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分割キーボードmoNaの利用1ヶ月レビュー【自作キーボード】
moNaの試作を購入してからそろそろ2ヶ月が経ちます。最近はこのmoNaでしか入力作業をしていないです。
moNa2も販売されたので、ここら辺で一旦moNaのレビューをアップデートしたいと思います。そしてなぜおすすめなのかを長々と語ろうと思います。長いので目次から適当に飛ばして読んでください。
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moNaについて
moNaはroBaというキーボードの影響を強く受けており、roBaを小さくしたものというコンセプトです。ではroBaはというと簡単に言えば無線のKeyballという感じで、大きくKeyballの影響を受けています。そしてKeyballというのはトラックボール付きのキーボードの(ほぼ)代名詞という感じです。
詳細は省きますが上のように解釈すると、moNaはKeyballから数えて3世代目のトラックボール付きキーボードです。それぞれ詳しくはこちらの記事などを参照ください。
トラックボール付きキーボードは最近の自作キーボードの流行りになりつつあります。KeyballをはじめとしてYouTuberなどに取り上げられて人気に火がつき始めています。
スペック
一旦機能を整理します。
トラックボール付き
分割キーボード
カラムスタッガード40%キーボード
ロータリーエンコーダ搭載
狭ピッチ(17mm)
バッテリー駆動Bluetooth無線接続
1ヶ月利用レビュー
ファーストインプレッションはこちらです。
使用感
総評
ファーストインプレッションとほぼ変わらず、個人的には最高のキーボードではあると思います。キーの配置の設計が味噌で、ホームポジションから完全に動かないで打てるキーしかないです。ホームポジションに手を置いた時、そのまま手をパーに広げた範囲にほぼ全てのキーが入っています。
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またトラックボールもホームポジションで操作できるので、これによりマウスとキーボードの間を行ったり来たりしないで、完全に指だけでパソコンの操作をすべて完結できるのです。これは革命的で、一度これを体験したらマウスに手を伸ばすのが億劫でしょうがないです。
ロータリーエンコーダー
次にロータリーエンコーダーです。割り当てはマウスのスクロールですね。色々設定の仕方はありますが、自分はマウススクロールと同じ機能をこのノブのロータリーエンコーダーに割り当てています。最初は少し戸惑いましたが、現在は微調整もしやすく、快適に利用しています。あとは音量調整と輝度調整にもレイヤー変えると使えるようにしていますが、基本使うのはスクロール、あとは音量調整です。水平スクロールはmacの機能のシフトキーを押しながらのスクロールで行っています。0y
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キーキャップ
キーキャップはとりあえず販売のものを使うといいと思いますが、私はカスタムして自作のを使っています。この形状だと手を動かす範囲が少なくなり、より簡単に入力操作ができる...と思っています。形状自体は結構こだわって作ったのでそのうち公開します。
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公式ドキュメントでも紹介されているのはJunana MXというキーキャップです。Boothで購入できるので家に3Dプリンター無くても安心ですね。
狭ピッチ
狭ピッチなので指を動かす距離も小さくなり、より少ない動作で入力ができるようになりました。最初のうちは少し狭ピッチのせいで打ち間違いもしましたが、3日くらいで慣れました。動作を少なく入力できる体験は非常に良く、慣れるともはやこの狭ピッチでしか入力したくなくなります。
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無線接続
無線で気になるのはバッテリーだと思いますが。ほとんど毎日使っていますが1週間くらいは充電しなくても大丈夫です。もちろん毎日の使う時間によると思いますが、少なくともApple Watchよりは電池もちがいいですね。またデスクでは充電しながら使ってるのであまり気になりません。バッテリー容量は結構小さめの170mAhくらいなので、もしも電池が切れるのであれば大きめのに自分で付け替えても良いと思います。自分はこれ以上大きくする理由もないので、現状に満足しています。
キーマップ
キーマップの変更は少し時間がかかり、毎回GitHub Actionsの書き出しが必要です。しかしzmkは結構自由度が高く、コンボキーや長押しで切り替えたり、少ないキーで色々やろうとするのに必要な機能はすべて揃っています。書き出しに時間がかかりますが、大体のキーマップが固まればそんな高頻度で変更することはないのであまり気になりません。
