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たんすヴェイパー

毎年、「あまりに細かすぎる箱根駅伝ガイド」という本に入れる企画の中で「ランナーのシューズ動向」というものがあります。箱根駅伝出走選手が何を履いているか?ということは、以前から熱心な箱根ファンの間で行われていたことですが、大きく注目を集めるようになったのはNIKEヴェイパーフライが出てきてからのことでしょう。

実は箱根駅伝出走選手のシューズを把握すること、そのものはそんなに難しいことではありません。紅白歌合戦における日本野鳥の会(紅白の勝利を集計する人たち)のほうが難易度は高い。なぜなら日本テレビの箱根駅伝中継では全選手の襷渡しを放送することがマストとなっており、各中継所での襷渡しはCMよりも優先順位がはるか上。ですから、箱根駅伝中継を録画しておけば全選手の足元はだいたいわかる。そういうことなのです。

こういうことを書いていた最中にまたシューズのレギュレーションがかわりました。

こちらは主にスパイクの話なのですが、まだまだ厚さに翻弄されそうです。

さて、本題へ。
シューズにまつわるさまざまな論争がありますが、EKIDEN NEWS的にはシューズそのものよりも、その背景に目がいきます。どういうことかというと、シューズ集計をしていると、9割近くの選手がNIKEのシューズを履きます。そこで、NIKEのシェアが9割ということではなく、同じNIKEでもヴェイパーフライかアルファフライかということでもない。

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これは出雲駅伝のスタート時。まあ大勢の選手がNIKEを履いてますが、色とりどりのNIKEのシューズを履いてます。中には一昨年や去年のモデルを履いている選手の姿も。

出雲駅伝の最終区で青学を2位までにおしあげた横田選手。

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腕振りが左右非対称で、とりわけ右の腕振りが卓球のスマッシュのように見えることから「よこたっきゅう」と呼ばれる横田選手がフィニッシュで大きく2回スマッシュ。このときの横田選手の足元も少し前のアルファフライ。この古いアルファフライをみて、「グッ」とくるのです。古いからといって、機能的には全く同じものですが、色によって、いつ頃発売されたものかがわかる。

レギュラーとして三大駅伝を走るようなエースクラスの選手にはメーカーから最新モデルが支給されるとききます。しかし、そんな選手はほんの一握りの選手。大半は自腹で買い求めるのです。NIKEのシューズを履く選手が多いのは、NIKEは自社のオンラインセールで旧作を(とはいっても、色が違うだけで機能は全く同じもの)をとてつもなく安く放出することがある。そういうこともあって、NIKEを選ぶ選手が多い。そういう背景もあります。

とはいえ、決して安くはないハイテクシューズ。練習で使うと、カーボンの反発やクッション性が落ちてしまう。だからこそ、彼らは来たるべき本番のために、練習でも使わず大事に大事に「ここぞ」というときに本番用シューズを投入する。これをたんす預金ならぬ、たんすヴェイパーと勝手に呼んでます。

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