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アーユルヴェーダの医師が治療のために行う施術12

インドのアーユルヴェーダの医師が実際に診療所で行っている次の12の疾患と治療について生徒に講義した内容をシェアします。
・関節炎・リュウマチ・頸椎炎・腰痛・痛風・肥満・頭痛・片麻痺・坐骨神経痛・便秘・PMS月経前症候群

1.関節炎

アーマ(未消化物・毒素)を取り除く消化のためのハーブを飲んでから、マッサージします。
例 ) オイルで炒めた生姜ティースプーン1/4をお湯と一緒にとります。
生姜は生ならピッタを上げず、乾燥した粉状のものはピッタを上げます。
消化力(ラサ)が違うということです。

アーユルヴェーダでは関節炎をSandhigat Vatと言います。
Sandhiは関節,gat Vatはヴァータの異常という意味です。
外傷性関節炎
傷がなければダシャムーラオイルで軽くマッサージし、その箇所をダシャムーラの煎じ液のスチームをあてます。


2.リュウマチ、骨関節炎


消化力が低下して毒素が溜まり、体内で循環し心臓や血管にアーマが運ばれ、熱を持ったり、心臓や関節に問題を起こします。胃から始まり、心臓に行き、血管をとおり、関節に行き、心臓に影響を与え、最後にカッファドーシャのいる場所にアーマが拡がります。
さそりに嚙まれたような痛みが大きな関節部に急激に走り、その後で小さな関節に広がり、心臓が腫れ、うまく機能しなくなりリュウマチになります。
ダシャムーラオイルでとても軽いマッサージをする。
強くマッサージすると、全身にアーマが拡がってしまう。
アーマの異常による症状であるため、スチームをしてはいけない。
Waluka pottali (温めた乾いた砂)をピンダスエダと同じ要領でするか遠赤外線をする。

骨関節炎
骨関節炎をAsthigat Vataと言います。
食生活を改善したり、ドーシャに合った生活をすることで遅らせることができます。
Asthi は骨,gat Vatはヴァータの異常という意味です。
50歳以降の人に起こる一般的な疾患です。
歩いている時、動いている時に痛みがあり、同時にヴァータが増悪するため、睡眠の質が悪くなったり筋肉が弱くなり衰えます。
ダシャムーラオイルかナラヤンオイルでマッサージし、ダシャムーラの煎じ液のスチームをします。

3.頸椎炎

背骨の中で起き、脊椎の周りのじん帯と筋肉に炎症があります。ヴァータとピッタの異常から起こる疾患です。
年齢が上がり、体が老化するとともに炎症が起きます。
がたがたした道を通ることで衝撃を受けたり、悪い姿勢で座っていることが続くことでも起こります。
ダシャムーラオイルかナラヤンオイルで上から下の方向に軽くマッサージし、ダシャムーラの煎じ液のスチームをします。
ナラヤンオイルかギーでナスヤをします。
薬草とともに炒めて炊いた米を用いるピンダスエダ(パンチャカルマの前処理としてするトリートメント)をします。

4.腰痛

中年以降の男女によくおきる疾患で、性別による異なる原因があります。共通の原因としては肥満、運動不足、座っている仕事、重いものを持ち上げる仕事、悪い道をずっと運転する、姿勢の悪い座り方、骨と筋肉の老化、衰え、脊椎版の病気などがあります。女性では多胎妊娠、子宮筋腫、卵巣嚢腫などです。
ナラヤンオイルかダシャムーラオイルで軽くマッサージし、ダシャムーラの煎じ液でスチームする。
ピンダスエダをする。
バスティをする。薬草の煎じ汁の浣腸のこと。

5.痛風

痛風はVata Rakta と言います。
ヴァータ ラクタ(血液)は傷ついたヴァータによる疾患です。
現代医学では血中の尿素レベルが上がったために起こる病気です。
足が宙ぶらりんになっている状態で動いている人として、馬などの動物に乗る、運転する人は痛風になりやすいと言われています。
たいていの場合、足や手の親指の付け根から炎症が起き、痛み腫れあがります。
切ってみると尿素が溜まっているため、塩の塊りがあります。
急性の場合は全身に熱がでます。
足の親指から始まり、大きな関節から小さな関節へ移り、多くの場合、皮膚が赤くなり、アレルギのーような症状になります。
汗をかくか全く汗をかかないかどちらかです。
激しい痛みが骨や筋肉に出ます。
マッサージしないで、軽くダシャムーラオイルを塗りひろげる。
ダシャムーラの煎じ液でスチームする。
スチームの方法のひとつとして、やかんにホースをつなげ、15分前後スチームする。同じ場所ばかりしない。
アムリタハーブと牛乳を混ぜたものでダーラする。

6.肥満

肥満は代謝の異常や不調、甘いもの、消化に重いもの、油っこいものの食べすぎ、運動不足、遺伝、下垂体、甲状腺、腎臓、膵臓、性腺、視床下部の問題から起こります。
肥満になると次の症状がおきます。
脂肪と筋肉組織の増加は腰、腹部、胸を垂れさがらせます。
老化する。
過剰な汗がです。
体臭が強くなる。
呼吸困難。
過剰な空腹感。
体が弱る。
体力が落ち、男性は射精力が落ちる。
精神的混乱(正しく物事を判断できない)。
ワッチャやトリファラなどの薬草のドライパウダーで深く強いマッサージをして、ワルクポタリスエダ(乾燥した熱い砂のボール)や遠赤外線で熱を与えます。
※肥満についてのアーユルヴェーダのトリートメントの詳細の解説は次回します。

