると思われたのか、乱暴目的だったのか、あるいは大通りに止めてある車か何かに連れ込まれて誘拐殺人となっていたか……本当に本当に恐ろしい。
だけど、若いというのもそれは恐ろしいもので、そのときの私はその起こり得たかもしれない不確かな事よりも、怖いお兄さん2人も手玉に取って逃げ延びたことの方に大興奮だった。
次の日、私はその武勇伝を得意げに語っていた。
基本的にみんなドン引きした上で機転の利かせ方を褒めてくれたり、無事の帰還を喜んでくれたけど、「日本では有り得ないかもしれないけど、それは本当に危ないことだよ。何でそんなに嬉しそうなんだ…」と少し呆れられたりもした。
この事件について私が本当に怖いと感じたのは、私がもっともっと大人になった後のことだ。
子供が生まれて、それも女の子2人であるから、増して怖い。
娘には近いうち、合気道を習わせる予定だ。
MA・TO・ME
いかがでしたか?
これが私が体験した、人生で一番命の危険を感じた日のエピソードです。
もし夜遅く、フードのお兄さん2人につけられ、ハイヒールだから走れないという事態になったときは、ぜひ役者になり切って白熱の演技で撃退して下さいね!
*効果は人それぞれなので、全ての人に効果が出るとは限りません。