『長靴をはいた猫』ってどんな話だったっけ?
娘に話せる童話のレパートリーを増やそう。第4弾は『長靴をはいた猫』。
知っている様でなかなか知らない物語なのではないでしょうか?
かかりつけの小児科の病院の絵本コーナーにあって、娘にせがまれて1回だけ読んだことがありますが、すっかり内容を忘れてしまいました。
童話の中では影のうすーい作品ですが、実はあの有名な人が書いていたんです。
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◇『長靴をはいた猫』の作者は『シンデレラ』を書いた人
『長靴をはいた猫』を調べてみると...
元々はヨーロッパの民間伝承ですが、現在、絵本などでよく知られている物語の形にしたのはフランスのシャルル・ペローが1697年に出版したもの。
グリム童話には『靴はき猫』として収録されていたり、シチリア島の民間伝承として猫ではなく狐が登場するものもある様です。
シャルル・ペロー。どこかで耳覚えがあると思ったら...
こちらの記事で一回登場していますね。シンデレラの原作ともされている『サンドリオン』を書いています。
シャルル・ペローは17世紀に活躍したフランスの詩人。元々は法学の学士を取得して弁護士となりますが、弁護士としての仕事は2回くらいであとは詩人としての才能を開花させます。
フランスのアカデミー・フランセーズという国立学術団体のメンバーに選出されます。(アカデミー・フランセーズの役割は「フランス語を誰でも理解可能な言語に純化、統一すること(フランス語の質を維持する)」)
また、太陽王としてヴェルサイユ宮殿を作ったことでも有名なルイ14世にも仕えた様です。
とまぁ、フランス語の由緒正しき文豪として有名なのです。
『長靴をはいた猫』のあらすじ
◇登場人物
粉挽き職人の三男
兄たちに遺産を取られて猫だけが残り嘆く(のちに”カラバ侯爵”として王様の婿になる)
猫
とても優秀な猫。
主人を王様の娘婿にさせる。
王様
優秀な猫を見染め、のちのち貴族にまで取り立てる
◇あらすじ
粉挽き職人が死んでしまい、3人の息子が残され、粉挽小屋、ロバ、猫が遺産として分けられる。
三男は残り猫しかもらえず、「猫を食べてしまったら、何もなくなってしまう」と嘆きますが、猫は「そんな心配はいりません!私に長靴と袋をください。」と言います。
(そりゃぁ食べられたら猫としたらたまったものじゃないですもんね)
猫はまずウサギを捕まえます。王様に「我が主人・カラバ侯爵が狩をいたしまして、獲物の一部を献上する様に言われたのでお持ちしました」とウサギを献上します。
王様は大変喜びました。これを繰り返して王様と猫が親しくなります。
猫は次に、三男をある場所で水浴びをさせることにしました。そこに王様と姫が通りかかります。
猫は「大変です!カラバ侯爵が水浴びをしている間に泥棒に持ち物を取られてしまいました」と嘘をつき、王様と三男を引き合わせます。
(三男からしたら「なんのこっちゃ?」ですが...)
そんなこんなで、「カラバ侯爵のお城」に王様を招待することになります。
猫が先回りして、道で百姓に会うたびに「ここは誰の土地かと聞かれたら『カラバ侯爵様の土地です』と言うんだ!出ないと細切れにされてしまうぞ」と言って回ります。
実は巨人の怪物の土地だったのですが...
百姓たちは王様に「誰の土地か?」と聞かれたら「カラバ侯爵様の土地です」と答えました。
王様はカラバ侯爵の領地の広さに感心します。
(王様はなぜ侯爵の領地を把握していないんでしょう?)
猫はとっても大きなお城着きます。巨人の怪物のお城ですが、猫は怪物を騙してネズミに姿を変えさせて捕まえて食べてしまいます。
王様たちが到着すると、「カラバ侯爵の城にようこそ!」と迎えます。
三男の人柄の良さも伴い姫が三男に惹かれていきます。王様はこれに気が付き、娘婿になってくれないかと申し出る。
三男こと「カラバ侯爵」は姫とその日のうちに結婚し、猫も貴族に取り立てられる様になりました。
『長靴をはいた猫』はなぜ三男を出世させることができたのか?
ここで一つ疑問になるのが、「なぜ、猫は三男を出世させることができたのか?」です。あともう一つ、「長靴をはく意味はあるのか?」。
多分、普通の猫ではダメで「長靴をはいていること」が重要なのではないかと思って調べてみると...
17世紀のフランスでは、「長靴をはいている」=「貴族である」と言う方程式があった様です。
そして「貴族であること」は絶大な権力を持っている証だったのです。
王様は「カラバ侯爵」と娘をすぐに結婚させてしまうのですが、王様にとってはは「ペットの猫にまで長靴を履かせる(貴族であることを示す)」と言う三男の心意気に惹かれたのかもしれません。
百姓たちも猫の言うことにちゃんと従っていますが、絶大な権力を持っている貴族の言うことには逆らえなかったのかもしれませんね。
「長靴をはいている」=「貴族である」と言うことが猫にも通用すると言う、シャルル・ペローなりの時代風刺・皮肉を描いた作品です。
『長靴をはいた猫』の様に人の心を読み取り、とっさに行動できる人が人を伸ばしていく力があるんだなと感じました。
自分だけが伸びていくのではなく、一緒に伸びていくとお互いハッピーになると言うことも教えてくれる作品でした。
娘はどんな反応をするのか楽しみです。
それでは、また!
参考文献