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review is a diary:Out Of/Into - Motion Ⅰ(6,000字)
今のジャズシーンをけん引する20代のイマニュエル・ウィルキンスとジョエル・ロスが、中堅のジェラルド・クレイトンやケンドリック・スコット、マット・ブリュワーと組んだバンドのアルバムが年末にリリースされていた。
これはブルーノート・レコーズがレーベル創立85周年に企画したもので、アメリカではライブも行われている。
これが尋常じゃなく素晴らしい内容だった。現代のジャズのすばらしさが詰め込まれた良作だ。
この企画は《ブルーノート・オールスターズ 2020's》と呼ぶべきものだと思う。ベースのマット・ブリュワー以外の4人はブルーノートから2020年代にリーダー作を出しているブルーノートを代表するアーティスト。その4人ンの音楽性に合うベーシストとして、マットが選ばれた、という感じだろう。
ちなみに2017年にはロバート・グラスパーやデリック・ホッジ、アンブローズ・アキンムシーレ、リオネル・ルエケらによるBlue Note All-Stars名義のアルバム『Our Point Of View』もリリースされている。彼らも全員ブルーノートから2010年代にリーダー作を発表していたレーベルの看板アーティスト。
2010年代のブルーノートを代表するのはロバート・グラスパーらのコミュニティだった。彼らは文句なしに2010年代を代表するアーティストで、シーンを変革し、2020年代への道筋を作った。Blue Note All-Starsは彼ら以外にあり得なかった。
では、2020年代はどうか。ブルーノート・レコーズが今のジャズシーンはイマニュエル・ウィルキンスやジョエル・ロスらの時代だと明示したのがこのOut Of/Intoだと僕は考えている。
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