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【検便】侮るなかれ、便は多くを語る

こんにちは。フリーランサー・個人事業主の皆さんの保健サポーターを目指してますellieです。


さて、今回は、【便検査】についてです。

正直面倒くさいですよね。

ベルトコンベア式に次の検査を指示される健康診断や人間ドックと違って、一瞬でも早く出したくてもよおしている中、臭い自分の汚物に、棒を突っ込んで。。。ましてや、寝ぼけ眼で作業すると、うっかり自分の手にも便がついちゃったりして。しかも、2回分も採取しなきゃならないし、健診日まで食料を保存すべき、冷蔵庫保存なんて、意味が分からないですよね。

今回は、便検査の意義と目的を理解していただき、少しでも前向きに検査に取り組んでいただけたらと思い、記事を書かせていただきました。

少し長いですがお付き合いください。


なぜ便を調べるのか?

さて、一般的に〈検便〉と言われていますが、正確には、【便潜血検査】といい、主な目的は、便に含まれている血液の有無から、食道・胃・小腸・大腸(結腸と直腸)にできているがんやポリープの可能性について調べる検査になります。

ひとつの検査で、5つの臓器のがんやポリープを調べられたら、大変効率的ですよね。そのため、「がん検診」の一部として実施されていることが多いと思います。

ポリープとは

皮膚・粘膜などの面から突出し、茎をもつ卵球形の腫瘤。慢性炎症から生じるものと良性腫瘍性のものとがあり、鼻腔(鼻茸はなたけ)・胃腸・膀胱などにできやすい。胃腸のポリプには癌化するものがある
広辞苑

がんについても、確認しておくと、

がんとは

①悪性腫瘍しゅようの総称。
②特に、上皮性の悪性腫瘍
広辞苑


胃・腸のがんはどれだけリスクなのか?

日本におけるがんの罹患者(1年間に初めてがんと診断される方)、及び、死亡者の診断病名別のランキングは下記の通りとなります。(国立がん研究センター がん登録・統計‐最新のがん登録‐より引用)

癌の罹患者・死亡者

上の図の通り、日本人のがんの罹患者のうち、No.1に輝くのが大腸がんになり、No.2が胃がんとなっております。男性と女性で若干違いますが、どちらも、トップ5の中にランキングされており、死亡者においても2位、3位を堅持していることから、日本人にとって≪死亡リスクの高いがん≫であることは明白です。

そこで、今回は、食道・胃・小腸・大腸(結腸と直腸)の中で、割合の多い、胃と大腸に焦点を当てて説明をしたいと思います。


便検査でどのようにがんが見つけられるの?

胃や大腸の粘膜は、先に確認した「がん」の引用の中で記載されていた<上皮>に該当します。そのため、上皮に慢性の炎症や、がんができると、組織を破壊して増殖し、壊死(細胞が死んでいること)・潰瘍形成・出血などを伴うため、そこを通ってくる排泄物である≪便≫の中に血液が混じることになるのです。

≪便≫は胃や腸で吸収できなかった食物と大腸の細胞の死骸でできているため、栄養にならない、血液は、便として対外に出されます。

つまり、便検査で出血の有無を確認することによって、胃や腸でポリープやがんにより、出血を伴う、組織の壊死や潰瘍ができている可能性が高いという事です。


便検査で要精査になったら?

では、便検査で陽性=要精査となったら、どうしたらいいのでしょう。

要精査とは、「精密検査を要するため、専門の医療機関を受診してください。」という事です。専門の医療機関とは、≪内視鏡検査≫を実施している医療機関の事です。必ずしも大病院に行く必要はなく、クリニックや診療所でも消化器内科の専門医がいるところでは、内視鏡検査を実施しているクリニックが多いですので、時間とお金を節約したい場合は、そのようなクリニックに直接「便検査で要精査の結果を得て・・・」と連絡すると、よいです。

※便検査の結果が出るのには数日を要することが多いため、人間ドックで当日の結果報告では伝えられないことが多いため、結果が来たら必ず確認してくださいね。

そこで、胃と大腸の内視鏡検査を受けます。

どちらも、痛み止めや鎮静剤を利用し、寝ている間に受けることができるようにしている医療機関が多いですので、安心してください。決して簡単な検査ではありませんが、内視鏡検査が怖いので、避けていたがために、がんになってしまった・・・ということの無いようにお願いします。(印象としては病院よりクリニックの方が鎮痛薬を使ってくれる場所が多いです)

※医師によってはまず、大腸内視鏡検査を行ってから問題がなければ、胃の内視鏡を行う医師と、両方同日に行ってしまう医師といますので、予約を取られるときに、確認するとよいです。

※検査で痛み止めや鎮静剤を希望する予定のある場合、当日、車の運転ができなくなりますので、ご注意ください。また、薬の効き具合は個人差があるので、契約ごとなど大きな予定は避けられたほうが無難です。


便検査で陽性になったら必ずがんなの?

便検査で陽性になる確率は色々な報告がありますが、私がこの記事を書くために調べた複数の論文によると、日本人では約5~10%であり、その中で、大腸がんが見つかる確率は、これも諸報告がありましたが、0.1%~6%でした。つまり、10,000人が検査を受けて、500人~1,000人が便検査で陽性となり、その中で5人~60人が大腸がんが見つかるという事です。

内視鏡を行うクリニックで勤めた個人的な経験でも、多くの方は痔が原因で陽性になることが多いですが、痔は痔で、治療を要する(がん化する可能性の高い)痔が見つかることもありますので、「きっと痔だろう」と過信せず、要請になった場合は、是非内視鏡検査を受けてください。

というのも、便検査で陽性になる方のうち、精密検査をきちんと受けられる方は、全体の50%にも満たないと、言われています。残りの50%の方はがんを早期に見つけて治療する機会を失っているのです。決して、半数の人が受けないのであれば、自分も受けなくていい!と思わず、自分の身体からのアラートにきちんと向き合ってください。


まとめ

日本人のがんで最も罹り易いのが胃や大腸などの消化器がんであるため、がん病変からの出血を見つけるために便潜血検査を実施しています。検査結果には数日かかるため、健康診断結果を受け取ったら、必ず確認し、陽性であった場合は、内視鏡検査を受けられる医療機関を受診してください。陽性であっても、がんである確率は極めて低いですが、がんであった場合は、早期に見つけられる確率が高いため、必ず放置せず、ご自身の健康と未来のために必ず受診をしましょう。

今回、便検査を取り上げさせていただいた理由として、20代後半のクライアントさんに上記をお伝えして、内視鏡検査に行ってもらった結果、超早期の大腸がんが見つかった!というエピソードがあり、私自身改めて、がんは年齢や家族歴に寄らない事を再確認しました。もし、ご自身のうんちが思い当たる食事もなく、赤かったり、黒かったりする場合は、早めに内視鏡検査を受けられることをお勧めします!


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