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「三十半ば」を合言葉にする金曜日のキムチ担々麺
もやし。
おまんじゅうぐらいの大きさの豚ミンチ。
ほぼ汁だけに近いキムチ。
そして、中華麺。
家にある材料を思い出してみるとこれだけだ。
基本的にはあるもんで作りたい私。
だってスーパーに寄ると、
大概いらんもんを買ってしまう。
それに、できれば1分でも早く家に帰りたい。
スーパーに寄らないというだけで、
節約になり時短になるのだ。
調味料は豊富にあるので、
キムチ鍋の後の〆みたいな
キムチラーメンが作れそう。
そうだ、そうしよう。
なのに、小さな天使が囁いてくる。
「いけません。34歳にもなって、
晩御飯の野菜がもやしだけなんて、
絶対にいけません。」
もやしも野菜やないか、と払拭を試みる。
が、
「本当にそんなことをお思いで?」
と、くる。
ちょっと鼻につく態度だ。
どうやら自分の意見に自信があるらしい。
でも心の中ではわかっているのだ。
三十半ば。
低下と維持の微妙な境目。
少しでも低下を妨げ、維持に務めたい。
そのためには野菜を摂るに越したことはない。
というよりも、摂らなければ翌日体調に現れる。
ムクミ、便秘、肌荒れ。
ジャンクフードを心ゆくまで食べても、
つるんとした肌が「おはよう」と語りかけてくれた年代は終わったのだ。
もやしと豚ミンチで担々麺風に仕上げることを考えたら
野菜はキャベツかチンゲン菜っていうところだろうか。
この角を曲がれば家だ、
という道にさしかかる。
少し複雑な思いを宿した両目で
曲がり角を見つつ、
足をまっすぐ向いたまま。
そして、「三十半ば」はスーパーに吸い込まれていった。