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千葉県沖中型まき網 清栄丸

千葉県旭市に拠点を置く、中型まき網の網元である清栄丸さん(有限会社土屋水産)協力の元、千葉県沖の中型まき網について深堀りしていきます!


1.中型まき網船団清栄丸

千葉県旭市を拠点とし、有限会社土屋水産を昭和30年に設立。中型まき網漁業船団である清栄丸を操業。漁業一筋、現在で4代目です。主に千葉県の最東端である銚子漁港にて、イワシなど旬の魚を年間を通して水揚げを行っています。現在3代目は会長、4代目は社長を務めており、社長の旦那様は結婚を機に漁師になりました。いつお会いしても息がピッタリ?!のご夫婦です。

水揚げの様子

2.網の使い方

まき網漁業は垂直に垂らしたカーテンのような網で魚の群れを囲い、巾着の紐を締めるように網の底を閉じて魚を獲る漁法です。網は以下の手順で使用し、魚を獲ります。
①魚群探知機やソナーを使い、魚の群れを探します。

ソナーで魚の反応を確認 *2023年年始のタチウオ
魚群探知機でも併せて反応を確認

②魚の群れの特性や風の向き、潮の流れを考慮して2艘の網船からそれぞれ網を投げ入れます。

魚群発見、投網に向かいます

③投げ入れた網で輪っかを作るように、船で魚の群れを取り囲みます。

網で輪っかを作ります

④網の底側についている沈子(ちんし/鉛)のワイヤーを引き締め、巾着の形を形成します。

巾着の形を形成します

⑤巾着の紐を絞るイメージで、網船以外の船で縄を引っ張り、網の幅を徐々に狭めていきます。

網を海から引き揚げていきます

⑥網を狭めると巾着が完成し、網の中に生簀が完成します。魚を運ぶ為の船(運搬船)が生簀から魚を掬い上げ、船の冷蔵設備へ魚を投入します。

魚を掬い上げ、冷蔵設備へ

3.網の素材

網は漁法や、漁場の特性によって網の素材が大きく異なります。メインの網の素材はナイロンです。網まき網で使用される網の素材はナイロンもしくはテトロン(ポリエステル)がほとんどです。ナイロンとポリエステルは比重が異なり、海の中での網の落下スピードにも関係します。その為海流の影響を受けやすい場所なのか、どんな魚種を獲るのかによって使用する網が異なります。

ナイロン(PA6)

4.網の種類

獲る魚の種類によって網の目合い(網目のサイズ)を調整し、使い分けます。主として19節・13節・11節を使用しています。(節とは節目を指し、数字が大きい程網の目は小さくなり、逆に数字が小さい程大きくなります。)
▶︎13節・11節:マイワシ・アジ・サバ・ブリ等魚体が大きい物や水深の深い海域で使用します。

獲る魚によって目合いが異なります

▶︎19節:カタクチイワシやマイワシ(小羽・小中羽)・アジ等の魚体の大きくない物や水深の浅い海域で使用します。

獲る魚によって目合いが異なります

5.網の手入れ方法

海水をポンプで汲み上げホースから、網に散水を行います。操業で網に包まりそのまま積み上げられてしまった魚が時間が経って腐り発酵すると、その魚から煙が出る程の熱が出たり、強い日射しを浴び続けたままだと網が痛み劣化が早まるのを防ぐ為に行います。また、ナイロンは熱に弱いので散水することで網を冷やす役割も同時に果たしています。

ホースから網へ散水

6.網の修理方法

方法① 網の破れてしまった箇所を抜いて、新しい網と入れ替える。

修復後

方法② 破れてしまい抜いた網を、漁網用の網針と糸を使い手直し修理(キヨリ)して使用可能な状態に直す。

破れてしまった箇所を
切り取り
使える網を、縫い合わせる

方法③ 破れが酷く修理不可であっても使用可能な一部分のみを正しく切り抜き、キヨリの際に使用。

網倉庫での修理作業

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