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column:21世紀のオルガン・ジャズ入門 with Playlist(6,000字)

オルガンジャズは80-90年代にイギリスでのジャズ・ダンス系のムーブメントでグルーヴィーなソウルジャズのひとつとして、またはヒップホップのサンプリングソースとしても再評価されたが、実はジャズの文脈でも少しずつ進化している。

その辺りは『Jazz The New Chapter 4』という本でもやったのだが、その後、コリー・ヘンリーがどんどんすごいことになっていたり、デルヴォン・ラマーみたいな人が出てきたりで面白くなってきたので、ここらで一度簡単に入門編をまとめておこうと思う。

以下、21世紀のオルガン・ジャズをあつめたプレイリスト。
20世紀の名盤は各自調べて聴いてみてください。

個人的にはピーター・バラカン選曲のコンピレーション『Soul Fingers』や90年代に出た名コンピレーション『So Blue, So Funky』がおすすめです。

以下、ここから本題です。


■90-00年代:ジャムバンド系

ジャムバンドと言えば、グレイトフル・デッドやフィッシュ、ワイドスプレッド・パニック、ストリング・チーズ・インシデントなどなどのロック系だけでなく、ギャラクティック(とドラマーのスタントン・ムーア)、ダーティー・ダズン・ブラスバンドなど、インプロに長けたジャズ寄りのバンドもその文脈で聴かれていた。その代表格がメデスキー・マーティン&ウッド(ジョン・メデスキ)やソウライブ(ニール・エヴァンス)でオルガンが重要な役割を果たした。NYのアンダーグラウンド系譜のメデスキ―はフリージャズにも片足突っ込んだ異端で、逆にソウライブは洗練されたサウンドが特徴。メデスキらはジョン・スコフィールドとのコラボでも話題になり、ニール・エヴァンスは後にジャム要素強めのファンク・バンドのレタスにも参加している。ジャムバンド系だと、オルガンに限らずシンセやピアノ、そして大胆なエフェクトも駆使したサイケデリックなサウンドのベネベント・ルッソ・デュオ(マルコ・ベネベント)も人気があった。

■90-00年代:UKジャズ・ファンクとディープ・ファンク

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