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「~へ」の感覚「英語のそこのところ」第63回
【前書き】
今回、投稿するエッセイは7年前の2015年2月12日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
今回は方向をあらわす際の前置詞の使い方のお話です。(著者)
【本文】
「京へ、筑紫に、坂東さ」っていうのは室町時代のことわざで、「方向」を示す助詞が地域によって異なることを言ったものらしいですが、九州の山猿のわたしはさすがに「~さ、行くよ」とは言いませんが、「~へ行く」「~に行く」というのは、どちらも使う。でも、使ってみると微妙な意味の違いも感じます。
たとえば、
社長がアメリカ「へ」行く。
社長がアメリカ「に」行く。
同じようでちょっと違いますよね。
「へ」のほうは「ただの方向」をあらわしているのに対して、
「に」のほうは「ほかのどこでもない対象」をあらわしている。
「に」のほうがなんだか重々しい。イギリスでも中国でも、フランスでもない、「アメリカ」に行くんだ! って、妙な気合いを感じてしまいます。気合いを入れなくたっていいんだけど。
たぶん、もともとは、まったく同じ意味だったんでしょうけど、日本語の共通語が作られていく中で、「へ」と「に」には微妙な意味の違いが出てきたんでしょうね。
こういう日本語の微妙なニュアンスって、中学受験の児童たちを指導していたわたしの経験では、小4か小5ぐらいで身につく気がします。そう考えると、大丈夫なんですかねぇ、小学生に英語を教えるって。日本語もままならないのに、英語。。。わたしが心配したって始まらないんだけど、日本語も英語も中途半端にならなきゃいいんですが。
それはともかく、英語の微妙なニュアンスという話になると出てくるのが「前置詞」です。とくに、英語を書く段になると途端に迷ってしまう。
あれ? この「~へ」「~に」は、for, to どっち? とか、
「~に」「~で」という場所を表したいんだけど、in, at, on どれ? とか、
悩んでしまう。この辺は、昔は、動詞句として憶えてしまえ、leave の時はfor を使って、go の時はto なんだ! なんて乱暴な指導をしてたんですが、Native English Speakerと付き合いが長くなってくると、そうとも限らないことが判ってくる。前にも書いたことがありますけど、
どういう意味を伝えたい時に、どれを使うべきか?
という基準さえはっきりしていれば、慣用的でない前置詞の使い方もありで、場合によってはNative English Speakerに「巧いねぇ」なんて褒められたりもします。
ということで今回は「京へ、筑紫に、坂東さ」という方向の前置詞の使い分けのお話です。
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