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Photo by
elendira
胸を離れないひと⑤金木犀
鶏か卵か、の話。
新たに気に入ったものは、元々好きだったものになぞらえがち。
元々好きなものに似ていると思ったから、因んで新たに気に入るのか、
結局好きな要素が一緒だから、必然的に新たに気に入るのか、
好きなもの同士の共通点を探して納得したい心理なのか。
で、かつて、私は加藤さんの声を梔子と言ったけれど、
澤田さんは圧倒的に、金木犀なの。圧倒的に。
頼もしい大樹に育ち、その割にはたいてい、華やかな植栽の背後に地味に佇み普段は主張してこない。
で、いざ、ターンが来たら、香ばしく華やかな薫りを一気に街中に広げる
私にとって、澤田さんは、金木犀だ。
そろそろ金木犀の季節が来ますね。毎年9月の半ば過ぎ、今頃になると住宅街を歩いてうふふと思う。
ここ2年ほど、遅れがちかな、温暖化だな、まだ残暑…というか残夏(こんな言葉はない…はず、でも)。
待ってるよ金木犀。
とひそやかに思っていたら、うふふ。
気持ちの良い、やや涼やかになってきた夕暮れの風を受けて、今日一日の晴れた空に広がり始める夕暮れ。
はぁ、今日はいい日だった。頑張れたし、満足できた。さあおうち帰ろうっと。
ていう感じ。普通の、地味な、でもなかなか貴重な、満たされた一日の暮れ。
ていう気配が、澤田さんの声から広がってくるのよ。
※澤田さんに地味を見出す自分はマイノリティと自覚しています。
けなすどころか、私はむしろ地味なところが好きという意味の地味なので、お許しくださいね。