カパドーシャのトリートメント「ウドゥワルタナ」とは痩身目的よりさらにすごい
アーユルヴェーダの様々なトリートメントを知識をつけると
さらに「あれ?でも待って...理論上は○○と習ったのにこれって矛盾しているように感じるけど、どうして?」
そういうことがあるのがアーユルヴェーダ
アーユルヴェーダを始めると藪の中に入ってしまうかのようだとよく言われます
例えばカパなのにトリートメントにオイルを使用するのって果たして正解なの?
という疑問が浮かんだことはないですか
カパの不均衡にはオイルを使用せず薬草パウダーを使う
ウドワルタナというトリートメントがあるけど
具体的にオイルを使わない、薬草パウダーとオイルを混ぜる場合などいろいろあって
どう見極めたらいいのか
そんな方のお悩みの助けになれば私も嬉しいです
アーユルヴェーダのトリートメントで有名なケララ州
湿度の高いケララはカパの不均衡を生じやすいとも言えます
そのケララでもカパにはオイルを使用します
湿度の高いケララでカパ体質の人にたっぷりのオイルを使用してアビヤンガをしたら
さらにカパが増えて不均衡にならないのかしら?
そう疑問に思った方もいるのではないでしょうか
アーユルヴェーダを習い始めの頃にはこんな疑問がいろいろでてきます
アーユルヴェーダはインドのどこが発祥の地か
これにはいくつかの説があります
ヒマラヤのふもとでリシ(聖者)が修行をしてアーユルヴェーダが生まれたという説は
理論的なものを指しているという説があります
しかし様々なトリートメントはケララ州で発達していったとされていて
治療法や薬草の利用による実践が古くからケララで発展してきました
湿度の高いケララでのカパ体質のトリートメント
使用するのはオイルなのかパウダーなのか
ケララ州の気候は、典型的な熱帯モンスーン気候です。
一年を通じて気温が高く蒸し暑い高温多湿
モンスーンの影響で6月から9月にかけて大量の雨が降り、さらに短い雨季が10月から11月にかけての2回の雨季がある
12月から2月にかけては比較的乾燥した季節ですが、湿度は依然として高いです
冬でも気温がそれほど低くならず、寒さを感じることはほとんどありません
そんな湿度が高く雨も多く降るケララでもたっぷりオイルを使ってトリートメントする理由は
皮膚の浄化と保護
高温多湿な気候では皮膚がべたつきやすく、汚れがたまりやすい
オイルは皮膚の汚れを浮かせて取り除くのに効果的で
トリートメント後に皮膚が清潔でしっとりと保たれます
体内の毒素排出(デトックス)
アーユルヴェーダではオイルを使ったマッサージによって
体内の「アーマ」と呼ばれる毒素を外に排出すると考えられています
オイルが皮膚から浸透し血液循環を促進し毒素を汗や尿を通じて排出する助けになります
体質のバランス調整
アーユルヴェーダは、ヴァータ(風・動き)、ピッタ(火)、カパ(地・水)という3つのドーシャ(体質)が
正常に働くことで体内のバランスを保つと考えます
湿度の高い環境ではカッパやピッタだけでなくヴァータのアンバランスも生じやすいとされています
オイルトリートメントはこれらのドーシャを鎮静させるのに効果的です
え?ヴァータには湿度が必要なはず?
ヴァータは湿度が高い土地ならそんなに問題ないでしょ...
そう思いませんでしたか?
湿度の高さでアンバランスになるのかと言うと
心地よくない湿度であることで心身ともに不快になり
疲れやストレスを受けた心身に
ヴァータが増えてアンバランスになるのです
保湿と皮膚の健康維持
高湿度な土地なら室内ではエアコンをかけていることが多く
皮膚が乾燥することがあります
オイルは保湿効果が高く皮膚をしっかりと潤し柔軟性を保ちます
オイルは皮膚を保護し環境の変化から守る役割も果たします
リラクゼーションと精神的な効果
オイルトリートメントはリラクゼーションを促しストレスを軽減することから
ケララの湿度が高い環境でも心身の調和を保つために重要です
このような理由からケララ州では湿度が高い環境にもかかわらず
オイルを豊富に使ったトリートメントが行われています
カパ体質であってもヴァータもピッタも結局は乱れやすくなるということです
アーユルヴェーダの基礎理論どおり高湿度の環境では
一般的にカパ(地・水)のドーシャが不均衡になると考えられます
カパは安定性や構造を象徴するエネルギーですが
湿度が高いと増えすぎてしまい不均衡が生じやすくなります
ではカパにも使用されるオイルとはどんなオイルなのか
冷たく 重く 遅い(滞る)カパの性質を増やすさず
カパを鎮静する特性を持つものオイルが選ばれます
・軽い性質を持つオイル
・体を温める効果のあるオイル
トリートメントの方法
アーユルヴェーダのオイルマッサージであるアビヤンガは血液循環を促進し
リンパの流れを改善するためカパの不均衡によるむくみや重さの感覚を軽減します
マッサージによって体内の余分な水分が排出されるためカパの増加を防ぐことができます
しかしヴァータをなだめるアヴィヤンガとは方向は逆ですし圧も強めです
オイルトリートメントはデトックス効果が高く体内の余分なカパを排出する助けになります
汗や老廃物と一緒に体内に溜まった余分な水分や粘性の物質が排出されることで
カパのバランスを取り戻すことができます
体の重さやだるさを和らげエネルギーを再び流れやすくする効果があります
カパの過剰を調整する手段としてオイルが利用されています
湿度の高い環境でカパが増えすぎないように
このようにオイルの選択やトリートメントの方法でカパが増悪しない工夫をしています
但しアーユルヴェーダのトリートメントではカパがさらに過剰な場合は
ふんだんなオイルを使用するアビヤンガではなく
熱く煎った薬草パウダーで全身を擦るトリートメントがあります
カパが過剰な場合オイルを使用せず代わりに
「ウドゥワルタナ」というドライパウダーマッサージを行います
この方法は体内の過剰なカパを減らすために非常に効果的です
ウドゥワルタナ(Udwarthana)とは
乾燥した薬草パウダーや粉末を用いて全身を擦り込むことで
カパのバランスを整えるトリートメントです
使用する薬草パウダーは代謝を促進し、脂肪を減少させる作用がある薬草パウダーを使用します
この薬草パウダーを使用するウドワルタナをするには見極めが必要となります
さきほどお話したようにカパが乱れているけれど
カパ用のオイルとトリートメントの方向や圧を工夫するだけでもいい場合
薬草パウダーとオイルを混合する場合
薬草パウダーで擦っていく場合
これらのうち、どれを選択すべきかが重要となります
ウドワルタナは過剰なカパを減らすだけでなく
実は艶々な美肌をつくるトリートメントでもあります
ウドワルタナははけして痩身目的のみのトリートメントではないことをわかっていただけたでしょうか
セラピストさんには生易しいトリートメントではありません
しかしなにより多くの恩恵があるのもウドワルタナ
ハードな作業ですのでインドやスリランカでは
ウドワルタナは2人のセラピストさんでしているところも多いです
今回はカパと多湿な場所、カパに使用するオイルやトリートメント、
ウドワルタナについてざっくり書きましたが
ウドワルタナのトリートメントの方法や流れ、自分やクライアントへのトリートメントの選び方、
使用する薬草オイルとはどんなオイルなのか、具体的な見極め方について興味のある方は
こちらの記事
を読んでさらに深く知ってみてください