【箱根駅伝予選会】10年ぶりに東京農業大学の大根踊りが見られるかもしれない、4年生ダブルエースと怪物ルーキーが希望を紡ぐ
10年ぶりに昭和記念公園で歓喜の大根踊りが見られるかもしれない。東京農業大学(以下、東京農大)の箱根復活が現実身を帯びてきた。
しかし、東京農大の昨年予選会順位は17位。
きっと多くの読者はこの結果を聞くと
「厳しいのではないか」
と、思うだろう。
確かにそんなに箱根駅伝予選会は甘くない。
筆者もそう思う。
しかし、本戦を通過するなら今年しかないのだ。
この記事ではそんな読者の「無理だろう」という感情を「できかるも?」に変えていきたい。
怪物ルーキーが手繰り寄せる可能性
前半シーズンのMVPは間違いなく前田和磨(1年)だ。
東京農大は全日本大学駅伝選考会をドラマのような劇的通過をした。
1年生ながら5000m13:56.65を持ち、ダブルエース並木、高槻が「持っているものが違う」と言わしめるほどだ。
この前田和摩レベルが違う。それも異次元にだ。
筆頭を現したのは関東インカレ2部5000m。1年生ながら3位表彰台に登る活躍を見せる。
躍進は止まらない。
全日本大学駅伝選考会では最終組に抜てきされた。チームは3組目終了時点で全体12位。7位までが全日本大学駅伝の出場権を獲る中、10000mの資格記録なし、初10000mの1年が会場がどよめくほどの衝撃の走りを見せた。
留学生に一歩も引かない走りで日本人トップ全体3位、28分03秒51でチームを通過圏外の12位から5位ヘで導く走りで本線への切符を手にした。
観客は3組目終了時点で誰もが厳しいかと思ったはずだ。プレッシャーのかかる大舞台で想像を超える走りを見せた1年生はまた新しい景色を見せてくれるのではないかと期待せずにはいられない。
ハーフの記録は持たないが、箱根予選会でも日本人トップの走りが期待できる1年生だ。
箱根に復活する、そう言い続けてきた4年生ダブルエース
東京農大には4年生ダブルエースがいる。高槻芳照と並木寧音だ。
2人は入学時から東京農大を箱根に復活させると言ってきた。それを実現させるかのように力をつけていった。高槻は1年時に、並木は3年時に学生連合で箱根を走っている。
そして10000mの自己ベストは必ずと言っていいほど同じレースで同じくらいのタイムで更新する。まさに運命共同体のような関係だ。2人の関係は筆者も肩入れしたくなる。
上記は、2選手の自己記録と実績
このダブルエースだが学生トップレベルの実力がある。今年の箱根予選会エントリー内で10000m日本人ランキングトップ10に前田、高槻、並木が入っている。トップ10に同一大学選手が3人入っているのは東京農大のみである。この2人なくして間違いなく通過はないだろう。
本当に予選会を通過する力は持ち合わせているのか?
ここまでエースの紹介をしてきたが、実際問題エースだけで箱根駅伝に出場できるほど現実は甘くない。チーム戦力的に通過しうる力があるのか。
答えは『イエス』だ。
十分に通過しうる力がある。下記は東京農大の箱根予選エントリーメンバーとハーフマラソンの記録だ。
そしてもう一つ見てほしいデータがある。
2022予選会の記録対象10名のゴールタイムを分けた表だ。この表をみると通過の条件が見えてくる。
東京農大の通過条件をまとめると2つ
高槻、並木、前田の3名が63分台以内に入る。
66分以内に残り7名が入る。
これができればほぼ通過できるだろう。ハーフの自己ベストを見ても高槻、並木、前田の3名以外の66分以内の自己ベストを持つのは9名。十分に条件を満たせる布陣だ。また、今年は記念大会により増枠3校で通過校が13校になっている。
逆に今年通過ができなければ枠は減り、高槻、並木が卒業してしまう。東京農大の箱根復帰はまた遠のくだろう。チームの層を強化する以上にエースの存在は大きくエースを誕生させるのは難しい。
東京農大を箱根に復活させる。前田和磨が入学してきたのも、全日本選考会を通過したのも、来年が記念大会増枠なのも、偶然ではなく2人のダブルエースが強い思いをもって走ってきた必然なのかもしれない。
歓喜の大根踊りを私は見たい。
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