7.頭痛

頭痛はshirashoola と言います。
消化不良、便秘、風邪、悪い姿勢、インフルエンザ、筋肉の緊張、高血圧、目の屈折の異常、中耳の問題、歯の痛み、蓄膿症などからおこります。
ヴァータタイプの頭痛
強い痛みがあります。
感情的になり、イライラしたり鬱になり落ち込んだり、便秘や睡眠不足、肌の乾燥がおこります。
ピッタタイプの頭痛
顔と目が赤くなり、ヒリヒリする。イライラして怒る。
肝臓疾患がおきやすくなる。
カッファタイプの頭痛
鈍い痛み、頭重、疲労感、吐き気、過剰な唾液、痰がでる、上顎道に粘液の分泌物が集まる蓄膿症の頭痛

頭、顔、首、足の裏をナラヤンオイルでアビヤンガする。
ダシャムーラの煎じ液のスチームをする。
ダシャムーラオイルでナスヤする。
生姜、ナツメグ、ワッチャのレパ(シップ)おでこにに塗り広げる。
ごま油かダシャムーラオイルでシロダーラする。

8.片麻痺

体の半分が麻痺することをPakshavadhat
Paksha 片手、片足、体の半分、 Vadhat完全に機能を失うこと。
Ardita顔面麻痺
中枢神経と筋肉を含むヴァータドーシャの異常。
脳内出血、脳腫瘍で血液や酸素もうまく通れず、神経や筋肉のシステムが異常になることで麻痺が起きる。
ナラヤンオイルかダシャムーラオイルで全身をアビヤンガして、ダシャムーラの煎じ液でスチームする。
ナラヤンオイルでナスヤする。

9.坐骨神経痛

坐骨神経痛をGridhrasi(鷲)と言います。関節がない鳥であるため歩き方がおかしいことからの由来。
ヴァータの異常。腰のあたりにある坐骨神経は足まで通っていて足まで感覚があります。神経が圧迫されることで神経に影響がでる。椎間板ヘルニア、怪我や外傷によるもの、脊髄の主要や脊髄の病気、関節炎がある場所で起こります。
腰から足まで、脚の後ろ側全体に激しい痛みがでます。
歩行困難になる。
痛みによる不眠症。午後2-6時のヴァータの時間に痛みがでやすい。
Vishagarbha ヴィシャガルバかダシャムーラオイルでアビヤンガして、全身をダシャムーラの煎じ液でスチームする。
ナラヤンオイルでナスヤする。
症状により医師がアーユルヴェーダの内服処方する。

10.下肢静脈瘤


脚の血管がうねうねと曲がりくねり膨張する。
女性にとって大きな問題であり、ダンサー、ウェイトレス、ホテルなど立ち仕事やずっと脚を動かしている人に起こりやすい。
血管の弁が弱くなり正しく機能しなくなる。静脈の流れの異常。
便秘、妊娠などが原因として起きる。
脚の痛みと重みを軽減するため、ナラヤンオイルで軽く下から上に向かってプラティローマでマッサージしてダシャムーラの煎じ液でスチームするか、ピンダスエダします。

11.便秘


ヴァータドーシャが増える食事や生活習慣から起きます。
ヴァータを増やす食べ物としての一例では、ベーキングパウダーなどで作られたパンやラスクなどを継続して食べたり、やひよこ豆をたくさん食べるなど正しくない食事をすることでヴァータが増えると便秘の原因となる。
急性の場合、薬草の煎じ液か薬草オイルの浣腸をします。
トリファラを摂る。
慢性の場合、全身のアビヤンガと腹部を時計回りにマッサージする。
薬草の煎じ液か薬草オイルの浣腸をします。
ウダタイルバスティ へその周囲下腹部にバスティするか、ピチュダーラ(コットンにたっぷりのオイルを浸み込ませ、へその上にのせる)をする。

12.PMS月経前症候群


様々な生理にかんする症状として、生理が遅れる、生理前頭痛、胸の張り、硬さ、イライラ、突然気分が悪くなる、不安になるなどの精神的な問題は全てヴァータドーシャの異常。
生理中は体を生理にフォーカスさせなければいけないので、アビヤンガはしてはいけません。
アーユルヴェーダの医師は生理は宇宙の動きと同じことが体で起きているので、生理の邪魔になるようなことをしてはいけないと言います。
生理終了後にごま油やナラヤンオイルでアビヤンガをします。
下腹部を時計回りにやさしくマッサージして、スウェダナします。
湯たんぽなどでお腹を温めます。

胸の張りがある時は胸のマッサージとヴァータドーシャを整えるバスティが必要です。

いかがでしたでしょうか。
ビギナーの方はアーユルヴェーダのトリートメントはとても独特なものに感じたのではないでしょうか。

若返り、老化防止をラサ―ヤナと言います。
アーユルヴェーダでは老化も病気の1つであると言います。
若返り、老化防止のトリートメントもアーユルヴェーダの重要な一部になっています。


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