彼岸花の立ち姿に、自然の多様さを思う
近所の公園に、ようやく彼岸花が咲き揃いました。今年は猛暑の影響か、例年より遅れての開花です。秋の彼岸がすっかり過ぎた後に咲いたため、お墓参りの際には見かけませんでした。
今年初めて、白い彼岸花を見ました。紅白揃う姿は、まるで水引のよう。とてもめでたく、縁起の良さを感じさせました。
ふわふわと地上に浮かんで見える彼岸花。その特徴的な立ち姿には、理由があります。花咲く時期に茎だけが生長し、葉がないから。花が枯れた後に、細長い葉が茂りはじめるのです。
彼岸花の生態は、多くの植物とは逆。秋に花を咲かせ、冬に葉を茂らせ、春を過ぎ、夏に休眠します。
この逆サイクルを目の当たりにすると、ふと金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」という言葉が思い浮かびました。人もまた、それぞれの開花期と休眠期を持っているようです。
春に咲く花もあれば、秋に咲く花もあります。彼岸花は春をスルーし、秋を選んで咲きます。その姿は意思の強さと可憐さを合わせ持っていて、さらに美しさが際立つように感じます。
そういえば、桜も同じように、花が先で葉が後に出ますね。花が咲き終わってからも、植物はそれぞれの季節を最も適した形で生き抜いていくのです。