レイヤーはこんな感じです。オートマウスレイヤーの継続時間が長すぎたので、0.1秒くらいの短時間に変更しました。レイヤーはKeyMapEditorによって簡単に変更できます。
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こだわりポイントとしてはKeyballのデフォルトのキーマップを参考にしています。マウススクロールを割り当てているノブの方法などはこちらの記事にも掲載しています。
外観
自作キーボードの醍醐味は自分でカスタマイズをして、より最適な形状にしていくことです。なので現状の自分のキーボードはカスタマイズされているので、手元に届いた時の形状とは異なります。今回は購入時の写真も掲載します。
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購入時を見て頂くとわかる通り、かなりコンパクトです。狭ピッチでしかも薄型、携帯性も非常に高いです。
携帯性
外出時にはPCと一緒にこのキーボードを持っています。私はトラックボールを取り外せるように改造しているので、よりコンパクトにして持ち運べます。
磁気ポゴピンに換装。全然磁石強くて普通に使うぶんには問題なさそう https://t.co/6nFDLVo4Bs pic.twitter.com/F6p31xdLV4
— 電電猫猫/ Naoki (@nya3_neko2) November 13, 2024
トラックボールの改造はこの記事でも紹介しています。
無線であるというのは持ち運びの時の利便性が高いです。ケーブルとかの付属品を持たなくて良いので、よりコンパクトにすることが可能なのです。
持ち運び用のケースはこのASTRA SPORTSのケースを使っています。硬めなのでしっかりキーボードを保護してくれます。中にポケットもあるので、短めのケーブルを入れたりできてちょうどいいです。ただこのケースはトラックボール付きでは入らないので、使うのであればトラックボールを取り外せる改造が必要です。
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おすすめする利用者
この記事を読んでいる方には購入を悩んでいる、実際に使っている自分が使ったときの使用感はどうかなどを考えている方もいらっしゃると思うので、そういったありそうな疑問も合わせて一ユーザーとして書いてみます。
まずはおすすめする方です。
自作キーボードの初心者・玄人問わずおすすめ
トラックボール付きキーボードの入門におすすめ
キーボードの持ち運びを考えている方におすすめ
分割キーボードの入門にもおすすめ
という感じで、ほぼ万人におすすめできるものと言えます。なんでもござれの属性もりもりキーボードです。逆に向かない人は、この属性もりもりほどは求めていないという謙虚な方かもしれません。
なぜおすすめなのか?
ここからは私がmoNaをイチオシする理由と、初めて購入してハードルになりそうな部分も紹介します。
はんだ付けが不要
はんだ付けが不要というのは非常にありがたいです。多くの自作キーボードははんだ付けは自分で行います。初心者が初めてはんだ付けをするとスイッチが浮いてしまったり、接触不良を起こしてしまうこともあります。しかもここで問題なのはそういう不具合を起こしたときに自分で解決する必要があることです。一応慣れればどこに不具合があるか考える方法がわかるようになります。
例えば1つのキーが反応しないのならいくつか理由が考えられます。まずはキースイッチ自体の不具合。キースイッチの端子が折れてちゃんと刺さってないとか、キースイッチの中身自体が壊れている可能性もあります。ちゃんと動作しているキースイッチと取り替えてキースイッチの問題でないことが確認できたら、問題があるのは基板かもしれないです。ピンセットで通電して動作するのなら、キースイッチのソケットがダメなのかもしれないです。と、このように仮説->検証を何度も行って問題の範囲を絞っていく作業が必要になります。結構骨の折れる作業ではあるので、これをしないで動作確認が取れたものを購入できるのは非常に嬉しいです。
このような理由から初心者にもmoNaはおすすめです。
完全無線
最近は無線の分割キーボードが増えてきてはいますが、それでもまだまだ少ないです。特に左右間も無線で接続するのは少し手間です。自分で作るにしても少し面倒くさいので、すべて無線でできるのはメリットしかありません。持ち運びのときにコンパクトだし、煩わしいケーブルがないのは最高です。
トラックボール付き分割キーボード
私の個人的な意見としては、moNaはトラックボール付き分割キーボードとして一番良い選択肢だと思います。
