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■ 其の228 ■ 女子大生になる前に

選挙 / 宗教 / 護身術


これは、自分が関わった生徒に実際に話していることです。
前提として、わたしは、男子高校生と女子高校生に対していだく思いは、かなり違います。男子はどれだけ苦労しても、失敗しても、それを自力でプラスに変えて生きれば良いと思っています。
ですが女子に対しては、どうしてもそんな風には考えられません。人生だから、辛いことも悲しいことも傷つくこともあるでしょう。ですが、出来るだけ浅い傷でとどめてほしいと思うのです。
なので、感情的には男女平等という訳にはいきません。

また、わたしは自分の考えを話すとき、それをどう受け取るかは相手(生徒)の裁量だと思っています。参考にするかもしれないし、意識にも記憶にも残らないかもしれません。まあ言葉って、そういうものです。
以下は、女子が大学生になる前に、特に県外へ出て下宿を始める人に話していることです。

選挙・・・

日本は女性の議員が極端に少なく、ジェンダー平等の面では全く遅れていると言われています。
そこで、女性議員の数を必ず3割確保するといったクオータ制にするべきだという意見があります。わたしもその方がいいと思っています。ただ、クオータ制はベターな選択ですが、ベストというわけではありません。
理想的で最高の方法は、女性の投票者数が男性を大きく上回ることです。詳しくは、■其の35■に書いています。
もし女性の投票率が70%、男性が50%の状況になれば、政治家は女性を強く意識せざるを得なくなります。結果、本気で女性のことを考えた政策を行うようになります(そうならざるを得ません)。
女性議員の数は増え、女性はより立候補しやすくなり、さらに当選しやすくなるでしょう。好循環です。制度に頼るよりも、自力でつかむ方が強固な力になります。
選挙の集計結果は、実はそういう大きな力と可能性を持っています。ですが、それを明確に意識したり、発信している人はほとんどいないようです。

わたしは、女子高生には「選挙は絶対に行った方がいい。たとえ相応ふさわしい人がいなくても、結果が見えていたとしても構わない。若年層の女性の投票率が上がるだけで、インパクトがあり、意味がある」と言います。
「それをわかっているのに選挙に行かず、社会に対して不満を言ったり、女性が損をしていると言う資格はあるのかと思う。だから、絶対選挙は行ってね」と念押しします。

選挙・・・自分が、女性が、住みやすい社会を作る当事者になるという意思を確認する場でもあります。

宗教・・・

わたし自身の体験を話してから、ある手紙を見せます。

大学受験で浪人中の冬でした。予備校から駅へ向かう地下道で女性に声をかけられ、「よかったら、アンケートに答えてくれませんか?」と言われました。
ピンと来た人がいるかもしれません。安倍元総理の事件以来、話題になっていた旧統一教会の信者です(当時は原理研とも呼んでいました)。
わたしが興味本位で話をし、アンケートに答えると、「今度事務所に来ませんか」と誘われました。わたしは、大学入試の1次試験が迫っているので、それが終わってからならばと言いました。

テストは目標通りの点数が取れました。
後日、約束通り行くことになりました。予備校への通学途中にあるビルを訪れると、数人が歓迎ムードで迎えてくれました。今も覚えているのは、初対面の女性に「あなたのために、このコーヒーカップを準備して待っていたんですよ」と言われたことです。今風に言えば、キモっ!という感じでしょうか。
ですが、これがもしテストの結果が悪くて気持ちが沈んでいたら、その一言が救いになったかもしれません。メンタルが弱っている時、優しさは心に沁みます。
そこでは、世界の真理が語られたビデオというのを見せられました。一言でいえば、そこの教祖が世界を救うメシアであるという内容です。ばかげてるし、くだらないし、この人たちは本気でこんな事を信じているのかと思いました。ただ後々分かることですが、宗教とはそういうものです。
 
2次試験も無事終え、大学に受かり、4月に広島に来て学生生活がスタートしました。
それから何カ月経ったでしょうか。地下道でわたしを勧誘したあの女性と、偶然広島の繁華街で再会したのです。彼女はあの時と同じように道行く人に声を掛け、アンケートをとっていました。今度は数人による勧誘です。布教活動のために広島に移り住んでいたのです。運命的なものも感じましたが、わたしは少し話をし、アンケートだけ書いて、その場を離れました。
何日かして、彼女とその場にいたもう一人の男性から手紙が送られてきました。

