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江戸メシを観て、酒を喰らう。
週末の土曜日に久々原宿へ出向いた。
想像はしていたが、駅のホームから改札口横断歩道の信号待ちも長蛇の列。
表参道に入ると更に向かってくる人の波、また波。
目的地に向かって足を急ぐ。
こちらの記事を見て、蕎麦食推進クラブなるものを始めた以上はこれはなんとしても行くしかない。
蕎麦に関する作品は、5作品と少ないが傾倒している「葛飾北斎」の作品もあるし、食に関する作品が全91もあるとすれば急ぐしかあるまい。
本来は、空いているであろう平日にしたかったのだが、期間も限りがあるので、止む無く土曜日の訪問となった。
表参道沿いに歩いて5分もしない内に「太田記念美術館」の案内ボードが現れ、左折するとすぐに入口に辿り着いた。
🔶太田記念美術館
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エントランス周辺には人気が無かったが、入館するや受付から人がごった返していた。
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入場料1,000円を払いチケット購入し入室すると、1作目の作品から奥までずらっと人の列でびっしりと埋まっている。
最初の作品に目が届くようになるまで5分位待っただろうか?
兎に角、中々動かない。
皆さん1作品ごとに食い入るように観ている。
いざ、自分らの番に回ってくると確かにこうして実物を目に出来る機会も少ないので同じ様に見入ってしまった。
前が詰まっているし、これは仕方ないじっと並ぶしかない。
全作品撮影禁止の為、添付した同美術館のnote記事👆をまずは参照願います。
その上で各々の作品名のアンダーバーをクリック願います。
全作品を鑑賞ましたが、ご紹介は蕎麦の5作品だけとさせて頂きます。
🔸蕎麦
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🔹葛飾北斎「東海道 見附 浜松へ四里八丁」享和4年(1804)
現在の静岡磐田市見附にあった宿場町では蕎麦が名物だったそうである。
眼を凝らすと、看板に「抜きそば」の文字が見える。
これは精製した上質な白いそばを表している。
今で言う更科そば、一番粉だけで作ったそばだけど、発祥は長野で江戸中期に「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」が江戸で店開きした事で人気を博したとされるけど、静岡磐田でも更科そばをウリにしていたお店が当時あったんですね。
尚、「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」は現在の「永坂更科布屋太兵衛」である。
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🔹歌川国芳「木曽街道六十九次之内 守山 達磨大師」嘉永5年(1852)7月
達磨は、インドで生まれ、5世紀から6世紀の頃に中国に渡り、仏教の布教に当たったとされるが、江戸時代、浮世絵の世界ではたびたび描かれており、こちらではとてもユーモラスな描かれ方をしています。
娯楽の少ない時代ですから、浮世絵は当時のメディア媒体としては有効に流通されていて、民衆に笑いを提供したのでしょうね。
こちらは滋賀守山を舞台として描いているそうです。
モリヤマなので、盛りをたくさん食べたというダジャレも掛けてあるようですよ。
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🔹歌川国貞(三代歌川豊国)「当穐八幡祭」嘉永6年(1853)9月
歌舞伎の一場面。
当時は夜蕎麦売りとして夕方から深夜明け方近くまで売り歩く屋台型の蕎麦屋さんがあちこちに出没していたようです。
当時から二八そば、そしてうどんも売っていたようですが人気は蕎麦だったと言われています。
売り歩くには、鍋や丼、お盆、箸などがコンパクトに収納されていた訳で気になるのは湯を沸かしたり、水の補給などはどうしていたのかが気になるところです。
屋台型以外に、常設の店舗型のお蕎麦屋さんは江戸幕末には700店舗くらいあったとされています。
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🔹四代歌川国政「志ん板猫のそばや」明治6年(1873)10月
猫を擬人化して、そばやの様子を店先から店内、厨房の中、蕎麦打ち場まで仔細に表しています。
店先には屋台で天婦羅を口にしようとしている様子や出前に向かう様子など、全面に渡って店員と客の様子が細やかに描かれています。
店内座敷にはテーブルのようなものはなく、畳の上にじかに座って食べていたようです。
時代考証的には、ちゃぶ台が登場するのは、もう少し後のようですけど、ちゃぶ台がその後そば屋など飲食店に置かれたかは不明ではあります。
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🔹歌川国芳「道外十二支 未」安政2年(1855)12月
歌川国芳は、十二支を擬人化して全て描いていますが、ここでは山羊が描かれています。
これ変ですよね。
本来なら未は羊の筈なんですが、江戸時代、羊と山羊は混同されていたようですよ。
いずれにしても、蕎麦屋で山羊が蕎麦ならぬ紙のメニューを食べています。
