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いつかこの映画が「古いw」って言われればいいなと思った|映画『そばかす』感想

やっと行けました、映画『そばかす』。

性欲も恋愛感情も無いことを、誰にも信じてもらえず、生きづらさを抱える主人公、佳純。演じるのは『ドライブ・マイ・カー』で寡黙な運転手役を演じた三浦透子さん。

これが映画の題材になり得るのが令和らしくもあり、わたしたちは次の年号を待たずして、もはや題材になり得ない日常にしなきゃいけないなと思う。
なにも悪いことしていないのに謝らなければいけないことも、恐怖を抱くこともないように。
佳純の人生を切り取って2回目の映画を撮るなら、もっと穏やかな顔でいられるように。


性的マイノリティの話題だけでなく、転職とか、キャンプとか、家族仲だとか脇役としてのうつ病とか飲み会断る若者とか。誇張し過ぎていない「今っぽさ」で彩られていて、これからのわたしたちの意思を先取りして視覚化してくれたような気持ち。



劇中、賛同しかねる問いに、佳純が頷くべきか何が正解か探りかねている数秒で視界が揺れた。間の気まずさに耐えきれず、思わず頷いている私自身だった。共感性の高さに自分で引いた。

「チェロって一番人の声に近い音なんだって」

だから私はチェロをやりたかったんだ、自分の声では何も言えない私だから、と佳純は言うけれど、私より自分の意思を守れているように見えた。
今までの佳純も強くて、沈黙を恐れない強さを持っている。そこには脆さもあった。

沈黙を破る強さも得たこれからの佳純は、全部抱きしめて、進んでいける。



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