はじめて10km走った夜:1冊の本を徹底的に読み込む
シューズを手に入れたら、いよいよ走り始めることができます。目標とするフルマラソンは42.195km。その距離を走ることができる体をこれから作っていくのです。
けれども、ぼくはランニング初心者。走り方も、体作りの方法もわからない。故障も怖いので、無暗やたらと走り始めることはできません。そこで、まずはランニングに関する本を読もうと思いました。けれど、インターネットで調べてみると本ってたくさんあるんですよね。アマゾンのレビューを読むこむくらいでは、どれがいいのか、よくわからない。受験勉強のときに選んだ参考書選びによく似てて、これだ!という決め手にかけるのです。書いてあることはどれも「初心者が走ること」について書かれていますから、そこまで大差があるように思えないのです。
そんな時にふと頭によぎった人が金哲彦さんです。金さんは、早稲田大学で箱根を走り、その後リクルートで陸上部を立ちあげ、ランニングのコーチの第一人者。箱根駅伝やマラソンでの解説者として有名です。僕は、九州国際大学を卒業したのですが、その大学の前身は八幡大学といいます。実は金さんは、その八幡大学の付属高校の陸上部に所属していたのです。つまり、僕の地元のヒーロー。僕の従兄弟のクラスメートでもあったので、昔から名前だけは知っていました。
そんなご縁もあって、金さんの本を読んでみようと思いました。手にとったのは『金哲彦のランニングメソッド」という本です。フルマラソンを走るまでの過程で、いつでも立ち返る聖書のようなものとして、この1冊を徹底的に読み込むことにしました。いったん金さんを教祖として「ランニングという宗教」に入信することにしたのです。
この本のいいところは、走り方のコツやトレーニング方法と同じくらい、怪我のメカニズムやケアの方法について割いて書かれていたことです。金さんは「速く走れること」よりも「走ることを続けること」に重きをおいた教祖だったのです。例えば、走っていて膝が痛くなったとします。それまでの僕は膝が痛い時には、膝に原因があるものだと思い、膝そのものにシップを貼ってました。けれど、金さんの本によるとそれは違うと。膝の痛みは、お尻や腰に原因があると書いてあるではないですか。実は膝の筋肉は、お尻や腰の筋肉に繋がっています。なので、お尻や腰の筋肉が張ると、膝の筋肉が引っ張られて膝が痛くなるのです。金さんの本には、痛みの原因やメカニズムが事細かに書いてありました。フルマラソンを目指すことは、長い道のりだと感じていた僕にとって、故障をしないことはとても重要でした。だから、この本は信頼できる。そう思ったのです。まずは一神教になって、この1冊の本を徹底的に読み込み、そこに書いてあることを実践してくことにしました。
この文章はただいま秋の発売を目指して絶賛制作中の書籍
「走るといいこと」〜走って、観て、伝える。
EKIDEN Newsの試み(仮題)の骨組み、みたいなものです。