知育玩具は効果があるのか?科学的裏付けは?
Early childhood education is the key to the betterment of society.
早期の幼児教育は社会的を良くするための鍵です。
幼児教育の基礎を作った、マリア・モンテッソーリの言葉です。早期の幼児教育が必要なのは、世の中の親がなんとなーく感じていることですよね。そのため、特にアメリカでは知育玩具の市場が急速に成長していて、2018年には40億ドル(3000億円を超える額)の規模になるとも言われています。
この急速な知育玩具の市場拡大は、親たちの「うちの子どもは成長が遅れているのではないか?」という不安によるもの。多くの知育玩具には怪しげな宣伝文句が付けられているが、疑わしい科学に基づいているか、科学的裏付けが全くない例が非常に多いんだそうです。
実際、親になってみて「ベビザらス」や「赤ちゃん本舗」などにいくと様々な知育玩具が店頭に並んでいるし、Twitterなどでは「知育」に特化した呟きをずーっとしている人がいます。
(「知育」という言葉にあまり良いイメージがなかったので、商品を手に取る事もなかったのですが...)
2018年11月の日経サイエンスに「効果ある?知育玩具」という記事が掲載されていたので、知育玩具の効果の有無をまとめておこうと思います。
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◇ 早ければ早い方が良いわけではない
妊娠中には胎教が重要で、モーツアルトの音楽が良いとか英語を聞かせると良いなどなど言われます。赤ちゃんの学習は、お腹の中にいる時からスタートするのです。
実際に、「赤ちゃんが子宮にいる間に学習すること、音楽が小さな子どもの環境を豊かにする」というのは、科学的にも実証されていることのよう。でも、音楽が胎児に良いという証拠は無いのです。子宮内で音楽を聴かせる製品に関する論文が出ているようですが、この方法で子どもが賢くなったという結論は記載されていません。
さて、赤ちゃんがお腹から出てきて「教育される」ことといえば、言葉を話すことではないでしょうか?
言葉を話し始めるというのは乳幼児の発達の最も重要な節目の一つで、のちの認知機能・作業記憶に結びつけられます。(モンテッソーリはこれらの能力が開花する特定の時期があることそれを手助けすることこそが、幼児教育に重要であることを示しました。)
言葉を話し始めるのは早い方が良いのでしょうか?1982年(今から40年前)に行われた研究では、話し始めるのが早かった子は成長後の知能指数(IQ)が高くなる傾向があることを報告しています。しかし、認知機能や社会経済的な地位などで補正するとその効果は消えてしまうとのこと。早ければ早い方が良いとも限らないようです。
では言語能力を獲得するのには何が必要なのか?
「子どもが住んでいる場所・環境が重要である」と研究者らは結論づけています。ストレスの大きな家の多くは、乳幼児は家庭から十分に話しかけられず、言葉が遅れてしまいます。このことが成長後の様々な面での学業成績の差に変わってくるそうです。
知育玩具を使えば、赤ちゃんの発達は一時的に加速します。が、長期的な能力の維持に関しては科学的には不明なことが多いようです。知育玩具を与える親たちは自分の子どもと知育玩具を与えられていない子どもたちの能力に差はないのに「うちの子が進んでいる」と信じている傾向が高いという研究結果も得られています。
◇ 子どもは遊びながら学ぶ
「遊び」は子どもにとって精神の発達のために非常に大切です。言語や認知・空間認識などの能力を高めると言われていますが、どのように高めているのかはまだよくわかっていません。
子どもが公園で滑り台をしたりブランコをしたり、ボール遊びをしたりする。こんな些細な遊びから重力や物理的形の特徴、運動について学んでいるのです。
娘が1歳の時、ドアを勢いよく閉めたら自分の手も痛くて大泣きしていました。それで彼女は「作用・反作用の法則を学んだんだな」と笑った記憶があります。
こんな日常的な遊びから数の概念、物理現象、時間の感覚などを養っていくのです。
しかし、最近この「時間の感覚」に問題を引き起こすものが...スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなどです。
これらはすごく便利なのですが、プログラムが非常に早く動くため、子どもたちが実世界の進行ペースを把握するのに使っている「体内メトロノーム」に影響を与える可能性があると指摘されています。さらには子どもの注意欠陥につながるとも...
さらにスマートフォンなどは画面依存症を招き、その症状はコカイン依存症との関連が見つかっているそうです。スマホを与えると大人しく過ごしてくれるので、親としては便利なツールですが、子どもへの影響を考えながら渡さないとダメですね。
とまぁ、科学的に示されていること、示されてないこと色々書いてきましたが、最終的には親と直接触れ合って、話したり、一緒に遊んだりするのが一番ということ。
今の時代はそれが結構難しいんですが、できる限り子どもたちと一緒に遊ぼうと思います。
それでは、また!
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