【クソゲー】PS|麻雀ステーション MAZIN「麻神」【プレイレビュー】
「メンタンピン一発ツモ一盃口ドラドラ」
これを聞いて「倍満か」と思わず頭の中で計算してしまうなら、その人は間違い無く麻雀が好きであろう。かくいう私も麻雀が大好きでよく友人と打ったりするのだが、麻雀と聞いて浮かぶのは主に2つだろうか。
アカギやむこうぶち、哲也といった麻雀漫画が1つ、次に雀鬼流で有名な桜井章一やプロ雀士である小島武夫や土田浩翔、フリーで1000万円貯めた佐々木寿人など所謂雀士達。麻雀が好きならこの2つが主に浮かぶところであろうか。
だが私は麻雀と聞いて真っ先に浮かぶのが、今回レビューする、
これである、この何とも言えないタイトル。
そしてこの「麻雀ステーション」とは一体何なのか。
ステーションとは駅の意味もあり、これを「麻雀駅」とも捉える事ができる。
よく電車に乗っていると駅員が次の駅名を、恐らく鼻をつまみながら、さらに悪ふざけにも程がある作り声で「次は○○駅~○○駅~」と繰り返しアナウンスするが、このタイトルにもその部分が見て取れる。
上部に「麻雀ステーション」とあり、そのすぐ下にローマ字で「MAZIN」さらに下に「麻神」と漢字で見せる。しかもその左には「MAHJONG STATION」とあり、再度「麻雀ステーション」を表記するのである。
これをそのまま書くとするなら、
「麻雀ステーション(麻雀ステーション)麻神(麻神)」である。
この悪ふざけ加減と、同じ言葉を繰り返すという事が駅員のそれと酷似している為、所謂「麻雀ステーション」「麻雀駅」なのではなかろうか。
まあ冷静に考えてそんな訳無いが、他に駅要素がまったく見当たらない為、これを結論とした。
大いに納得のいかない部分があるものの、麻雀ステーションの謎にこだわっていては何も始まらないので、さっそく本編に入ろうかと思う。
まずはOPがあるようなので見ていただきたい。
まじかよ……。
お前と麻雀をする理由が見当たらないのだが。
お前ただ麻雀の面子探してるだけじゃねえか!(※面子とは麻雀メンバーの意味)
まさかのOPムービーが4コマ漫画ほどの展開しか無いという「これ映像にする必要あったか?」と思わず声にしてしまうほどの展開。このぼっちで可哀想な神の相手をする事がこのゲームの目的らしいが、そんなに麻雀がしたいなら、ネット麻雀するなりフリー雀荘に行くなり勝手にしてほしいものだ。
このゲームには2つのモードがあり、そのどちらも麻雀をただただやるというものだが、フリー対戦とはキャラクターを自由に選んで対戦するモードで、その下のキャンペーンモードとは、ランキング形式で半荘でのトータルプラスポイントを競う形となっている。
OPがあのレベルだと、とりあえずどんなキャラがいるのか気になるので、まずはフリー対戦モードを確認の為にもやってみる事にした。
想像以上だな、おい。
眼帯にポニーテルまで結っているおっさんも居れば、その左には何やら兜をかぶっているトチ狂ったおっさんが目に入ってくる。他3名も個性こそないが、それなりに濃いキャラをしているのが見て取れる。
何やら右にスクロールできるようなので見ていくと、
いやいやロボがよ……。
こいつらが神が認めた名のある雀士なのかと困惑するも、まあロボなら計算が速いから強いかも知れないと、妙に納得してしまう。
とりあえず3名を選べとの事なので、
この3名に決定、こいつらを選ばないはずが無い。
選択画面を終えると何やら4つの項目が現れたが何だこれは……。
「ルール選択」と「EXIT」は分かる、だが残りの、「バーチャル」と「スタンダード」この2つは一体何だ。
特に「バーチャル」お前だ。
バーチャルといえば、仮想的という意味があるが、麻雀を仮想的に行えるという事なのだろうが、あのOPを見る限り「そこに実際あるような空間」を表現する力はこのゲームには皆無。それでもやはり気になってしまうこのバーチャルとはどのようなものなのか、ここでためらい無く「バーチャル」を選択。
さあみせてくれ、お前のバーチャルとやらを。
牌が埋まっている!?
卓からにょきっと生えて来た!
