【乳がん検診】少しお金を出してでも35歳から乳房エコーを選択すべき理由
こんにちは。保健サポーターのellieです。
世の中が、世の中なので、保健サポーターとして、コロナウィルスについて書くべきか、一か月ほど悩みに悩みんでしまいましたが、専門家会議の有志の先生方がこちらのページを作成されているので、最新情報は下記をご参照ください。
私は、私の専門として、フリーランサーや個人事業主の方々が保健難民にならないように、粛々と記事を綴っていきたいと思います。
さて、今回は、女性が罹るるがんの、罹患者数が毎年最も多い、乳がんの検診に関する話題です。是非、男性の方々も大切なパートナーを守る検査としてお読みいただけましたら幸いです。
女性のがん罹患者数No.1は乳がん
やや色が見分け難いグラフであるが、下記のグラフをご参照ください。
(国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計より抜粋)
2003年から始まり、常に最上位をキープしているグレーの曲線(赤矢印)が、乳がん患者の人口10万人に対する罹患率になります。つまり、日本人女性で最もなりやすいがんが、乳がんとなり、その罹患率は年々増加の一途をたどっています。グラフの引用元である、国立がん研究センターが実施しているがん登録の2015年データを基にした、乳がんの生涯罹患リスクは10.2%、つまり10人に1人が一生のうちで一度乳がんに罹患するということになります。
一方で、女性のがんの死亡者数を見てみますと、(こちらも分かり難くて恐縮ですが、)赤印で示した通り、乳がんの死亡率は、大腸がんや肺がん、すい臓がんと比較して低いことがわかります。2018年のがん登録データを基にした、乳がんの生涯死亡リスクは1.5%、つまり、65人に1人が乳がんを理由に死亡する。と、言うことになります。この数を多いと感じるか少ないと感じるかは、一旦おいておいて、乳がんによる死亡者数も年々増加の一途をたどっております。
(国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計より抜粋)
では、次に乳がんに罹患した人、乳がんで亡くなった方の年齢分布を見てみましょう。
(国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計のデータより筆者が作成)
(国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計のデータより筆者が作成)
2つのグラフを見比べていかがでしょう。
乳がんの罹患者数のピークは40歳~74歳まで、5年齢毎に7000人以上いるにも関わらず、乳がんによる死亡者数のピークは60歳~74歳と、85歳以上の2峰に限局されています。(最も多い85歳以上の方々は、往々にして乳がんと診断される前から、他の疾患を患っていたり、年齢的な観点から、化学療法や手術療法といった積極的治療を望まないことによることが多いです。)
乳がんの罹患者数のピークは40歳~74歳までであることから、
多くの自治体や企業では、40歳以上の女性を対象に2年に1度、マンモグラフィ(乳房X線検査)を乳がん検診として実施しています。
マンモグラフィ(乳房X線検査)とは?
マンモグラフィ検査とは、乳房を広げて圧迫しエックス線で撮影する検査です。乳房を片側ずつ、上下または左右から圧迫して薄く平らにして撮影を行います。触っても分からない小さな病変を見つけることができるので、早期発見に役立ちます。
(公益社団法人広島県放射線技師会HPより転載)
一方、デメリットとしては、わずかですが被曝がある、乳房を圧迫するため痛みを伴う、ペースメーカーやチューブ、カテーテルなどの医療器具、豊胸術後など胸部に器具が入っている方は検査を受けられないなどがあります。
また、マンモグラフィのもう一つの弱点として、日本人の若い人に比較的多くみられる乳腺濃度の高い乳房(デンスブレスト)の診断が困難であることが挙げられます。
(Philips HPより転載)
年齢とともに、乳腺濃度は低くなっていくとは言われておりますが、概ね、40歳~50歳にかけて(閉経年齢に向けて)徐々に濃度が低くなっていくと言われております。(40歳以上でマンモグラフィ検査を受けたのちに、要精密検査で毎回乳房エコーを受けるよう指示される方は概ね、上記のデンスブレストの可能性が高いです。)
では、デンスブレストの方、40歳未満の方はどうしたらよいのでしょう。
乳房超音波(エコー)検査とは?
乳房超音波(エコー)検査は、乳房にゼリーをぬって、人には聞こえない高周波の音波を体にあて、跳ね返ってきた情報を画像に映し出す検査です。(お腹の中の赤ちゃんを見る超音波画像と同じ方法です。)エコー検査は乳腺の多さに関わらず腫瘤の形や内部を観察することができます。
(地方独立行政法人筑後市立病院HPより転載)
これまで、乳がん検診でマンモグラフィを実施し、要精査に該当した人が追加で受ける検査として、行われることが多かったのですが、ここ最近では、30歳台の乳がん検診においては、マンモグラフィよりも、乳腺エコーを勧められることのほうが多くなりました。
しかしながら、自治体や企業のがん検診は、ほとんどの場合、40歳以上の女性のみが対象となります。
では、なぜ35歳以上でも乳がん検診を受けたほうが良いのか?
ここで最初の方にお示しした、年齢別罹患者数のグラフを再度見てみましょう。
40歳以上と比較すると半分程ではありますが、罹患者数が徐々に増加を始めるのが、35歳~39歳の年齢に達したときになります。
これは、40歳から突然リスクが増加するわけでは無く、40歳から検診により発見されやすくなっている訳であって、実は30代後半のうちにじわじわと進行していたがんが、40歳の乳がん検診の際に見つかったという例は決して少なくありません。
また、がん細胞は、若年者ほど細胞分裂の速度が速く、進行が速いため、30代にできたがんを30代の時に見つけられていたら、部分切除(乳房温存術)など、乳房の形をほぼ崩すことなく行えた手術が、40歳で発見されるときには、乳房全摘出術(乳房及び大胸筋を含む広範囲切除術)をせざるを得ないケースも、あります。
乳がんエコーの自費検査は、クリニックによって差はありますが、多くの場合、6000円~10000円で受診可能です。
30歳代なんて、病気とは無縁の年齢と思われるかもしれませんが、何と言っても日本一罹患率の高い病気です。30代から病気への意識を高めておくことは、決して悪いことではありません。
安心を得るためのコストとして、乳房エコーの自費検査費は決して高くはないはずです。
杞憂に終わればそれに越したことはなく、万が一見つかったとしても、最短の時期に最小限の傷と痛みで、がんを取り除くことができれば、それに越したことはないと思いませんか。
現在の首都圏を中心とした、新型コロナの流行中の地域での受診は、全くお勧めできませんが(検査室では15~20分間3蜜状態なので)、こんな年だからこそ、自分自身の健康状態をより深く確認しに行くのも大切かと思います。