フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」鑑賞しました。
先日、「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」を鑑賞しました。
目的は、ヨハネス・フェルメールの代表的な絵画「窓辺で手紙を読む女」を見ること!
フェルメールの初期の傑作でして、私にとっても大好きな絵の一枚です。
絵画全体に、静謐な雰囲気がただよっています。
今回は、修復後のすてきな作品が公開されていました。
修復後は、右上の壁のところに、画中画(キューピットの絵)があらわれたことがわかります。
これまでは、画家本人が消したものとして、そのままドレスデンに保管されてきました。
それが近年の研究で、画家の死後に上塗りされたことが判明します。長い修復を終え、画家が描いた当初の姿がまずドレスデンで公開。そして日本でお披露目されたのです。
しかもこの絵は、ドレスデンのコレクションに加わるとき、画家の名はレンブラントとされていたそうです。
なんとも不遇な状況にあった絵画ですね。
それが300年もの時を経て、はじめて本当の画家の名前で、本当の姿の絵画が公開されました。しかもその絵を東京で鑑賞できるなんて、奇跡としか言いようがありません。
画中では、窓辺に向かって手紙を読んでいる女性が描かれています。
左から差し込む穏やかな光が、女性を照らしています。その光は、300年前も今も変わりなく、穏やかな光に変わりありません。
以前(修復前まで)は、何も飾られていない高い壁に、見る人の気持ちを投影させることができていた気がします。内省することができる絵として、鑑賞されてきました。
私自身も、2005年に作品が来日したとき、そんな思いでした。
ですが、今はその壁に大きなキューピットが描かれています。「愛の普遍性」をあらわしているキューピッド。
絵画が、新しく生まれ変わったかのようです。
修復後は絵全体の黄ばみも消えました。
壁はより白く、手紙は光を反射してより眩しく、衣類も果物もより鮮やかです。
絵画全体がもたらす明るさは、きっと手紙が朗報に違いないと思わせるほどです。
「窓辺で手紙を読む女」の作品は、これからも見る人の思いを反映させてくれることに変わりありません。
ときには内省的に、ときには喜びに満ちあふれるように。
東京で修復後の作品を鑑賞することができ、思いがけず僥倖としかいいようがありません。
しかも日時指定制で、比較的ゆったり鑑賞できます。4月3日までですので、気になる方はぜひ!
2022-03-27 石川 恵里紗