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トラックボール付きキーボードというのは非常に素晴らしいです。ホームポジションを動かないというたった1点だけで購入する価値があります。ホームポジションから動かないということは手をキーボードから離す必要がないのです。あなたがVimmerでもない限りは大体の方は作業中にマウスとキーボードの往復をしています。トラックボール付きというだけでこの往復時間が0になるのです。「そんな大差ないのでは...」と思うかもしますが、あなたの人生でどれだけの時間がこの往復に費やすのかを考えてみると結構大差があると思います。
初めての購入で気になりそうなところ
moNaを布教したいので、ファースト自作キーボードをmoNaにしようと悩んでいる方向けでありそうな疑問や心配を書きます。あくまで一購入者の意見ですので悪しからず。
キースイッチは付属しない
moNaは半田付けも不要ですが、一つだけ自分で行う必要のある作業がキースイッチのはめ込みです。まだ自作キーボードなどを使ったことがない方には少し難しく思うかもしれませんが、実際は自分でキースイッチを買ってはめ込んでいくだけです。10分もかかりません。キースイッチはおすすめのlofree ghostがビルドガイドに書いてあるでそちらを購入すると良いでしょう。
いわゆるベアボーンという状態ですが、キースイッチのはめ込みは何も難しくありません。別のキーボードですが、キースイッチのはめ込みをしている動画があります。こちらも短時間で完了しています。
分割キーボードである
これは初めて分割ーボードに触る方には少しハードルに感じるかもありません。すでに分割キーボードをご利用の方には不要な心配ですね。分割キーボードになると右手と左手で押せるキーが限定されます。例えば右手でGに指を伸ばすなどはできません。
こう聞くと少し不安に思うかもしれませんが、大丈夫です。慣れます。初めての分割キーボードであれば1週間かそこらで慣れます。もちろん最初は少しタイピングが遅くなりますが、その代わりにあなたは「ホームポジションから絶対に手を動かさない恩恵」を受けられます。
40%キーボードである
40%キーボードとはキーボードのサイズで、テンキーのあるフルサイズのキーボードからの比率で呼びます。大体40キーくらいあると思えばいいです。%の割合は結構曖昧で、厳密ではないですがこれくらいのサイズなんだなくらいの気持ちで知っておいてください。
40%っていうと結構小さくて、手の指は指10本なので1本の指で大体4つのキーを操作することになります。大体のmacbookとかの標準的なキーボードは数字キーの列もあり、5行はあります。しかも左右も広くキー数が多いです。キー数が少ないですが、入力する必要のあるキーは変わりません。ではどうやって使えばいいのかというとレイヤーという機能を使うのです。
レイヤーの機能は簡単に言えばシフトキーです。大文字を出すときにシフトキーと合わせて他のキーを押しますよね?それと同様にレイヤーキーと言われるキーを押しながら押すと記号を打てるなどの設定をするのです。40キーあったのが、もう1つレイヤーを加えれば80種類。もう1つレイヤーを入れれば120種類も打てます。100キーもあれば大体の入力は問題なく使えます。先程のキーマップを見て頂ければどういうことかは大まかにわかるでしょう。
「でもレイヤーキーを使いこなせるかな...?」 と思っているあなた、大丈夫です。慣れます。 新しい配列にしても基本を変えなければ3日、長くても1週間もあれば覚えてしまいます。人間の学習能力は思ったより高いので、自分のポテンシャルを信じて40%キーボードに踏み出すのをおすすめします。
狭ピッチ
端的に言うとキーが小さいです。と言ってもほんの少しです。標準的なキーボードのキーは19mmの間隔で配置されています。私の指の幅を測ってみると人差し指でも15mm程度であり、ここから考えるとキーの横幅がそれより大きいくらいでいいのです。19mmと17mmではキーの移動量が違います。たった2mmですが、されど2mmです。
実際に17mmの狭ピッチのキーボードを使ってみるとわかることですが、キーが近いです。なのでタイピングで指を広げる範囲も狭くなり、少ない動きでタイピングができます。例えば小指を大きく伸ばして一番右端のキーを無理して押していませんか?大体キーボードで無理しているのは小指です。その無理を19mm -> 17mmに変更するだけで10%程度も軽減できるのです。10%は小さいですが、この一見小さくとも実用での大きい違いをあなたの小指はすぐに知ることになるでしょう。
moNa(左手トラボ)
moNa2ではなく、最初のmoNaは左手側にトラックボールが搭載されていました。左手トラックボールのメリットとしては勉強するときに、左手だけで画面を操作し、右手でiPadにメモを書くなどの勉強法が取れるのが便利でいいです。
私は右利きです。全体で見ても右利きの方が多いと思います。さて、「右利きでも左手トラックボールは使えるのか?」というところですが、大丈夫です。慣れます。 本当に慣れます。使い始めではトラックボールがプルプル動いてしまったりもしましたが、今は慣れてそのようなこともありません。Fusionなどの3DモデリングやプログラミングもこのmoNaの左手トラックボールで快適に使っています。
これは相場的には高い?安い?
