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アートを身近に

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趣味はいつでも美術鑑賞。 好きな絵画や美術展の印象などをまとめました。
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趣味はいつでも美術鑑賞

「そんなに美術館に行って、何がおもしろいんですか?」と聞かれることがあります。好きで行っている自分としては、そういう感覚の人が多いのかなぁという一つの発見でした。 なぜ美術館めぐりがおもしろいのか、私なりの理由をお伝えたいと思います。 1 純粋に、絵を見るのが好き 趣味って、没頭している時間を過ごせてこそ。 ミレーの「種まく人」の作品が大好きです。私も種まく人になりたいと、純粋に思ったものです。 そして後日、ゴッホが描いた「種まく人」をみて、衝撃を受けるのです。 同

「物、ものを呼ぶ」展へ

出光美術館で開催されている「出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅣ 物、ものを呼ぶー伴大納言絵巻から若冲へ」展に行ってきました。 出光美術館は、帝劇ビル建て替えに伴い、年内で休館予定です。休館前に所蔵作品を見たい思いと、「物、ものを呼ぶ」というタイトルに惹かれて訪れました。 展覧会を鑑賞して、作品はものだけではなく、人も呼び寄せていると感じました。作品へ愛情を注ぐ過程で多くの人が集まり、結果としてものも呼ばれたように思えたのです。 展覧会の冒頭は、仙厓の《双鶴画賛》と、若

本物の絵が一枚もないモネ展へ

ところざわサクラタウンで開催中の「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」展に行ってきました。日本でもあちこちで本物のモネ作品が見られますが、今回はあえて本物の絵が一枚もない体験型デジタルアート展示へ。 デジタルアート展示鑑賞は今回が初めてです。簡単にご紹介しますね。 本展示は、主に「デジタルアート展示」と「モネと印象派に関する展示」のエリアに分かれています。 まず、デジタルアート展示エリアへ。 本エリアでは、会場の壁や床一面にモネの作品が投影されます。モネの絵が1

「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」へ

終戦記念日に、黙とうをしました

終戦から77年が経ち、当時を直接経験した方々も少なくなってきています。私の両親は戦時中に幼かったため、戦争の記憶はあいまいです。戦禍を詳しくは知らないようです。 先日TV「徹子の部屋」で紹介されていた、画家・川田一一(かずいち)さんのシベリア抑留の話を思い出しました。71歳になって初めて絵を描くまで、家族に抑留の事実を話さなかったそうです。それほどに苦しい抑留生活だったと思うと、心底胸が締めつけられる思いです。川田さんの作品には、厳しい寒さや食糧不足、重労働に苦しむ方々が描

ロザリオ礼拝堂を体感

【一日一文】ゴッホ「ぼくの眼にはもっと興味深いもの」

12月19日。 オランダ生まれの後期印象派の画家ファン・ゴッホの書簡全集から、一文をご紹介します。 ゴッホは荘厳な建造物よりも、人物を描きたいと断言しています。 画家として、一人の人間の魂と向き合おうとする姿は高潔そのものです。 後世まで100年以上の長きにわたってゴッホの絵が鑑賞されてきたのも、情熱的な筆致や波乱万丈の人生だけではなく、人間の眼と向き合おうとする姿勢が軸にあったからだと思います。ゴッホは、多くの自画像を残しています。絵筆を手に、ゴッホもまた描写を通して内

後光さす、もみじの木2023

今年も、もみじの色づくシーズンがやってきました。大好きなもみじの木をご紹介しますね。 雑木林に、一本だけもみじの木。 この光景にお目にかかれるのは、朝の八時すぎ。出勤時のひととき。この「もみじの木」だけに朝日差し込む瞬間に、立ち会えるのです。 例年この時期、一週間だけのごほうび。 地上にいながら、奇跡のように後光さす姿を拝めます。その立ち姿はとても美しいのです。 年に一週間だけ、季節の主役におどり出るもみじの木。もしこの季節にモネが日本にいたら、きっと《もみじ》も連作

トロールの森2023へ

【一日一文】ル・コルジュジエ「色彩とは、生命のしるしである」

10月6日。 フランスの建築家ル・コルビュジエの「伽藍が白かったとき」より、一文をご紹介します。 「色彩とは、生命のしるしである」と断言しています。 色彩に対する記述がみずみずしく、心あらわれる読後感でした。 空の青さも、咲く花の鮮やかさも、四季を経て色彩が移りゆくさまも、すべては「生命」が宿った証なのです。 さらに「くすんだ協和音」への賛歌もつづられていました。身の回りへのあたたかい目線、色彩に対する感性の高さに、ただ敬服するのです。 ル・コルビュジエは、近代建築

下北沢でお月見を

夏とマティス展

鈴木大拙館へ

石川県金沢市にある「鈴木大拙館」へ行ってきました。 禅(ZEN)についての著作を英語で著し、ZEN文化を海外に広く知らしめた仏教哲学者・鈴木大拙の生涯に学ぶことができます。 建築家・谷口吉生の美しい建築。 回遊する自由。金沢21世紀美術館から徒歩10分、緑豊かな地を訪問してきました。 「知る」こと 「展示空間」で配置される書や写真・著作などの資料から、ZENの思想に触れることができます。 掛け軸は「心」一文字のみ。 ただ、心身を研ぎすます時間。 「学ぶ」こと 「

金沢21世紀美術館へ

先月、石川県にある金沢21世紀美術館へ行ってきました。 妹島和世+西沢立衛 / SANAAの手がけた世界観を目の当たりにしたい気持ちと、有名なプールの作品(失礼!)を鑑賞したい思いで訪問しました。 思いがけず、川内倫子さんの作品と再会でき、よろこびもひとしお! 明るくひらかれた美術館で、アートを存分に満喫してきました。 かんたんにご紹介しますね。 建築のコンセプト 妹島和世+西沢立衛 / SANAAの設計。 公園のように明るく開放感にみちた美術館です。正門はなく、ど