■ 其の96■ 災害ユートピアの記憶
🔣今から5年半前の夏、西日本を中心に「平成30年7月豪雨災害」が起き、甚大な被害が出ました。 そのときわたしは奇妙な被災をしました。
その日は激しい雨も去り、状況も落ち着いてきたので安心していました。
ですが突然、速報を伝える全国放送のテレビ画面に、今から向かう仕事場周辺が写し出されたのです。空は晴れ渡っているのに、近くを流れる川に濁流が発生し、氾濫し始めたというのです。
当時の様子がウィキペディアに書かれています。
当時の映像 ⇩
🔣一帯に赤茶色の土砂が、どんどん流れ広がっていきました。
山が崩れたわけでも、建物が壊されたわけでもない。しかし道路や空き地や庭先など、流れ込める場所が次々と土砂で埋まっていくのです。
なすすべがない。「ああ、これで終わった」と感じました。
次の日から、住民やボランティアが集まって土砂の撤去作業が始まりました。そこでは知らない者同士でもなんの垣根もなく声を掛けあい、集まった人々の活気で賑わっていました。三丁目の夕日のような、古き良き日本人の繋がりを体験している気がしました。誤解を恐れずに言えば、辛いのにどこか楽しさや高揚感がありました。小さな商店の前を通った時、お店の人が「おつかれさまです」といってペットボトルのお茶をただで配っていました。
わたしが災害ユートピアを実感した経験です。あれから随分時間も経ち、いまは平穏になったから言えるのでしょうが、懐かしい大切な思い出です。
🔣かつて朝日新聞社主催、協和発酵協賛で、
「朝日ヤングセッション」という講演会活動を行なわれていました。
その第八回は、建築家の安藤忠雄さんがゲストでした。
その講演内容を書き起こした本の中から一部紹介します。
能登の子どもたちにとって、ただ失うだけではない、未来に向かう、財産になりうる時間をすごしていることを願います。
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