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スペインで震災映画上映

こんにちは!ツアーガイドのFujikoです✨
13年前に書いたスペイン留学ブログ「不惑のハポネサ」を、25回のシリーズで別バージョンでお届けします。映画業界で働いていた頃の体験をお楽しみください!



ありのままの震災を映画で伝えたい🎥

スペインに到着して2か月後の2012年3月。
私は以下のようなメールを日本の友人や知人に送信しました📧


Date: 2012.03.05
To: 知人・友人
Subject: スペイン・マドリード、浅野藤子より
Message:

皆さま
こんにちは🌞
すっかりご無沙汰しております✨お元気でしょうか?

スペインに旅立ってから、早くも2か月が過ぎました。
その間、いろんな方々から励ましのお言葉を頂戴し、心より感謝申し上げます🙏

おかげさまで、ようやく新生活に慣れてきました。
地下鉄に乗ること、銀行口座を開くこと、スーパーで買い物をすることなど、一つ一つが新鮮で挑戦でしたが、スペイン語を除いてあまり不便さを感じず生活できています✨

住まいはマドリード市民憩いの場、レティロ公園のすぐ近くで、日本人男性のオーナーとスペイン人女性の3人でピソに住んでいます🏡
また、プラド美術館など有名美術館へ徒歩20分という好立地!週末はレティロ公園でマラソンランナーたちが賑わい、私も来週末にはデビューしようと考えています🏃‍♀️

レティロ公園

大学生活は充実しており、毎日の宿題をこなすのに必死です📚(この歳で…😅)
また、生徒よりも教授と年が近いため、教授は私に教えづらいかもしれませんね😅

そして、明後日7日から始まる国際交流基金主催の震災映画特集もお手伝いしています🎬

「11.3: Japón, en el camino de la superación(3月11日:日本、前進の途上にて)」というタイトルで、いくつかプログラムが分かれています✨


「11.3: Japón, en el camino de la superación」パンフレット

私は「(1) ドキュメンタリー映画上映:被災地に寄り添って」を担当しました
以下、上映作品です📽️

  • 『相馬看花 奪われた土地の記憶』 監督:松林要樹

  • 『3.11 A Sense of Home Films』 監督:ビクトル・エリセ、河瀬直美、ジャ・ジャンクー他21名

  • 『トーキョードリフター』 監督:松江哲明

  • 『なみのおと』 監督:濱口竜介、酒井耕

  • 『雪海』 監督:大竹暁

ゲストには、ビクトル・エリセ監督にもご来場いただく予定です🎥
「マドリードにはいるようにするよ」とメールで再確認はできたものの、最後まで気は抜けません😅

日本からは『相馬看花』の松林要樹監督をマドリードにお招きします✈️
スペイン人がどのようにこれらの作品を受け取ってくれるのか、とてもドキドキしています💓

このように、マドリードにいても日本での生活と変わらない日々を送っています
お時間がありましたら、ぜひ皆さんの近況もお聞かせくださいね📝

それでは、adiós!
浅野藤子


渡西して新生活にようやく慣れた頃なのに
もう2日後に開催される上映会の告知をしている🎥映画愛もほどほどに…という声が聞こえてきそうだ
懐かしくもあり、恥ずかしくも感じる😅でも、どこへ行っても多忙好きなハポネサ(私)なのだ🌏

もともとこの企画は、渡西前の2011年11月に私が国際交流基金マドリード事務所の所長U氏にメールを書いたことから始まった。
それは、これまで長い間映画の上映事業に関わってきた"上映好きの虫"がマドリードでも何かしたいとウズウズしたことから始まった🎥

加えて、スペインへ行けば、必ず震災について聞かれると思っていた。
震災について思うことや知ってほしい情報を伝えるのは口頭でもできるが、映画の上映という形で伝えることも一つだと思っていた🎬

それは、私がこの仕事(映画祭の企画・運営)に関わってきたのであれば当然の発想であり、私らしい表現方法でもある。
稚拙な言葉よりも、震災の現場に足を運び、現地の人々の話に耳を傾け、カメラにその映像を納めた映画の方が、より観客に訴える力を持っていると感じた🎥
そうした作品に私がそれを選んだ理由を盛り込んで紹介した方が、より強く、深く、広く伝わると確信していた✨

当時は震災から1年も経過しておらず、マスコミが報道する震災のイメージ――押し流された瓦礫の山や積み上げられた車、防護服を着た人々――が多くの人々の記憶を支配しているように感じていた。
「震災の現実はそれだけではない」と伝えたかった💬

私のそんな思いにU氏は同意してくれ、スペイン語字幕の費用は財団が持つことになった🎟️
その頃、日本で従事していた「東京国際映画祭2011」が終わるとすぐに、上映会の候補作品を集めるつもりでいた🎬


'追い求める者'は救われる💡

留学の準備を進めるため、私は映画祭を一つの区切りとし、東京から実家のある山形へと生活の場を移そうとしていた🏡
日中は仕事の残務整理、週末には完全撤退のための準備を進め、夜はお世話になった人々への挨拶回りに時間を費やしていた⌛映画祭の残務整理、引越準備、そして留学の準備…。映画祭が終われば時間ができると思っていたのは勘違いだった💦

それに加えて、スペインでの「国際交流基金主催震災映画特集」の下準備も進めていた📽️言い出しっぺは私だから、忙しさに押しつぶされそうになりながらも、自分の"上映好きの虫"を呪っていた🐞

作品の選定作業は、これまで経験したことがないほどの精神力を要するものだった。
今の民生用ビデオカメラは誰でも使える上、スクリーン上映にも耐えられるクオリティーを持っているため、震災の映像を撮影しようとする人々が国内外から集まった📷そのため、出来の良し悪しに関わらず無数の"作品"が生まれた。
その中から、メディアでは伝えきれない情景や人々を映し出し、かつメッセージ性があり、上映に耐える作品を探すことは物理的にも精神的にも容易ではなかった😓
それでも私は、疲れた心身にムチを打ち進み続けた💪これまでに築いた監督やプロデューサーとの信頼できるネットワークを駆使して、作品を集め、選んでいった🎥

そんな私を偶然の神は見捨てなかった✨引越の荷物に詰め込もうとしていた未鑑賞のDVDの山、その一番上にあった1本の映画が松林要樹監督の『相馬看花 奪われた土地の記憶』だった📀
松林監督とは面識があり、東京国際映画祭のパーティーでこの作品をもらったのだ🎉映画人の間でも評価が高く、私も好印象を抱いていた

すぐに作品を観た🎬灯台下暗しとはこのことか…
私がスペインでの上映会に求めていたものは、まさにこの作品だった。
これをきっかけに、さらに数本の作品を候補に上げることができた🎥

山形の実家に戻り、まずは近所の温泉へ♨️雪がちらほら降る中で入る温泉は格別だった!ふーっと息をつくと、また頭に一つのアイデアが閃いた💡

「ゲストはエリセ監督がいいんじゃない?!マドリードに住んでいるし、ちょうどいいかも!」
観客の前で挨拶する彼の姿を想像し、湯に浸かりながら興奮した🛁

スペイン出身のビクトル・エリセ監督は、『ミツバチのささやき』や『エル・スール』で知られる世界的な映画監督🎥1968年にデビューして以来、10年に1本のペースでしか映画を作らない希少な存在で、その全てが高評価を得ている🌟
日本の河瀬直美監督とも親交があり、彼女の声かけでエリセ監督も参加したオムニバス作品『3.11 A Sense of Home Films』も上映しよう!と考えた🎬

点と点が繋がり、私の願いと企画が現実の形になっていく瞬間だった✨

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