これからバーチャレ計測会のようなものが増えていく
バーチャレことバーチャルディスタンスチャレンジという企画からスピンオフのようにうまれた「バーチャレ計測会」というイベント。本来はそれぞれが近隣の陸上競技場や学校の校庭などでタイムトライアルする模様を動画で撮影して共有するという企画であったけれども、動画を撮るための計測会を開催しようという日本全国の有志が勝手連のようにポコポコと産まれ始めた。
主催者としての責任もあるので、各地で開催する主催者には「バーチャレ」という名のもとで人を集めるのであれば、日本陸連による感染予防ガイドラインに則って運営してもらうよう、それぞれの主催者には各地での運営対策状況を共有しながらすすめてもらうようにしている。福島での計測会のフィードバックがそのほかの大会運営者にも共有され、各地での知恵やアイデアが、水面下でブラッシュアップされていっている。
それぞれの主催者がびっくりしていることだと思う。自らの所在と動機さえ明らかにしておけば、一緒に作り手となって動いてくれるボランティアがたくさん集まることに。実際、バーチャレ埼玉では60名をこえるボランティアが集まり、感染予防対策もしっかり練った運営が行われた。
数人のスタッフによってロケハンは一度だけ行われたが、そのほかのボランティアの大半は現地で初顔合わせ。すべてZOOMでのMTGで話し合われ、マニュアルも共有され、当日は集合してすぐに、それぞれが持ち場で動きはじめ、会場設営も当初の予定より1時間も早く終わった。(おかげでみな、ゆっくり昼ごはんを食べることもできた)企画を立ち上げてから2週間弱で会場決定から実施までこぎつけたことは、埼玉の奇跡と言ってもいい。
どうやら、「走りたい」「観たい」と、これまでDOとSEEに分断されていたランニング・陸上ファンの中に「一緒に創りたい」という新しいカテゴリーがうまれてきたようなのだ。それぞれが自分の得意なことを無理のない範囲で少しづつ提供することで、十分に大会は運営できる。
このコロナ禍で多くの人数(1000人以上)を集めてレースを運営することは難しくなった。観客も出走者もコントロール下において運営するには、少ない人数でのレース開催となる。そうなると、エントリーフィーやスポンサー収入から運営費を捻出するというスタイルであると、運営そのものがたちゆかなくなる。しかも運営よりも集客の方がコストもかかりがちだし、難しい。
そうなると競技場を借りるコスト+αでレースが開催できるバーチャレ計測会というのは、参加者も少なくてすむし(出走者が少ないと競技場を使う時間も短縮することができる)なによりも、能動的に集まったボランティアだけで運営する計測会だから、誰一人、いやいややらされている人がいない。受付から撤収まですべて「楽しみ」としてみなが取り組むわけだから、場にも熱が入る。だから、好記録が連発する。そういういい循環がうまれている。
集客ということをあまりもとめなければ、大会は作ることができる。小規模で十分というバーチャレ計測会のスタイルには可能性しか感じない。
写真はバーチャレ in 埼玉主催者の大谷遼太郎選手の背中に書かれたボランティアのみなさんに寄せ書き。週末はZOOMで集まって、打ち上げをやるのだ。みんなの感想を聞きながら。そうやって、計測会はブラッシュアップされ、他の地域へ共有されていく。
つまり、このバーチャレ計測会というのは、オープンソースイベントなのだ。
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月刊 EKIDEN NEWS
月刊といいながら、一日に何度も更新する日もあります。「いつかビジュアルがたくさんある陸上雑誌ができるといいなあ」と仲間と話していたんですが…
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