寒露(薔薇とバナナ)移ろいゆく水と花
一年を春夏秋冬の4つに分け、さらに約15日ごとに分けた二十四節気。農業の目安として季節の変化に対応するために中国より伝来したと言われています。
移ろう季節をより身近に感じることができたらと思い、emmyと、MayuAraiによるドリンクといけばなを二十四節気の時季に合わせ、お手紙のやりとりをしています。
今回は第四十三回目の『寒露』、emmyからのお手紙です。
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Mayuさん、こんにちは。
夜が長くなり、露が冷たくなる寒露の頃。とはいうものの今週は急に冷えましたね。
駆け足すぎるほどの季節の進み具合にとても驚いています。
体調崩されませぬようあたたかくしてお過ごしくださいね。
今夜は十三夜の名月ですがそちらのお天気はいかがでしょうか。
少しでも眺められたらと思い、そわそわとお月見を言い訳に夜を楽しむ準備をしています。
十三夜は栗名月とも異名がありますが、前回いただいたお手紙の虫食いの栗の葉がとても印象的でした。美しい取り合わせのなかの余白にぐっと引き込まれうっとりとした時間をいただきました。
お月見といえば名月を眺めるため旅をしたという松尾芭蕉の句も有名ですね。自邸に芭蕉の木を植え、芭蕉庵と名付けていた芭蕉ですが、今回は名前を拝借してバショウ科のバナナを使ってお月見のドリンクを作りました。
すこし熟れて耳たぶくらいの硬さになったバナナにぱらりと純黒糖をまぶし、熱を加えて香りを抽出します。
吟醸の豊かな香りのノンアルコール日本酒にバナナの香りとローズウォーター、しゅわりと香りが広がるように少しの炭酸を加えています。
そろそろ見頃を迎える秋のバラ。意外にもバラはお月見文化が伝来された奈良・平安時代の同じ頃に日本に持ち込まれていたようですね。
万葉集にも記されているほど古くから親しまれていたバラを取り入れ、最後に花びらをふわりと浮かべます。
名月や池をめぐりて夜もすがら
月とバショウとバラ。平安貴族が池で月見酒を楽しむ様子や池に浮かぶ月を眺めながらほとりを歩く芭蕉、秋風に乗って漂うバラの香りをイメージしながらつくりました。
吟醸とバラの華やかな香りにのせて、こっくりとしたまろやかな味わいが残るドリンクです。
今夜はこれに黒糖を使った和菓子を合わせたいなと思っています。
つぎはもう秋の終わりの節気になるのですね・・・!
ゆらぎのあるお天気が続いていますがどうかご自愛ください。
それではまた!
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二十四節気に合わせ、季節に寄り添ったドリンクとお花の交換会をしています。
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