~明治日本の産業革命遺産~【世界遺産を色んな角度で見てみよう⑭】
こんにちは!永高の中学受験部屋です。早くも第14回ですね!
世界遺産記事のマガジン連載はこちらからご覧ください。
今日ご紹介する日本の世界遺産は「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」です。
2015年に文化遺産として登録されました。
なんで登録されたの?
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、明治以降の日本の近代化において重要な役割を果たした産業遺産群です。構成資産は九州を中心に全国8県(岩手県、静岡県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県)に点在しています。
(明治日本の産業革命遺産HPより)
このように、地理的な関連がなくても、文化や歴史的背景、自然環境などが共通する複数の遺産を、一つの顕著な普遍的価値を示す遺産として登録されたものをシリアル・ノミネーション・サイトといいます。
日本の世界遺産では、ほかにも「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」や「ル・コルビジェの建築作品」、「北海道・北東北の縄文遺跡群」などがあります。
日本の近代化は、江戸末期から明治にかけて、西洋の先進諸国の技術や知識を導入することによって急速に進められました。非西洋地域で初めて、約50年間という短期間で近代化をなしとげ、飛躍的な経済的発展をとげたことは歴史上重要な価値を持ちます。
主な遺産
【製鉄・製鋼】
官営八幡製鉄所
1901年に操業開始。日清戦争後の軍備拡張・製鉄業振興政策による官営製鉄所として設立されました。ドイツから最先端技術が導入され、国内生産の約80%を占めたとされており、日本経済の礎を築きました。修繕工場などは、現在も稼働中です。
【造船】
三菱長崎造船所
上記写真の電動クレーンは、ジャイアント・カンチレバークレーンというものです。長崎造船所内の機械工場で作られたタービン、船舶用プロペラといった製品や機材を船に積み込む役目を担っています。現在も稼働中です。
このクレーンを含めて4つの構成資産が三菱長崎造船所内にあります。
【石炭】
端島炭坑(軍艦島)
端島は、外観が軍艦に似ていることから通称「軍艦島」と呼ばれています。海底炭坑で採掘された石炭はとても良質で、隣接する高島炭坑とともに日本の近代化を支えました。最盛期の1960年には約5300人もの人が住み、島内には小中学校や病院などが完備され生活を全て島内で賄うことができ、娯楽施設もそろっていました。しかし、主要エネルギーが石炭から石油へと移行したことにより1974年に閉山し、島は無人となりました。
三池炭鉱
三池炭鉱で採炭された石炭は三池港で搬出が行われました。
三井財閥の團琢磨が採炭技術の近代化を進めましたことで知られています。
知っておきたい歴史知識
世界遺産と関連して、日本の産業革命を簡単に確認しておきましょう。
・日清戦争(1894)前後
:製糸業などの軽工業を中心に機械化されました。
→富岡製糸場は1872年に操業開始です。(これも世界遺産に登録されていますね。詳しくは世界遺産シリーズ⑦もご覧ください)
・日露戦争(1904)前後
:製鉄・造船・機械工業などの重工業が発展しました。
→八幡製鉄所は1901年に操業開始しましたね。
知っておきたい地理知識
関連する地理の知識もまとめてみました。
造船所
:瀬戸内海沿岸や長崎県に多くあり、太平洋ベルトに集中している。
例…函館(北海道)、横浜・横須賀(神奈川)、神戸(兵庫)、坂出(香川)、尾道・呉(広島)、佐世保・長崎(長崎)
※地図も合わせて確認しておきましょう!
製鉄所
:製鉄所のある都市も、太平洋ベルトに集中しています。
例…室蘭(北海道)、千葉・君津(千葉)、川崎(神奈川)、東海(愛知)、和歌山(和歌山)、神戸(兵庫)、倉敷(岡山)、呉(広島)、北九州(福岡)
※地図も合わせて確認しておきましょう!
石炭の輸入先
:1位オーストラリア、2位インドネシア、3位ロシア
終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、歴史にも地理にも関係する内容でした。
このように一つの世界遺産から学べることはたくさんありますね。
いよいよ世界遺産シリーズも折り返しです。最後まで楽しく学んでいきましょう!