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はじめて10km走った夜:まずは足に合った靴を選び、紐をちゃんと結ぶ


フルマラソンを走るには準備に3年はかかるな。そう心に決めたぼくがまずやったのは、ランニングシューズを買うということです。家にはテニスシューズしかなかったんです。だってテニスも走るし、いっしょじゃないですか。走るためにシューズを買うなんて、それまで考えたことがなかったのですが、さすがにフルマラソンはテニスシューズじゃ無理だろう。そう思ったのです。

 それまで、ジムで走ることはしていました。会社の入っているビルにジムがあったので、ちょっと空き時間ができるとそこで走っていたのです。走る時間はだいたい1時間。でも、それを一週間も続けると膝が痛くて痛くて……。そんな時は、トレーナーにマッサージをしてもらって難をしのいでいたのです。そんな経験もあって、1人で走り始めると故障する可能性が高いぞと感じていました。だから、まずは靴選びからちゃんとやろうと。徹底的に調べてやろうと思ったんです。

 最初のシューズ選びは、ニューバランスに行きました。なぜニューバランスかと言えば、妻がこのメーカーに勤めていたから。社割で安く買えるのです。ショップに行くと驚きましたね。なんと足の左右でサイズが違うのです。それまで、自分のサイズは26cmだと思っていたのですが、ちゃんとお店で計測してもらうと26.5cmか27cmだと。しかも左右でサイズが違うらしい。むむむ、これは困ったぞとなるわけです。

 その時、助けてくれたのが店員のお兄さんです(ちなみに彼は、帝京大学出身の元箱根駅伝ランナーでもありました)。彼のアドバイスはこうです。まず、サイズに関しては、大きい足に合わせること。小さい足は、コルク素材の中敷を入れること。そして靴を正しく履き、靴紐をちゃんと結ぶことです。

 それまで僕は、靴の履き方はつま先をシューズにフィットさせるものだと思っていました。ほら、靴を履くときはつま先をトントンとする動作をするでしょう。けれどそれは違ったのです。正しい履き方は、まずは踵を合わせる。靴を履いたら、踵側をトントンと地面につけて、シューズのヒールと踵をちゃんとフィットさせるのです。それから、靴紐を結びます。

 靴紐の結び方は、ダブルアイレットという方法を教えてもらいました。シューホールの足首側にある2つの穴を使って、きちんと足をホールドする結び方です(詳しいやり方はぜひ検索してみてください)。

 踵から合わせて、ダブルアイレットで結ぶ。これをするだけで、シューズのフィット感が全然違います。あまりの履き心地の良さに、僕は家にあるシューズを全てダブルアイレットに変えたほどです。

「3年かけてフルマラソンに挑戦しようと思うんです」というぼくに
お兄さんが選んでくれたのは分厚いソールのランニングシューズ。見た目はそれまで履いてたテニスシューズのほうが軽そうなのですが、履いてみて驚きました。びっくりするくらいに前に進むのです。「何これ!」と驚くぼくに、「テニスシューズは前後左右に動きやすいシューズなんです。ランニングシューズは前にだけ進めばいい。だから、重そうに見えても、走りやすいんですよ」と。

 シューズの選び方や紐の結び方は、エリートランナーからしたら当然のことかもしれませんが、当時の僕はまったく知りませんでした。本を読んでも、そんなことは当たり前だから書いてない。このシューズ選びで思ったのは、走るって大変だなということです。フルマラソンを目指して走るということは、靴紐の結び方から徹底して始めなければいけないのかと。でも、そうやってちゃんと足にフィットしたシューズで走ると、とても気持ちがいいんです。

この文章はただいま秋の発売を目指して絶賛制作中の書籍
「走るといいこと」〜走って、観て、伝える。
 EKIDEN Newsの試み(仮題)の骨組み、みたいなものです。

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