【新型コロナウィルス】研究者の在宅ワーク事情②「研究が止まること」への不安
こんにちは。新型コロナウィルスによる影響で在宅勤務しているママ研究者のえいこです。
前回、研究者の在宅でできることを書き出しました。
在宅でできることは意外とあるなという印象だったのですが、でも研究室に行かずに研究が止まってしまうことはとっても不安なんです。
どうしてそんなに不安なのか...
今回は、在宅勤務が続くことへの研究者の本音をまとめたいと思います。
この記事で書くこと
・任期の間に成果が出せない?
・基本的に早いもの勝ちの競争社会
任期の間に成果が出せない?
日本のポスドクの多くは、任期が3年や5年と決まっています。
ポスドクだけではなく、助教や講師、准教授・教授に至るまで任期が決まっている職種が数多くあります。
准教授・教授レベルでも「特任」とあれば任期つきなので、任期の間に成果が出なければ首になってしまいます。
ということは、ずっと研究の世界で働き続けるためには3年や5年の間に成果を出して次につなげて行かなければなりません。
博士号を取るのに基本的に3年。そこそこの質の論文を書けるようになるまでには3年はかかるということです。
3年で間に合わずに期限を延ばして良い論文を出す人もいるので、最低3年と考えておくべきでしょう。
任期付きの場合はほとんど3年もしくは5年。
この間にやっと論文が1本書けるかどうかという感じなのに、1か月以上の間手が動かせないとなると任期の間に成果が出せない!と焦る研究者もいるのではないでしょうか。
実際に私の研究室でも、実験の手は止められない!ということで緊急事態宣言・自宅待機要請が出ているのにも関わらず実験をしている人が多数います。
研究室で1人でもコロナがでたら、研究室は閉鎖になるにも関わらずです!
「自分はコロナにならない」と過信している人も中にはいると思いますが、大半の人は「今実験の手を止めたら、次の仕事がなくなる!」という不安のなかで実験しているのではないかと思います。
そういった任期付きの研究者の不安を払拭する制度が全くないのが問題。
(っていうか、任期付きの研究者が多すぎる!)
緊急事態で実験が止まってしまった、研究が滞ってしまったとしても雇用を保証する何らかの制度を作ってあると、研究者は安心して研究に取り組めるのではないでしょうか?
いきなり実験を止めろといわれて、数か月かけて準備してきた実験があるよーとか、まだマウスを作っている途中だから交配をやめるわけにはいかないとか。。。
研究者は何よりも実験のことを真っ先に考えてしまいがち。
こんな時に実験よりも自分のことを一番に考えられる環境が、研究者にもあればなぁと思ったりします。
研究者自身が健康で元気じゃなければ、研究なんてできないんですから...
基本的に早いもの勝ちの競争社会
研究とは、一番最初に報告した人、見つけた人の勝ちです。
自分のやっている研究の価値を高めるためには、世界中の誰よりも早く新しい発見をして論文にする必要があるのです。
競争相手は世界で、早さが物をいう世界。
そんな中で一か月も研究の手が止まるということは、同じような研究をしている誰かに先を越されかねないということ。
せっかく自分が新しい発見をしたのに、研究を休むことによって自分の研究の価値が下がってしまいかねないのです。
だから、「緊急事態宣言」が出た今でも実験の手を止めたがらない研究者は数多くいるのです。
そんな中でコロナにかかったら研究もできなくなるので、その精神は諸刃の剣かもしれません。
ロックダウンされて研究所も閉鎖になったニューヨークの研究者たちはどんなモチベーションだったのか、知りたいところではあります。
もっと他のことで悩んでいる研究者もいるかもしれませんが...
こんな状況でも実験の手を止められない、研究者の実情も知っていただけると嬉しいです。
次回は、子どもを保育園に預けられないママ研究者の在宅勤務事情をまとめたいと思います。
それでは、また!