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青春のはしかに塗る薬はない

前書き

僕は中高一貫校の教師ですが、もともとは高校で教えたくて、低学年の子どもは苦手でした。
はじめて中1を担任したのは教師になって5年目。彼らと過ごして、子供の尊さを知りました。
この体験が無かったら、結婚も子育ても出来なかったかもしれません。教師としても親としても、この1年間が原体験です。
大事な文章なので、初めて有料にしました。あなたにとって、読書であることを願います。

※この学校はもう転職し、違うところで現在は教えています。


僕の大好きな太宰治は、文学の世界では「青春のはしか」と呼ばれている。
若いときに必ずハマるが、いつまでも追いかけていては大人になれないといった意味で、今の言葉にすれば要するに「中二病」である。

お恥ずかしい話だ。

先日、久しぶりに「本当に面白い!」と思えた本に出会った。「社会人大学人見知り学部卒業見込み」(文庫本がオススメ、あとがきが名文。)というタイトルで、筆者はオードリーの若林である。

彼の感性と文章は、「タレント本」などという範疇を遙かに超えた素晴らしい随筆で、一気に読み終えた時には午前3時を過ぎていた。

  • 目に見えない暗黙のルールになじめず、自分の置かれている状況を俯瞰してしまい、つい気持ちが冷めてしまう。

  • 客観の自意識が強く、素直に行動できない。

  • 物事の裏側が見えてしまう。

これはまさに太宰治の世界で、いい年して恥ずかしいが、深く共感してしまった。

僕は元々、高校の現代文の教師になりたくて、折角ならばハイレベルな内容が教えたかった。だから塾講師時代も高学年の上位クラスを担当し、大学受験をしていないくせに教員採用も「進学校」と呼ばれる学校を中心に受けていた。

本当の進学校には手も足も出ず落とされ続けたけれど。

だから2年前、中1を担当すると決まったときは複雑な心境だった。

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