ユーモアたっぷりで笑えますね。
企画展「江戸メシ」の蕎麦に関する5作品については以上となります。
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その後、延々と並び約2時間強で全作品をつぶさに鑑賞ることが出来た。
なんと言っても、作品ひとつひとつに描かれている様子や文字が虫眼鏡が欲しい程、細かく描写されていることに驚かされる。
sakuさんが最近の記事「もしも猫展」の中で歌川国芳を中心として猫を擬人化して様々なスチュエーションの浮世絵が展示されてる様子を描かれてますので、是非ご覧ください。
コメント欄で「ウォーリーを探せみたいに面白い表情や仕草の猫さんを探したりして」と返信いただきました。
この表現、実に的を得ていて、言い当て妙ですね。
浮世絵が娯楽の中心的な位置づけで、浮世絵師は人気稼業だったのだろうと改めて思う。
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さて、観るものは観たので蕎麦屋さんに向かおう。
表参道を更にすすんでいく。
明治通りとの交差点には、どこを見ても人の波。
歩道を渡るにもぶつからずに歩くのが大変。
こうして、その後裏路地をいくつか曲がり、何とか目的地に着いた。
そこは、「玉笑」という超人気蕎麦店。
手打ちそばのカテゴリーで、今や食べログ全国2位となっている。
But,貼紙がしてある。
「店主、怪我により天ぷらは作れません。」
なに~、これは止めておこう。
ではどうするか?
夕刻も16時にほど近い。
それでは、新宿に向かうとしよう。
歩き疲れたし、くいっと呑って行こうではないか!
ということで蕎麦屋さんから改め昔の馴染みの店へ。
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🔶郷土料理 くらわんか
カウンターに座り、フッと息をついた。
まずは、喉を潤して本日の疲れを癒そう。
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ホワイトエール
クラフトビール2種のうち、こちらをチョイス。
刺し盛り、野菜サラダ、天ぷら、さつま揚げを所望する。
すると、続々と到着。
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これが美味いんですよ。
ビールをくいっと呑み干したら、ここはポン酒ですね。
青森の銘酒 「田酒 純米 華吹雪」をオーダー。
吞み口が実に柔らかい。
日本酒度±0という、食べ物の邪魔をしない、主張もしない実に穏やかだけど、アテがなくとも日本酒本来の味が楽しめるとてもバランスの取れたお酒だ。
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うれしーい。
これまた、気がつけばカウンタースタッフと話し込んでいる間に呑み干してしまった。
さて、次はどうするかい。
秋田 「雪の茅舎 山廃純米吟醸」
これは、さらに口当たりが滑らかだ。
このお酒も日本酒度±0。やっぱり!
いかん、いかん、スピードダウンしなければ。
冷水ももらったので、融和しながら味わうとしよう。
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ボチボチ、食べものも尽きそうだ。
乾き物でもいただくとしようか。
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呑みついでだ。
とどめを刺そう。
高知 司牡丹「船中八策」純米酒
坂本竜馬が船中で考えた策が由来のお酒。
おー、これはヘビー。
坂本竜馬らしい力強さだ。
鰹の塩辛を取ったが、アテとしては相性が悪かった。
強い物同士でぶつかり合ってしまった。
坂本竜馬の勝ちというところか。 ( ´艸`)
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ご飯をもらってシメとしよう。
塩辛でさくっと食べ切ってしまった。
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店名の由来
江戸時代、大阪の淀川を上り下りする“三十石船”を相手に「酒くらわんか、めしくらわんか」と呼びかけて往来した、もの売りの小舟がありました。
店名は“くらわんか船”で使われていた染付の食器「くらわんか茶碗」にちなんでつけたものです。
古伊万里の染付が主に使われていたということです。
日本各地より旬の素材を使った郷土料理をご紹介しています。
東京にいながらにして、「味のふるさとめぐり」をお楽しみ頂ける贅沢な店です。
尚、このお店の2階には同経営で「大庵」という手打ち蕎麦屋さんもあります。
(なんで行かなかったの?と非難の声が)
いやいや、こちらは次回のお楽しみということで。
お会計を終え、ドアを出るとお地蔵さんが帰りのご挨拶で整列している。
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いや、撮影が変な角度に。
最後に、西口アルタの上のビジョンに映し出されるデカ猫ちゃんからの挨拶をもってお別れとしましょう。
尚、これは昨年11月に撮影したものです。
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