絵本「パンダとうさん」が出来るまで
初めての作・絵の絵本作り
ぼくはいままで、ムック本や月刊絵本も含めると20冊以上の絵本を作って来ました。
そのほとんどの絵本が文章は別の作家さんで
絵だけを描くことが多かったです。
1冊だけ文章も絵も描いた
「ヤッチのなくしもの」という絵本がありまして
土屋ランドセルさんからの依頼で子どもたちが
考えたキャラクターが出てくる絵本を作った事があります。
(現在は販売終了しているもよう)
しかし文章も絵もキャラクターも1人で考えて作る絵本としては
今回の「パンダとうさん」が初めての絵本になります。
以前からいつか文章も自分で考えた作絵の絵本を作りたいとは思っていたのですが
いつまで経っても作る事が出来ませんでした。情けないことに日々のイラストのお仕事に追われて絵本を考える時間が作れなかったからです。
作絵の絵本を作るために最初にしたこと
1人では作れないなと考えたので
同じように作絵の絵本を作りたいと考えていた絵描き友だちの
イヌイマサノリくんと「毎月1冊ダミーを作って見せ合おう」と
計画したのが2年前。
2022年の1月から毎月ダミーを作っては、月末にオンラインでお互いのダミーを読み聞かせするというやりとりをしました。
絵を描くことは出来る。
学生の頃に物語を作ったことはあったけど
苦手意識があり自分にはまだ物語を考えるのは出来ないなという感覚がありました。
しかし1ヶ月に1冊のダミーを作る。と決めたんだから作るしかない。
どうやって作ればいいのかな?というところから始めて。
イラストを考える時と同じようにテーマやキーワードをいくつか決めてあらすじを考えていきました。物語のイメージは出来てもそれを絵本のように短い言葉で表現するのは難しい。毎月毎月頭を悩ませながらダミーを作りました。
日々の仕事をこなしながら毎月ダミーを作るのは
当時のぼくたちにとっては相当難しく、ヒーヒー言いながら
どうにかこうにか絵本のダミーを作っていました。
上手にまとめるなんて出来ないので、下手でもなんでもとりあえず絵本の形にする。そんな感覚で作っていきました。
結局、月1ダミーを作るのは難しく12冊は作れなかったんですが
なんとか1年間で10冊のダミーを作る事が出来ました。同じようにがんばってダミーを作る仲間のイヌイくんがいたからこそ
なんとか10冊のお話を考えることが出来たんだと思います。
岩崎書店のSさんにアポを取り
出来上がったダミー10冊をもって会いにいく
そして、その年末に岩崎書店のSさんに
出来上がったダミー10冊をもって会いにいきました。
10冊といっても良い感じに出来た。と思えるのは2,3冊。
そのダミーを見てもらった時に「これは面白そうだね!」となったお話しが今回の「パンダとうさん」でした。
そこから順調に話は進み・・・とはならず
2023年は1年間ダミーを作っては直しての繰り返し
4,5冊ほどのダミーを作りました。
そしてようやく2023年の年末に「これでいきましょう!」とダミーも固まり
出版社の企画会議も通り(企画会議が通らない場合は、ここからまたダミーを作り直したりすることもあります)
ようやく絵本制作のスタートラインに立つ事が出来ました。
どんなタッチで絵を描くか決める
ストーリーが決まり次はどんなタッチで絵を描くかを考えました。
普段はアクリル絵の具を使って製作する事が多いのですが
この時期、水彩画にもハマっていたので
ストーリーを考えながらも水彩画でパンダとうさんの絵を何枚も何枚も描いていました。
たくさんパンダとうさんの絵を描いてキャラクターのイメージをふくらませていきました。
その時の作品がこちら↓
こんな感じでパンダとうさんの絵をいろんなシチュエーションで描きました。
絵を描くと不思議とそのキャラクターのイメージが出来てくるので
パンダとうさんはこんなことは言わないなとか。こんなことをしてしまうな。とか自然に動きやセリフが決まっていきました。
パンダとうさんの絵本のワンシーンをいつも描いてるアクリル画と水彩画のパターンで描いて編集のSさんに見せて相談。
この絵本にはアクリル画が合いそうだね。
という事で決まったのが2024年の3月。
発売日が決まると原画の締め切りも決まる
発売時期が11月に決定。ということで絵の仕上げは8月いっぱいが締め切りに決定。
そこから本格的に仕上げに入りました。
いつもここが一番楽しいところ。絵を描いてる時は、時間を気にして必死に描いてるんですが、終わりが見えてくるともう終わってしまうのか〜もっと描いてたかった。とちょっぴり寂しい気持ちになります。
無事に8月中にすべての原画が仕上がり。
そこから編集とデザインの工程に進みます。
今回デザインをお願いしたのはデザイナーの山田武さん。
これまでにも何冊も絵本のデザインをされているデザイナーさんです。
実際に本文や表紙、カバー、タイトルなどのデザインが進んでくると
山田さんにお願いして良かったなと思うところがいくつもありました。
タイトルや表紙、帯、本文フォント、見返しのデザインなど
どれも何パターンも出して頂けたので
毎回選ぶ楽しさがありました。
特に表紙は10パターンも出してくださって、めっちゃ悩みました。(嬉しい悩み)
こんな感じでいろんなパターンのデザインを作ってくれました。
ここからワクワクが加速していきます!