全自動とかいうそんな安っぽいものではない、もはや天変地異による大陸移動を卓上で表現している。そう、これは麻雀をバーチャルするのではなく、自然界の事象を麻雀で仮想的に見せる事だったのだ。
だが残念な事にサイコロは手動という、全自動卓以下のアナログ仕様となっている。ここまで作って置きながらそこは手を抜くという詰めの甘さ。そして驚くべきは理牌をする時に起こった。(※理牌とは牌を整理整頓する事を意味する)
お前の理牌エスパーかよ。
親指1つで寸分の狂いも無く理牌するという、もはやそこまでできるのなら、いきなり国士13面待ちでも仕込んで、親の捨てたヤオ九牌を「へへ……それだぜ兄さん」と牌をパタッと倒し、
「悪いな、トリプルだ」
と言って相手を驚愕させる事も可能だろう。(※ヤオ九牌とは牌の種類で一と九と東南西北白発中の各種字牌の事を指す)
勿論「イカサマじゃねえか!」と言われれば間違いなくイカサマだが、後ろから見ていても何が起こったのかわからない。ハッキリ言って超人じみたこの技がバレることは絶対に無いのだ。
親になれば天和大三元字一色、子なら地和国士13面待ちもしくは人和。そう、相手は何もできずに散って行く、開幕から勝負は決まっている。例えるならチョコボールを買うと確実に金のエンゼルが付いている。銀のエンゼルを5枚も集める必要など無いのだ。
だがこの超能力を操る者達はそれをしない。麻雀の不条理さを楽しんでいる証拠だ。ただ理牌の時には使っちゃう横着な一面も見せているので何とも言えないが。
しかしこのゲーム、実は問題はそこだけじゃない。
何が問題かというと、
画面がとにかくうるさい。
これはどう見ても情報量が多すぎる。ここは何処なのだろうか、後ろにお城らしき建物が見えるが、そもそも室内でも無ければ屋根すら無い。辺りは一面草原、外で麻雀をする意味も分からないが、この兜のおっさんは「とりゃぁっ!」ビシィッ!と、牌を切る音もうるさければ、声までうるさい。ちなみにBGMまでうるさい。そして一打一打この繰り返しなので、一回戦が終わるのに40分はかかってしまう。
大げさに言ってるのでは無いか?などとお思いだろうか、試しに一局丸々動画にしてみたので是非見ていただきたい。
おわかり頂けただろうか?
何故かあがるたびにタンヤオのみだろうが何だろうが勝利の雄たけびをあげるので、このトロくささにさらに拍車をかけてテンポを悪くしている。
そして何といっても雲の流れるスピードであろう。
自転と公転のバランスはどうなっているのか、これは地球における最大のピンチであろう事はまず間違いは無いが、そんな事お構いなしにひたすらに麻雀を打ち続けるこいつらも相当なものだ。
しかし問題はまだまだある。
このように、仕様のレベルがバグレベルまで昇華していて、もはや麻雀どころではないのだ。
約40分間、地獄のような時間だった。
もう電源に手をかけたのは5回は下らない。途中、あまりにトロく退屈なので、スマホの将棋アプリで遊んでいたぐらいだ。しかもこの対局が終わるまでに将棋を3回は打っている。
だがこのどうしようもない「麻雀の形をした何か」にも唯一救いがある。それは「バーチャル」を選ばずに「スタンダード」でする事だ。
このスタンダード、何がスタンダードかというと、
普通というにはあまりにも普通。
勿論誰かがあがっても無意味にポージングし、雄たけびをあげることも無い。
このシンプルさ、怖くなるほどにシンプルだ。
確かにこれでなら遊べなくも無いが、これをするぐらいなら無料でいくらでもこれ以上のものはある。
ただ1つ言えるのは「バーチャル」だけは絶対に無い。スタンダードの登場により墓場へと堕ちたバーチャル。
あの40分間の地獄のような時間が、走馬灯のように思い浮かぶ。
「はっ!」
「パピポ、ポペペ」
「でやぁっ!」
「歯ごたえのねえやつらだぜ!」
将棋アプリが実に良かったからまた今度ゆっくりと楽しもうかと思います。
追記
ついこの間、友人らと麻雀をしていたのだが、私の部屋に転がっていた電王のサウンドロップを使って、ポンやチーやカンをするたびに、
「♪~ソードフォーム」
と鳴らすのはやめて頂きたい。
完全に鳴り終わってから「ポン」などと発声するため、いちいちその間は待っていなくてはならず、しかもたまにロンやツモの場合も鳴らすのでまったく油断できない。
それだけでは飽き足らず、買ってきたルマンドをリーチ棒変わりに使い「ルマンド!」と声を荒げたと思うと、牌を横にしてルマンドを1本放り投げ一発でツモあがり、
「ルマンド一発ツモ!AKB48ドラドラ、満貫!」
というその訳の分からないノリは嫌いじゃ無いが、その直後子袋から取り出しバクバクと食い、ルマンドの粉を散らかすのはやめてくれ。あとで片付けるのは俺なんだぞ、せめて綺麗に食ってくれ。
とかいいつつもまた麻雀がしたくなる、勿論「バーチャル」はごめんだが。