もらった手紙を他者に見せるのは、たちのいいことではありません。ですが生徒には〈 具体的な例 〉として読んでもらい、「孤独や悩みといった心の隙間に宗教は入って来る」という話しをします。
なかでも、男性からもらった手紙の文面には、新興宗教に入る人の心理が現われていると感じます。

小学校・中学校からもう暗くて友達も出来ませんでした。欲しくて作ろうと思っても、出来るものでもないし、そして余り外へは出なくなりました。本当に“生きがい”というものを感じず、本とかTVを相手に過ごしていました。そして、そろそろ社会の中へ飛び込もうとする直前で、このままではいけないと感じたからです。 ┄┄ 中略 ┄┄  愛する心や、情緒面、意欲、意識等、大きくなったと実感しました。やれば発展するという所にひかれたのです。V.C(ビデオセンター)には、本当に感謝、感激しています。
須子さんも、ここに来られて、話や色々な催し物に参加されてはどうですか?

Tさんの文面

彼らは概して、やさしくて真面目で人柄も良いです。なので旧統一教会問題が表面化したとき、ボランティアで政治家事務所の手伝いをしていたという話はとても腑に落ちました。皮肉なことに利用されていたということでしょう。

宗教・・・包み込んでくれる世界に身をゆだねるのは、楽なぶん危険でもあります。 本来、身近にいる 「だれか」と「自分」との一対一の関係が、孤独や満たされない気持ちを埋めてくれるのだと思います。

護身術・・・

まれにですが、男女の問題が大きな事件に発展することがあります。可能性は低くとも、万が一その当事者になれば取り返しがつきません。
人間関係がぎくしゃくした時、自分が「正義」に立って対峙すると、相手のプライドを傷つけ、攻撃性のスイッチを入れてしまうかもしれません。
それが警察沙汰にまでなって、最悪な事件を引き起こしたケースもあります。「どんな人」かを見定めて、賢い対応が必要になることもあります。

自分から人が離れていくのはつらいし傷つきます。辛さを自分の中で解決できずに、固執し狂暴化するタイプの男性にどう対処すればよいのでしょう?
その場合は、相手の気持ちを引かせ、相手の方から離れていくように導くのが妙手みょうしゅです。

具体的には、
➀「お金を貸して」これはキラーワードです。
相手との距離や関係性をゆがめてくれる言葉です。
「3万貸して」という言葉を身近な人からは聞きたくないですよね。 
ただし、本当に貸してくれたら約束通りきちんと返しましょう。そしてまた「3万貸して」を繰り返します。だんだん嫌気が差してくるでしょう。

② 家族の協力が得られれば、焼肉など食事会に招くのはどうでしょう。
完全アウェーな場所に誘われるのは嫌なものです。
もし予想に反して来てしまったときは、家族から質問を浴びせましょう。
淡々とズケズケと質問していきます。
学生だったら、「〇〇くんは、将来何になるつもり?」とか、「親御さんとの関係はどうなの?」とか。
社会人だったら、「お給料いくらもらってるの?」なんてぶしつけな質問を平然と聞きます。
さらに、「〇〇くんは、うちの娘と結婚するつもりなの?」とか「君の前ではいい顔してるかもしれんが、こんなワガママな娘、ワシには理解できん」とか。 
こんな家族がバックにいると思ったら、気持ちはえます。

③ ほかには、二人で出掛け、デート中にドン引きさせるのも良いです。
「ちょっとトイレ行ってくるね」と言って、
水道の水で、股のあたりを濡らし、彼の所に戻ってから言います。
「あの、ちょっと‥‥ごめん、少し漏れた」「もう、帰りたいんだけど‥」 
これも、かなり萎えます。

実際にこれらの話は女子高生にしたものです。これだけ切り取ると「えっ?」と思うかもしれませんが、真剣な話です。賢く生きるとは、時に大胆で非常識にふるまうことです。
ところで、もし神様が、人間の女性にスカンクと同じ能力を授けていたら、人類史上どれほど多くの女性が、身の危険を回避できたかと思います。

護身術・・・相手の気持ちを萎えさせ、ドン引きさせる。これに勝る護身術はないでしょう。


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