外からみたウパニシャッド
今更なんですが、私は史学科を卒業しています。その時はよく「潰しがきかない学科だ」とか、「教員免許とらないなら行く意味はまじでない」とかぼろくそに言われて、でも全ての大学を史学科一本に絞って受験したのでした。
言われたアドバイスは全てその通りで笑、何の役にも立たず、卒業時には法人営業の職につき、なんだかんだでヨーガ講師に至って早20年弱。
いやほんとなんで史学科なんて行ったんだろ、と自分でも首をひねっていたんですが、最近思い出しましたよ。
私は、歴史が大好きだったんだ!!
いや、それはずっと前から知っていたんだけど、いよいよ好き度が止まらず、最近本腰を入れてもう一度、一から学び直しています。おかげで本棚が受験生みたいですよ。夢は自分の娘の世界史の先生になることです。ちなみに昔は世界史のノートの出来だけよくて、河合塾に飾られていました笑。ガラスケースに入った受験生のノートなんて、役立たずもいいとこですな。
今はアジア史を紐解いているところですが、宮崎市定著『アジア史概説』(中公文庫)の古代インドの章で、こんな文章に行き当たりましたので、引用します。
「ガンジス平野では一層有力な都市国家が出現し、同血縁の都市は集まって国家連合を形成し、覇王の統率の下にたがいに指導権を争って闘争をした。このような同族連合の中、もっとも有力であったのがクル族、パンチャラ族等でクル族出身のパーリクシタ王朝はガンジス河畔ハスチナブラに都をさだめてもっとも強大であった」
宮崎氏のカタカナ表記のまま載せているのでわかりにくいかもしれませんが、まさしく『バガヴァッド・ギーター』でヨーガの智慧を授かるアルジュナの王朝です。パンチャラ族は、アルジュナ達5兄弟の奥さんドラウパディーの一族ですね。今から3000年前から2500年前であったと推定されています。
いつもはヨーガという側面から彼らに触れてきているわけですが、こうやって改めて史実として歴史の側面から見ると、どうにもわくわくしますね。
また宮崎氏はウパニシャッド哲学についても述べています。
「——ここに梵我一如を唱導するウパニシャッド哲学が成立した。これは今から約2500年以前のことであるが、おそらく世界における最初の深奥な哲学的思惟の産物で、しかもすでに死物と化した古代思想ではなく、近代的ヨーロッパ、とくにドイツの哲学に大きな影響を及ぼして現今に生きていることは注目に値する」
はあ。ため息がでちゃいますね。ほんとに。何千年も前の知識が、今この瞬間まで途切れることなく続いていて。しかもそれが今の私たちの心に響き、私たちの心を輝かせている。なんということでしょうね。
ウパニシャッドというのは、よく奥義書とか秘儀なんて訳されていますが、本来は「近くにあるもの(クセのついた考え)を破壊する」という意味です。つまり私たちが勘違いして無意識に自分自身を苦しめてしまう思い込みを破壊するための知識のことです。自分は取るに足らない存在だという思い込み、誰かがいないと自分はダメになるという思い込み、今は幸せじゃないけどいつかは幸せになれるという思い込み...そんな思いこみをヨーガの智慧(=ウパニシャッド)で解決することが、なんと2500年前から続いていたなんて!
歴史の1ページを飾る必要はないけれど、これからも精一杯誰かの心に火を灯す手伝いをしようと、なんだか改めて身が引き締まった次第であります。
いつか世界史についても伝える機会を設けたい。歴史は最高に面白いからね!!
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