犬用車椅子のはなし
2018/3/21、実家の18歳になるワンコぴっちゃんが息を引き取りました。
柴系の雑種で、生後半年頃にうちへ来ました。
犬の18歳は人で言うと90歳くらい。立派な長寿です。
いつまでも元気だと思っていたのに、気がついたら老犬になっていました。
思うように歩けなくなり、徐々に後ろ脚が弱ってきました。
それでも立ち上がりたいのがワンコ。
「起こしてくれぃ」と人を呼ぶものの、起こしても歩けずにすぐに倒れてしまいます。
十分に運動もできないために夜泣きが始まり、人の睡眠が断続的になってしまいました。
そんな時に、もしかしたら役に立つかもと注文したのが、犬用車椅子です。
果たして使えるのか、うちのぴっちゃんに合うのかどうかも分からない。だけど試してみたい。
いろいろ調べていて見つけたのが「はな工房」さんでした。レンタルシステムがあるので、気軽に始めることができました。
ぴっちゃんのいろいろなところを計測してその数値を送ると、ぴったりにセッティングされた車椅子が数日で届きました。
車椅子自体はアルミ製のためとても軽く、しかし頑丈で、軋みや緩みは一切ありません。
ぴっちゃんは前庭疾患を発症していたために、右向きにくるくる回る症状が出ていました。
そのため、3輪タイプの車椅子を勧めてくれました。
使ったことのない車椅子の疑問や不安を問い合わせると、とても親切に答えてくださいました。
数多くの車椅子を作って使われてきた経験があればこそ。
ぴっちゃんは最初ヒステリーを起こすほど車椅子に乗るのを嫌がりましたが、そのうちに慣れてくると、寝ている時以外はずっと乗っていました。
目が覚めると「乗せてくれぃ」と言います。
家の中の限られた空間でくるくると回れるように工夫をしたところ、毎日、何時間も何時間も歩き続けてるようになりました。
毛並みもよくなり、一時細くなっていた脚に筋肉も付き、車椅子導入以前よりも元気になりました。
同時に、介護している人もとても楽になりました。
それでも年明け頃から老いは急速に進み、体が固まってきたり、脚の動きが悪くなってきたりと、これまでの車椅子の状態では脚が床につかなくなってきました。
そんな時も、はな工房さんの車椅子だと簡単に調整ができました。
車椅子の高さを下げてやり、床に足がつく高さに調整してあげて、少しでも良い状態にすることができました。
最後の1ヵ月は、歩くことはできずただ座っているだけでしたが、横になっているよりも随分と気分がいいようで、起きると必ず車椅子に乗りたがっていました。
一日に数時間でも起きているのが良かったのか、床ずれも起きませんでした。
息を引き取るその日まで乗っていました。
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私は、18年のうち10年、ぴっちゃんと一緒に暮らしました。
ぴっちゃんがうちに来た半年後に東京から私が帰ってきたからなのか、家の中の順位が、①父→②母→③ぴっちゃん→④私だったようです。
甘んじて受け入れていました。
ぴっちゃんがあまりに美味しそうにジャーキーを食べるもので、どんなものかと私も口にしたところを目撃され、それから一層、美味しいものを私から隠すようになりました。
ジャーキーは味がなくボソボソで食べられたものじゃありませんでした。
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水しか口にしなくなって数日、実家に帰りました。
前日までもうダメかもという場面が数度あったらしいのですが、私が帰った時は不思議と元気で、プリンを混ぜたお水を少し飲む姿も見せてくれました。
その後、耳も目ももう効かないのに、はっきりと私たちのほうを見て、しきりにワンワンと話しかけてきました。
群れが全員揃ったところで遺言も伝えたことだし、その明け方に眠るように息を引き取りました。
見事で、あっけない最後でした。
その日一日、家でゆっくりと過ごした次の日、斎場へ連れて行きました。
小さな骨壺に収まって家に連れて帰ったものの、今までぴっちゃんが半分以上のスペースを占領していたリビングルームはガラーンとしていて寂しいものでした。
毎日乗っていた車椅子をすぐに返却することも寂しいので、3月いっぱい手元に置いておきました。
レンタルしていた期間は8カ月ちょっと。この車椅子のおかげで、ぴっちゃんは最後まで立ち上がっていました。ワンコは立ちあがりたい動物のようです。
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Twitter上の「秘密結社老犬倶楽部」にも随分と助けられました。犬用車椅子のことを知ったのも、ここでした。
様々な工夫をして老犬の介護をしている方々の様子を知ることができ、老犬のあれこれを知ることができて、してあげられることも増えて、ほんとに助かりました。
自分の子しか知らなかったら、もっともっと大変だっただろうなぁ。
楽しくて可愛くて役立つ倶楽部です。
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老犬になることは、妖精のように可愛くなることでした。これには驚きました。
ぴっちゃんは、2018/3/21付けで「秘密結社老犬倶楽部」から「秘密結社老犬倶楽部天国支部」に異動となりました。
あちらにはTwitterで知り合った沢山の先輩ワンコやニャンコがいるようで、随分とにぎわっているようです。友達もできて遊んでいることでしょう。
私たち家族があちらに行ったときには、迎えに来てもらうことになっています。
よろしくね！
