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音楽好きで犬好き。

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オレンジの派手な表紙の本のおかげ

大学の推薦入試を受けたのは12月のはじめだった。 文学部哲学科インド哲学専攻の推薦入試を受験することになった。 当時、私が受験した大学は「専攻」まで決めて受験する、そういうシステムだった。 高校の進路指導の先生は初めての「インド哲学専攻」受験の生徒に対しての試験対策を持っておらず、手探りでの試験対策が始まった。 先生は、本当に「インド哲学専攻」でよいのかと何度も尋ね、 「お前は体力がないが、山寺とかに修行に行かされたら大丈夫なのか?」 と心配してくれた。 (そんな修行に

    • 免許センターへの道連れ

      その日は天気のいい、ゴールデンウィークの初日だった。 いつでもどこでも、今も過去も、たぶんこれからも瀬戸際族のわたしは、バスが出発する時刻ピッタリに原付バイクを駐輪場で停めていた。 大学時代に原付バイクの免許は取ったけど、卒業後、4年弱の東京生活で運転することは一度もなくて、その間に、免許は「原付のみのゴールド免許」という不思議な形態になっていた。 一方、地方都市暮らしに車は必須だ。 その春に就職した会社でも普通免許が必須だと言われていたので、3月から自動車教習所に通いは

      • その正体は…

        その日は、いつもよりはやめに病院に到着。 受付をすませて、放射線検査受付へ回る。イスに座ってしばらく待っていると、CT室から呼ばれた。 その日は金属のはいっている衣服を着ておらず、そのままでいいといわれたので、わたしは靴をぬいで寝台にあがり、横になった。 技師さんはとなりの撮影室に移動。 ドアが閉まる音に続き、マイクをとおして「はじめます」という声が聞こえた。 そうして、寝台がグイーンとすこしずつ高くなっていき、あの白いドーナツおばけに入っていく。 そのとき、機械の動き

        • 教授回診

          「教授回診」と聞くと、あのドラマのあのシーンが、それぞれの世代の財前教授で再生されるだろう。 私は唐沢寿明。 いつもは総合病院でお世話になっているが、一度だけ大学病院に入院したことがある。 日曜日に入院し、月曜日に手術。 手術の日が4/2、年度初めの日だった。 朝8時半か9時からの手術、朝食抜きで、点滴がつながれる。 手術センターまで点滴押しながらテクテク歩いていくのが少し間抜けで、拍子抜け。 手術室の前で手首にはめたユポ紙のブレスレットに印字されたバーコードと名前、どう

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        オレンジの派手な表紙の本のおかげ

          民主主義と多数決、それと批判的志向

          多数決。思えば、小さなころから折に触れて、多数決でいろいろなことを決めてきた。これからみんなでする遊び、学級委員、生徒会、文化祭の出し物、食べに行くお店などなど。多数決で決まった人は学級委員長になり、生徒会長になる。 多数決の過程を経ることで、関係者一同がそれぞれどんな意見を持っていようとも、結果を受け入れて従う。多数派になろうが少数派になろうが、私は一票を投じたことを介して決定には関与したことになる。これが多数決の結果を受け入れる根拠だ。この根拠のおかげで、多数決というの

          民主主義と多数決、それと批判的志向

          内向性と外向性

          人と人の距離をとらなきゃいけない時代が、突然やってきた。 テレワークやオンライン授業に切り替わり物理的に人が集まらなくなった今、「こっちのほうが居心地いいな」と思った人たちが少なからずいただろう。少しでも多く、できるだけ高く、精いっぱい遠くまでを目指し、ひたすら成長を求めてきた現代社会は「外向性」の強い人たちが作ってきたものなのだ。 「外向性」と「内向性」。 このふたつは、周りの環境に対する警戒感や反応の違いによる。 外向的な人の興味は外の世界に注がれる。多くの刺激を求

          内向性と外向性

          私の「つつましやかな暮らし」

          勢いに任せて9500字も書いてしまったが、その間にも有給休暇についてのニュースが流れてくる。 有休はお前のもんじゃない。 冒頭から言い訳だが、私のメンタルはもやし以下だということをご承知いただきたい。 悪意ある発言や態度に遭遇したら身体中が停止し眠くなるし、目の前でそれが起きたら比喩でなく本当に寝込む。 入力が自分で制御できない、一方的に映像や音が流れてくるテレビ、特にニュースは大の苦手で、出来る限り避けている。 そんな私が世間で起きていることを冷静に知ることができるのは、

          私の「つつましやかな暮らし」

          恐怖心の出所

          注射や血が怖い人にとって、それらは本能的に受け付けられない恐怖なのだろう。恐怖心は本人が理性で抑えられるものではなく、生まれ持った性質でどうしようもない。 幸い、私はどちらも平気なたちで、幼い頃から予防注射が怖くて逃げ出したいことはなかった。もっと怖いものなら他にたくさんあったが。体育の授業とか、マラソン大会とか、縄跳び大会とか、運動会とか、修学旅行とか、遠足とか、ジェットコースターとか、ジュラシックパークとか。 「血も注射も怖くない性質」だったこと、幸か不幸か、難病患者

