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■ 其の296 ■ 選択的夫婦別姓をめぐって

📙子どもの頃、タクシーといえばセダン型が当たり前でした。
それが今では、後部のドアが開くハッチバック型や、タクシー専用に設計されたトヨタの JPN TAXI(ジャパンタクシー)など、形状のバリエーションが増えてきました。
わたしの認識が正しければ、燃費の良さからトヨタのプリウスがタクシーに採用され始めたのがキッカケだったと思います。

ただ、わたしはこれまでセダンのタクシーにしか乗ったことはありません。
今でもわたしの頭の中は、タクシーといえばセダン型が「常識」です。
なので、いつかプリウスやJPN TAXIのタクシーに乗ることがあれば、違和感を覚えたり、逆に興味深く車内の造りに目をやるでしょう。
ですが一度乗ってしまえば、新鮮な気持ちもなくなり、何も思わなくなるでしょう。

ハッチバック型 プリウスタクシー
タクシー専用車両  JPN TAXI(ジャパンタクシー)

📙夫婦別姓も同じ感じではないかと思います。
初対面のご夫婦から、
「はじめまして、田中一郎です」、「妻の佐藤由美と申します」と自己紹介をされたら、「あー、別姓なんだ」と特別な感情●●●●●を持つ気がします。ですが、二人の生き方や人生観にまで立ち入ったり、理由を尋ねたいとは思わないでしょう。 
そして、しばらくすれば別姓夫婦の存在にも慣れていく気がします。

📙選択的夫婦別姓への反対意見として、子どもが、一方の親と姓が異なることに疑問を持ったり、嫌な思いをするのでは?という懸念があります。
たしかに、周りの人と違うことに疑問を持ったり悩む子どもはいるでしょう。

ただ、その子の親は、明確な意志をもって別姓を選んだ人です。
「世の中の普通」に合わせるより、自分たちの生き方に基づいて「選択」した人達です。
その夫婦のもとで育った子どもなら、周囲と「異なる」状況で経験するマイナスがあったとしても、それを超えるプラスを得る気がします。
家族が別姓の環境で生きる子供は、
 他者と違うこと、
 マイノリティーであること、
 悩むこと、
 深く考えること、
 向き合うこと、
 理解しようとすること、
 理解できない(したくない)事を受け入れること、
 折り合いをつけて納得すること
こうしたことを経験し、成長の糧にしていくと思います。
別姓であることが悪い方に作用し、グレたり逃げる生き方をするというケースは少ない気がします。

📙むしろわたしは、現在の絶対的●●●夫婦同姓のもとで、
離婚により「別姓」になった子どものマイナス面の方が問題じゃないかと思っています。
いまは結婚しても三組に一組が離婚する時代です。
思春期に親の離婚で姓が変われば、学校中に「親が離婚しました」と触れまわるようなものです。耐えられない辛さでしょう。それが嫌で不登校になる人がいるのは想像にかたくありません。
今後、夫婦別姓が認められると、親の離婚を周囲にさらされなくても済むでしょう。

📙また夫婦別姓を認めたくないという考えには、多様性に無頓着だったり排他的な意識が潜んでいる気がします。
というのも、八村塁選手や大坂なおみ選手が世界的な活躍をしたとき、日本人の誇りだ!とこぞって賞賛しましたが、彼らや両親の姓がどうなっているか問題にした人がいたでしょうか。 同じことは、「カタカナ名」の入ったハーフの日本人タレントでも言えることです。
今後彼らが「日本人」として結婚した際、名前の成り立ちを気にされるでしょうか? 別姓状態になったとして問題視されるでしょうか? ミドルネームが付いているなど日本的でない●●●●●名前が問題になるでしょうか?
たぶん気にも掛けられないでしょう。
彼らの活躍はきっちり「享受」するけれど、無意識に「準日本人」だと思っていないでしょうか。
日本人夫婦は同姓であるべきという考えは、外見的●●●にも「ザ・日本人」の人を対象にしている気がします。

📙さて、選択的夫婦別姓を受け入れたくない人たちの思いも想像してみます。
いま7~8割の人が選択的夫婦別姓に賛成だといいます。
片や、反対する少数派の特に年配のひとは、このさき十年、二十年経てば、社会的な力を失い、社会へ関心を抱く余裕もなくなっていくでしょう。

この先、夫婦別姓が認められるのは時間の問題でしょう。
そんな中、「別姓に反対の人は、保守的で頭が固い」などと責められれば、いい気持ちはしません。受け入れたくない人にとって、自分の価値観が否定されるのは辛いことです。否定されるほど、対立や分断は深まります。

わたしたちは、自分の正義や正論をただ唱えるのではなく、相手の立場や状況へも思いを寄せることを忘れないでいたいです。










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