ネコは自分の名前を聞き分けられる
科学者とネコは切っても切り離せない関係があります。科学界で最も有名なネコはなんと言っても「シュレディンガーのネコ」ですね。かのニュートンは猫好きで『プリンキピア』を執筆中、食事は全て飼っていた二匹の猫に与えたという逸話もあります。
科学者はネコが大好きなんです。
今回はその「ネコ」のお話。いつもツンツンしていて無頓着。気の向くまま、自由に行動するネコちゃん。飼い主が名前を呼んでも無視されていると思うのが普通です。が、実は「ネコは自分の名前を聞き分けている」という研究が2019年7月の『日経サイエンス』に載っていました。
どんな実験で検証したのか?まとめてみようと思います。
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◇ ネコは自分の名前を聞き分けているかどうやって検証するのか?
上智大学の齋藤慈子先生は、「ネコが飼い主の声を認識できる」ことを以前報告していました。今回は自分の名前を聞いて反応するかを検証することに...
日本の一般家庭と1軒の猫カフェから合計78匹のネコを集めて検証しました。検証手順はこんな感じです。
① 飼い主にネコの名前とにた響きの単語を4つ繰り返して言ってもらって、ネコがその単語に反応しなくなるまで慣らす
② 他のネコと一緒にいるときに、飼い主にネコの名前を呼んでもらってネコを観察(ニャーと鳴くか?耳や頭、尻尾を動かすか?など)
ネコは飼い主が似た単語を発話した時よりも、名前を呼んだ時の方が明白な反応を示した。ということを2019年4月のScientific Reportsに報告しました。
知らない人に名前を呼ばれたときにどうなるか?を検証したところ、飼い主に呼ばれたときほどではないものの、反応していました。知らない人に呼ばれた時でも、自分の名前を認識していると考えられました。(この実験に関しては、さらなる検証が必要だという指摘もある。)
◇ ネコは自分の名前を自分の名前だと認識していない?!
今回研究を行った齋藤先生は、実験に使ったネコは自分の名前と何かのご褒美や罰を関連づけていて、「自分の名前だ」と認識している可能性は低いとしています。しかし、ネコが人間と同様に「自分自身」を認識する能力を持っていないということを示す証拠もない。
「ネコはイヌと同じように学習がとっても上手。ただ、自分が学習したことを飼い主に示そうとしないのだ。」と英プリンストル大学人間動物関係学研究所の生物学者John Bradshawは言っています。
ネコのツンデレ感が滲み出ている研究ですね。一生懸命研究者が実験を施そうとしても、困らせてしまうのがネコの魅力かもしれません。だからこそ科学者は引きつけられるのかも。
それでは、また!
今回紹介した記事はOpen Accessなので誰でも読めます↓