          恐怖心の出所

          夏休みの景色

          母方の祖父母の家は、高知の山間部にあった。 夏休みが始まると、私たち家族四人は父の車で高知へと出発する。当時、うちの車にエアコンはついてなかった。夏は今ほど暑くなかったが、それでもちゃんと夏の暑さだし、まだ高速道路が通る前なので片道軽く4時間半、半分くらいがくねくね山道の旅だった。車酔いしやすい子供には過酷、大人にだってそれなりに過酷だっただろう。そういえば、周りの車にエアコンが付き始めた頃、「エアコンついてるふりをしよう」と見栄を張って窓を閉めたことがあったが、数秒でギブ

          夏休みの景色

          読書の見せてくれた世界

          代本板(だいほんばん)。 今や文字変換すらされない懐かしのアイテム。今もあるのかな? 図書館で本を借りる時、借りた本の場所に差し込んでおく、自分の名前が書いている台形の板のこと。 小学校の昼休み。お腹が満たされたクラスメイトが運動場に駆け出していく一方、私はたいてい図書館か誰もいなくなった教室で本を読んでいた。小学校低学年のころ、図書館は古い木造校舎にあり、階段の飴色に光る厚い床板は児童が踏みしめてきた場所が滑らかにすり減るほど年月が経っていた。隣には理科室があったように

          読書の見せてくれた世界

          小箱の中身

          僕はお母さんのおじいさんに一度だけ会ったことがある。 小学1年生の時だった。 その時「これを預かっておいてくれ」と小さな箱を渡されたのだが、それっきりおじいさんと会うことはなかった。 亡くなったという話を聞いたような気がする。 その預かった箱が机の引き出しから出てきた。 しまい込んでいたことをすっかり忘れていたらしい。 その箱は紙製で四角く、藍色で薄くストライプの地模様が描かれている。 両側の側面から黄色い紐が出ていて、上面で蛇が絡まったように複雑に結ばれている。 僕は

          小箱の中身

          初めての草

          2018年3月、秘密結社老犬倶楽部天国支部へ異動となったぴっちゃんは、その18年前の2000年秋、生後半年(推定)で我が家へやってきた。 その少し前、近所に住む女の子の後を追い、コンビニ袋をくわえたまま隣町から歩いてきたそうだ。もともと野良犬だったのか、どこかの家から脱走したのかは不明。当時、私は東京在住。「犬に興味のない人には犬が見えない法則」で我が家の両親にもその子犬には気づいていなかった。 我が家の近辺に落ち着いたのだが、何しろ人が怖いため田植え前の広い田んぼの真ん

          初めての草

          右と左

          「アブラハムの子」という歌。 ~♬ アブラハムには7人の子 1人はのっぽで あとはちび みんな仲良く暮らしてる さあ 踊りましょう 右手 左手 右と左を覚えるために、この歌を幼稚園や保育園で習った人も多いはず。 私も幼稚園でこの歌を歌い、この歌で右と左を覚えた。 この歌があまりに強烈だったのか、右と左を覚える能力が欠落していたのか、長らく私はこの歌をワンコーラス歌って「右手、左手」までたどり着き、初めて「あ、こっちが右だ」と判断していた。 瞬時の判断は、当然できない。

          言葉の途中

          姪がまだ小さかった頃(2~3歳)のこと。 弟夫婦と姪の3人が実家に泊まりに来た。当時、我が家にいたワンコのぴっちゃんはまだまだ元気な若造だった。 姪とぴっちゃん。ちから加減の調整が難しい3歳児 vs ワンコ。小さな人間が突然現れたことにぴっちゃんは焦りを隠せない。耳を伏せて腰を落とし、気を落ち付けようとしきりに頭を振っていた。 一方、姪はぴっちゃんに興味津々。あいさつ代わりに姪がジャーキーを数本あげると、徐々にお互いが慣れてきた。ジャーキーの威力たるや。ぴっちゃん即陥落

          言葉の途中

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          とりさん図鑑

          ダンナさんの撮影したとりさんで作った短いムービーです。 BGMは「チビ笛メドレー」(栗コーダカルテット)です。 http://www.kuricorder.com/discography/kuri_christmas2.shtml

          とりさん図鑑

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          テレホーダイと就職活動

          大学2年の時、初めてのパソコンを購入した。Macintosh LC630。メモリ8MB、HDD256MB。あれから25年近く経ち「ギガ」や「テラ」なんて聞いたこともない単位が当たり前になってきた。今やギガは増えたり減ったりするのよ!未来よ!! 大学のインターネットアカウントを手に入れ、インターネットの世界に足を踏み入れた。ぴ~ひょろひょろとモデムが鳴けば、たちまち山奥から世界につながる。そのうちにテレホーダイという23:00から6:00まで定額つなぎ放題というサービスが始ま

          テレホーダイと就職活動