色校もスムーズに出来てあとは発売を待つだけ。
ここまで来るのに2年。
しかしどれだけ時間をかけて作っても
知ってもらわないことには始まらない。読んでもらわないことには始まらない。
1年間に出版される絵本は約2000冊その中で増し刷りになるのは約40冊だと言われています・・・なんと2%・・・
残念ながらほとんどの絵本は初版のみ。
読まれないとそのまま絶版になってしまいます。
なので絵本を作るだけじゃダメだな。どうすればみなさんに知ってもらって届けることが出来るんだろう。と考えました。
初めての作絵の絵本ということで気合いが入ります。
発売の1ヶ月前からSNSを使って色々仕掛けてきました。
最初に仕掛けたのはアイコンを描きます企画
まずAmazonで絵本「パンダとうさん」を予約してくれた方から100名さんのアイコンを描きますという企画をしました。
募集から1週間の間に絵本を予約してくれた人たちのアイコンを描くというもの。
Amazonのランキングで1位になるとベストセラーというタグがつくので
注文してもらいやすくなるんだそうです。
何度もXやThreadsで告知したおかげか100冊を超える予約を頂きました。
(結局Amazonランキングの1位は取れませんでしたが・・・高い壁っ)
予約してくださったことが何よりも嬉しいので結局抽選ではなく、応募者みなさんのアイコンを描かせてもらうことにしました!
仕事の合間を縫ってかける時に1日1枚〜3枚をコツコツ描いてます。
適当に仕上げることは簡単で時間も短くすみますが
せっかくアイコンを描くならと思い。1つ1つ丁寧に描いています。
100人のアイコンを描くのはとっても大変ですが、仕上がったアイコンを
1人1人に届けていくと、ものすごく喜んでくれるので
みなさんの反応をもらう度に、この企画をやって良かったなぁしみじみ思いながら描いています。
まだまだみんさんのアイコンお渡しできていないので、年末までには届けられるようにコツコツ描いていきます。
さらにAmazonの予約だけじゃなく、本屋さんにも何か僕に出来ることはないかなと思い。絵本作家さんや漫画家さんで告知宣伝されてる人たちに相談して
色々な宣伝方法を探っていきます。
次に仕掛けたのは「パンダとうさん」のPOP
Amazonだけじゃなく書店さんでも絵本を買ってもらいたいので
店舗で使ってもらう用に「パンダとうさん」のPOPを作り
SNSにアップしました。これを見た書店さんはご自由にPOP を使ってもらえると幸いです◎
それだけじゃなく原画展をさせてもらえるところを探したり。イベントやワークショップが出来るところを探したりしています。
来年の2月に1箇所、東京のギャラリーで「パンダとうさん」の原画展が決まりました。
発売後も書店さん回りなど出来ることは片っ端からやろうと企んでいます。
パンダとうさんのグッズ化
とある企業さんとコラボレーションで
パンダとうさんのグッズも開発しております。
絵本の発売のタイミングでグッズを発売するのは難しいのですが
来年の展覧会の頃には発売出来たらいいな〜と思ってます。
絵本はラフを考えてる期間も入れると半年とか長いものだと2年、3年とかかる場合も多々あります。
それだけ長い時間かけて制作すると当然思い入れも強くなりますよね。
本屋さんに並んでいる絵本の1冊1冊にこんなドラマと思い入れが詰まっているのかと思うと、絵本を読む時も、選ぶ時の気持ちも変わってくるんじゃないかなと思いまして
こうして1冊の絵本が出来るまでのお話をnoteに書いてみました。
もしこれを読んで少しでも「パンダとうさん」が気になったとういう方は、amazonでもご近所の本屋さんでもぜひぜひ探してみてください。
最後に絵本「パンダとうさん」を知ってもらうために
発売前ですが全国の図書館に入ることが決まったり
中国の出版社からお話がきたり、いろいろ動き出しているので
発売後も自分にできることを探して全力でやっていきたいと思います。
来年は時間をかけて「パンダとうさん」の普及をコツコツしていきたいと思います。一気に知ってもらう裏技みたいなものはなくて、結局はコツコツ1人1人にお知らせしていくしかない。
ですので、絵本の原画展をしましょう!イベントをやりましょう!などの
お誘いなどありましたらお気軽にお声掛けください。お待ちしております。
長い文章を読んでくださいまして、ありがとうございました。
「パンダとうさん」をよろしくお願いします〜
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