新版画に関する特別企画展「THE新版画-版元・渡邊庄三郎の挑戦-」(弘前市立博物館)
明治に入り、時代と共に廃れていった浮世絵。
浮世絵の近代化と復興を目指した浮世絵師や画家・版画家による作品が、「新版画」と呼ばれるようになりました。
今回の特別企画展では川瀬巴水、伊東深水、橋口五葉などに代表される日本人版画家の作品だけではなく、チャールズ・ウィリアム・バートレット、フリッツ・カペラリ、エリザベス・キースなどの外国人版画家の作品も展示されていました。
大正から昭和初期に描かれた作品は、従来の木版画の技術を継承しながらも独自の発展を遂げていて、単に過去の再現ではない事がわかります。
色使い、版画摺りにおける技工、題材も伝統を保ちながら当時の社会や技術発展を反映していて、どれも見応えがある作品ばかりでした。
時代に合わせて変化しつつも伝統を保つ。
西洋の良いところや技術を受け入れつつも日本的な美意識や感覚を保つ。
日本文化に深い敬意を示した外国人版画家さえも受け入れる寛容性。
そうした精神も感じられる特別企画展でした。
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