【2024年大統領選】「トランプ連勝」共和党予備選 1月の動き
こんにちは。雪だるま@選挙です。この記事では、1月15日のアイオワ州党員集会から始まった共和党予備選について、1月の動きを分析することにします。
初戦のアイオワ州、続くニューハンプシャー州ではともにトランプ氏が勝利しました。年明けからのクリスティ氏、ラマスワミ氏、デサンティス氏の相次ぐ撤退についても、その時期と影響について考えます。
10日 クリスティ氏撤退
トランプ氏を強く批判してきたクリスティ前ニュージャージー州知事は、1月10日に選挙戦からの撤退を表明しました。クリスティ氏の支持率は、撤退前の世論調査平均で3.5%と指名獲得は望めない水準となっていました。
しかし、クリスティ氏の撤退は局所的に大きな影響を与えると捉えられていました。ニューハンプシャー州の世論調査では、クリスティ氏が比較的高い支持率を得ていたためです。
ニューハンプシャー州では、共和党支持者の間でも比較的穏健層が多く、トランプ氏に批判的な有権者が一定数いるとみられています。クリスティ氏は「反トランプ」を鮮明に選挙戦を展開してきましたが、撤退すればトランプ氏と距離のある二番手・ヘイリー氏に支持が結集する可能性がありました。実際に、クリスティ氏撤退後にヘイリー氏は一定の支持を獲得しています。
15日 アイオワ州党員集会 トランプ勝利
アイオワ州党員集会では、トランプ氏が50%を超える得票率で勝利しました。
2位はデサンティス氏、3位はヘイリー氏という結果となりました。両者は接戦でしたが、デサンティス氏は事前の世論調査を超える支持率を獲得し、保守色の強いアイオワ州に投資してきた成果が表れたといえます。
ヘイリー氏も支持率を上昇させていましたが、支持者の熱意は相対的に低く、大寒波の影響もありデサンティス氏を追い抜くことはできませんでした。
アイオワ州党員集会後の情勢は、ヘイリー氏にとって二重の意味で厳しいものとなりました。まず、アイオワ州で競り合っていたデサンティス氏に勝ちきれなかったことは、ヘイリー氏の全国的な上昇傾向にブレーキをかけることになりました。
次戦のニューハンプシャー州でも、激しく追い上げていたヘイリー氏に対し、トランプ氏がアイオワ州党員集会後に突き放すような支持率の変動が見られました。
2つ目の要因は、ラマスワミ氏の撤退です。ラマスワミ氏は、一貫してトランプ氏に近い立場を取り、予備選でもトランプ氏の支持層からある程度支持を奪っていました。
アイオワ州党員集会後、ラマスワミ氏は撤退してトランプ氏支持を明らかにしました。接戦が予想されていたニューハンプシャー州では、ラマスワミ氏の撤退がトランプ氏を利することは明らかであり、逆転に望みをかけるヘイリー氏には痛手となりました
21日 デサンティス氏撤退
デサンティス氏も、予備選から撤退しトランプ氏支持を表明しました。保守色の強いアイオワ州での巻き返しに注力していたデサンティス氏ですが、大差でトランプ氏に敗れたことを受け、選挙戦を終えることを決断しました。
デサンティス氏の撤退を受け、選挙戦はヘイリー氏とトランプ氏の一騎打ちになりました。一時は最有力候補と目されていたデサンティス氏がトランプ支持を表明したことで、選挙戦の構図は決定的となりました。
23日 ニューハンプシャー州予備選 トランプ勝利も接戦に
1月23日に実施されたニューハンプシャー州予備選挙でも、トランプ氏が勝利しました。しかし、初戦のアイオワ州とは異なり、トランプ氏とヘイリー氏は激戦となりました。
トランプ氏とヘイリー氏の差は10ポイント程度で、選挙結果は接戦でした。ニューハンプシャー州では無党派層も参加できる形態のため、無党派層がヘイリー氏に投票したことも要因です。
無党派層ではヘイリー氏が64%の得票を獲得しました。共和党員の間では3/4がトランプ氏に投票したのとは対照的な結果といえます。また、これに加えてニューハンプシャー州では、共和党員の中でも比較的穏健な人が多く、トランプ氏に反対する形で投票する有権者が一定数いたため、両者は激戦になったとみられます。
また、出口調査からは両氏の支持基盤の特徴も見えてきます。
大卒有権者ではヘイリー氏が56%を獲得したのに対し、非大卒有権者ではトランプ氏が67%を獲得しました。
都市の有権者の間ではヘイリー氏が上回るのに対し、郊外や地方部の有権者ではトランプ氏が上回っています。
このように、トランプ氏の「岩盤支持層」は非大卒で人口が少ない地域に居住している傾向が強く、これはアイオワ州党員集会の出口調査でも確認されています。
年代別では、年代が上がるほど少しヘイリー氏が支持を伸ばす傾向がわかります。若年層ではトランプ氏の支持率が高く、この濃淡はそれほど鮮明ではありませんが、若年層は「トランプの共和党」しか知らない世代であり、トランプ氏支持が強く出ている可能性があります。
このような角度で分析すると、トランプ氏の「岩盤支持層」は非大卒や農村居住、あるいは若年層など、様々な理由で「トランプ氏以外を支持しない」という傾向をもつに対して、大卒や都市の有権者は「トランプ氏以外の選択肢も考慮に入れる」という傾向が見えてきています。
ただし、トランプ氏以外の選択肢を考えることは、必ずしも「反トランプ」を意味するわけではなく、本選でバイデン氏に投票したり、棄権したりすることを直ちに意味しているというわけではありません。
今後の情勢
トランプ氏は、最大の懸念だったニューハンプシャー州予備選で勝利し、このまま代議員を順調に獲得するとみられます。遅くとも3月のスーパーチューズデーまでに大勢は決まり、トランプ氏が共和党の指名を獲得する公算が高まっています。
今後の焦点は、11月の本選に移ります。バイデン氏とトランプ氏の対決構図は4年前と同様ですが、両者ともに弱体化した選挙戦の展開を読み切ることは非常に難しいともいえます。
本選については、次の記事で詳しく分析しています。
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