これは私の主観ですが、自作キーボードとしては全く高くないです。先日のmoNa2の発売価格はキーキャップ込みで30000円台前半です。これはめちゃくちゃ安いです。「でも3万円のキーボードって...」みたいに思っている方、たしかにその懸念は正しいです。実際それくらい出せばHHKBも買えますし、でもあなたはそれで満足しないからこのnoteを読んでいる。
世間一般的にはキーボードで3万円は高いみたいな気持ちになります。それもわかります。しかし、これは自作キーボードです。ほとんどがハンドメイドで作られており、大量生産などもしていないものです。ほとんどが1点ものに近い。それを考えれば価格自体には理解できると思います。実際に設計から自作キーボードを作ってみると大変な作業ですし、それを販売しようとするなら尚更大変です。しかし、そもそもあなたはこのnoteにきた時点でコスパを求めてきているわけではないでしょう。
moNaはトラックボールマウス+キーボードです。それらがオールインワンだと考えると自分は納得できますし、分割キーボードは肩こりにもなりにくくなります。整体に行くコストを考えるとトータルプラス、ガジェットとしてテンションが上がるので結果的に爆アドです。
これは個人的な意見ですが、現代の作業で多くのオフィスワーカーが一番長く触るものっていうのはキーボードです。大工さんで言えば玄翁(トンカチ)みたいな話ですね。そこにお金をかけるというのは悪くない選択肢だと思います。気に入る道具を使って仕事のモチベを上げるというのも無駄遣いではないです。
「でもやっぱり高い...」と思っている方、大丈夫です。慣れます。 やっぱり高いからほかで妥協しようとしているのならじっくり悩んでみてください。1、2時間も調べてみると感覚が「moNaやすいじゃん」と慣れていることでしょう。というか、そもそも自作キーボードに手を出そうとする時点であなたは現状のキーボードに何らかの不満を持っています。それを解決するために、大枚をはたこうとしている現状があってこのnoteにきたのでしょう。moNaは必ずあなたの期待に応えるスペックを持っています。あなたの欲しい機能が「コンパクトで、分割キーボードで、無線で、トラックボール付き」というmoNaのコンセプトに合致しているのなら今すぐBoothの入荷通知を入れておきましょう。
少し熱くなりすぎましたが、私はこの価格を高くないと思っています。
接続が途切れたりしないの?
Bluetoothでの接続が途切れることはないです。現状遅延や切断などは感じたことがありません。非常に安定して動作しており、実用上で問題になるようなことはないです。最近はzmkというファームウェアがBluetoothで接続する自作キーボードでは流行りであり、安定性が高いなどの点でメリットがあるからです。このmoNaもzmkを利用しています。
おわりに
ここまでmoNaを激推ししてきました。私が持っているのが試作のものなので、次に左手トラックボールの新バージョンが発売されたら購入したいと思います。
レビューのまとめ
moNaは2ヶ月程度の使用を通じて、以下の点で特に優れた自作キーボードだと実感しています:
ホームポジションを動かさない設計による効率的な操作性
無線接続の安定性と携帯性の高さと長時間利用可能な低消費電力
トラックボール統合による作業効率の向上
カスタマイズの可能性
私自身、以下のようなカスタマイズを行って更に使い勝手を向上させました:
トラックボールの着脱機構の改造
キーキャップの最適化
レイヤー設定の調整
これらのカスタマイズはオプションであり、標準の状態でも十分に実用的です。ただし、さらなる最適化を目指す方には3Dプリンターなどの工作環境があると可能性が広がります。
私は家に普通の紙に印刷する2Dプリンターはないですが、3Dプリンターはあります。
今後の展望
試作版を使用した経験から、moNa3にも大きな期待を寄せています
moNaは単なるキーボードではなく、作業環境を改善するためのオールインワンの入力インターフェースとして大きな可能性を秘めています。興味を持たれた方は、まずはBoothの在庫通知を入れておきましょう!