キャッシュレス先進国【韓国】
「この辺の飲食店、現金のみの店多くない?」
会社の先輩のこの言葉を聞いた時、ふと少し前に韓国人と話した時のことを思い出した。
「韓国では、どれぐらい現金を使いますか?」
ぼくが尋ねると、韓国人の男性はこう言った。
「私たちは現金をほとんど使いませんよ。最近お店でものを買う時に現金を使った記憶はありません。」
そうなの⁉
その時はキャッシュレス化が進んでいる韓国の状況を知り、ただただ驚いていただけだったけど、今日はせっかく思い出したから、韓国のキャッシュレス化の現状について調べてみよう。
プロフィール
【世界TOPクラス】韓国キャッシュレス決済普及率
⼀般社団法⼈キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ」によると、2018年の韓国におけるキャッシュレス決済状況は、94.8%を記録している。
4年前の数値にはなるけど、2位の中国(77.3%)とも大きな差が開いている。
日本は24.2%でめっちゃ低い。まあ、買い物してても多くの人が現金で支払いをしているから納得の数字だな。。
でも、なんで韓国ではこんなにもキャッシュレス決済が推進されているんだろう?
その理由は、、、
韓国でキャッシュレス決済が推進されているワケ
韓国でキャッシュレス決済が推進されるようになったきっかけは、1997年のアジア通貨危機のようだ。
アジア通貨危機とは、タイの通貨であるバーツの暴落をきっかけとした、アジア各国における景気悪化の連鎖問題。
これにより、アジア各国の通貨価値が暴落したため、韓国政府はキャッシュレス化(特にクレジットカード)を推進したらしい。
そして、このの政策は大成功した。
経済産業省が発行している「キャッシュレス・ビジョン」によれば、1999年から2002年にかけてクレジットカードの発行枚数は2.7倍・利用金額は6.9倍に急拡大。
さらに、財務総合政策研究所が発表した「キャッシュレス・イノベーション 第9章 韓国の動き」では、2017年における個人消費額に占めるクレジットカード決済額の割合は75.4%だったらしい。
この数値を見ても、個人の消費においてクレジットカードがたくさん使われていることが分かる。
キャッシュレス普及に向けた3つの政策
よくよく調べてみると、キャッシュレス普及に向けた政策は、「韓国政府」によるものと「韓国銀行」によるものの2つがあるようだ。
【韓国政府】による3つの政策
政策①クレジットカードを利用して所得控除
1つ目は、クレジットカードを利用した場合に、所得控除が受けられる政策。
クレジットカードの決済額が年収の4分の1を超えた分に対し、その20%を所得から控除し、年末の源泉徴収時に還付される。(上限300万ウォン=30万円ぐらい)
例えば、年収400円の場合、100万円以上クレジットカードを利用すると、「使用額から100万円を引いた金額×20%」が控除されることになる。
140万円利用した場合は、
(140万円-100万円)×20%=8万円が控除されることになる。
*2012年の税法改正によって、控除額は15%に引き下げられたらしい。
政策②宝くじの参加権利を付与
2つ目は、クレジットカードを利用すると、宝くじの参加権利が付与される政策。
店舗でクレジットカード決済を行った際に、その決済額が1,000円を超えると、レシートに宝くじの抽選番号が付与される。
抽選回数は毎月1回で、当選金は1億8千万。
これスゴくない?普通に買い物するだけで宝くじが当たるチャンスがもらえるなら、クレジットカード使いたくなるよなー。韓国政府、賢いな。
政策③年商240万円以上の店舗にクレジットカード取扱を義務化
3つ目は、店舗側に対する政策。
キャッシュレス化の推進が進まない理由の1つに、手数料の問題がある。
手数料とは、消費者がクレジットカードを使用した際に、カード会社に支払う料金のこと。(だいたい決済額の5%くらいの支払いを求められる)
これを義務化したことで、コンビニや小売店、レストランなど多くの店でクレジットカード決済が可能になった。
【韓国銀行】によるキャッシュレス普及に向けた2つの政策
政策①汎国民コイン交換運動
これは、2008年に開始された「コインレス社会」の実現に向けた運動で、その名の通り、家やオフィスに眠っている硬貨を紙幣に替えることができる。
回収された硬貨は、コンビニや大型ショッピングモールといった現金取引の多いところに再供給される仕組みになっているのだそう。
でもコレ、なんの意味があるの?
汎国民コイン交換運動が行われた理由は、韓国内に流通する硬貨の量を減らす「コインレス社会」を目指しているためだ。
(原材料が高騰すると、硬貨の製造原価が通貨価値を上回ってしまう恐れがあるとの理由から、コインレス社会が目指されるようになったらしい。)
汎国民コイン交換運動は、キャッシュレスが普及し、引き出しに眠る硬貨を経済に戻すための施策のようだ。コインレスが普及すれば、キャッシュレスも進む。
政策②釣り銭の電子化(パイロットプログラム)
釣り銭の電子化とは、韓国銀行が2017年に開始した、釣り銭をプリペイドカードに入金する施策のこと。
消費者は釣り銭の受け取りを、次の2つから選択できる。
プリペイドカードにチャージ
硬貨で受け取る
大手コンビニチェーンを始めとする多くの店舗が参加し、プリペイドカードにチャージするため、ICカードの販売枚数が急増した。
パイロットプログラムで期待される3つの効果
公共利便性の向上:店舗は釣り銭の用意・保管がなくなり、消費者は硬貨の持ち運びがなくなる
社会的コストの削減:流通する硬貨が減少すると、管理コストが削減される
新しいデジタル決済サービスの推進支援:技術的進歩と共に関連サービスが促進される
韓国で普及している3種類のキャッシュレス決済
クレジットカード
VISA ・MASTER・ JCB・ American Express・ 銀聯(ぎんれん)など
Tマネーカード
交通系ICカード(Suica・PASMOみたいなカード)
ゼロペイ
QRコード決済
手数料がかからない
最後に
今日は韓国のキャッシュレス事情について調べてみたけど、政府の政策がこんなにも成功することってあるんだなーって思った。
日本では、紙幣が偽造されにくいからキャッシュレス化が進みづらいみたいな側面もあるみたいだから、なんとも言えないな。
個人的には、現金で払うの面倒くさいから、よく食べに行くごはん屋さんにはキャッシュレス決済に対応してほしい。
日常的に何気なく使っているサービスでも、こうやって新しい学びにつながることがあるんだなーって改めて思った。
今日はたまたま先輩がああいう事をいって、たまたま前に韓国人と話した事を思い出した。
やっぱり人と話をすると視野が広がったり、新しい発見があったりするよね。
人と話すの得意じゃないけど、頑張ってみよう。
そういえば、最近「人は聞き方が9割」っていうコミュニケーションの本読んだな。
それについてはまた後日。
감사합니다
[参考]