辛くても歩みを止めなかったのは、絶対に見たい未来があったから【5周年記念・創業者インタビュー】
「オープンイノベーションという文化を作る!」という熱い想いと共にスタートしたプラットフォーム『AUBA』。2022年2月にローンチ5周年を迎えました。
大きな旗を振り、踏ん張りながら歩んできたこれまでの道を、eiicon company代表の中村 亜由子(なかむら あゆこ)と共同創業者の富田 直(とみた あたる)は「ずっと辛かった」と振り返ります。
今回はコロナ禍でも「開発と採用の手は止めない」と決断し、ひたすら前に進み続けた中村と富田に、eiiconの5年間を振り返ってもらいました!
痛みが麻痺するくらい愚直に取り組んだ
ーー『AUBA』のローンチから5年が経ちました。振り返ってみるといかがですか?
中村:ずっと辛かったですね…。
私たちは「文化作り」をやろうとしていたのですが、文化って、そもそも数人の人間が「作ろう」と言って簡単にできるものではないんですよね。
しかも「オープンイノベーションという文化を作りたい!」と言っても、同意・賛同してくれる人がいないから、全部自分たちでやるしかない。当然、資金もないという状態でした。
富田:だから、本当は表に出るのが心の底から苦手な中村が広告塔になったんですよね。
中村:そう。本当に苦手だったけれど(笑)、対価と効果のバランスを考えたときに一番安くて最適な広告だったので、「無理をしてもやるべき」と自分で決めました。
富田:最初は「大企業に腰掛け状態でスタートしたキラキラベンチャー」と叩かれたこともありました。正直辛かったけれど、僕たちはこれをチャンスだと捉えたんです。
「理由は何であれ、名前を知ってもらえたらラッキー」と。少し感覚がマヒしていた気がしますね(笑)。そんな感じでスタートして今があるのは、共同創業者の僕たち3人(もう一人は現在lotsfulという事業を推進する 田中みどりさん)が同じような熱量で歩んできたからでしょう。
中村:私たちはタイプこそ全然違うけれど、痛みが麻痺するくらい愚直になれるところが共通していました。目指している方向が、言葉を交わさなくても一緒だったんです。
そんな私たちを中心に、同じ想いを持ったメンバーが集まってくれて、追い求めていた風景の断片が見えてきた矢先でコロナ禍になってしまって。
踏ん張って踏ん張って、数え切れないほどの山を超えて「文化を作れたかも」と思えたところだったので、「ああ、これは実は幻だったんじゃないか」と現実をつきつけられたのは本当にキツかったですね。
見たい世界を諦めたくないから、歩みを止めない
ーーそんなキツかったコロナ禍でも、「採用と開発は止めない」と最初に決めたそうですね。
中村:リビングデッドは死んでいるのと同じですからね。文化を作りたいのに、成長を止めて今いるところに立ち止まったら、それは諦めるのと同じじゃないですか。私たちが見たい世界が見られなくなります。
なので、元々決めていた採用と開発の計画は変更することなく、そのまま遂行しました。当時は『AUBA』『TOMORUBA』のサイトをリニューアルするため、開発費をかけていたタイミング。見込んでいた受注がなくなり、正直かなり厳しい状態でしたが、、、
そのことを度外視しても、コロナ禍は経営者として一番辛い状況でした。これまでも色々と辛いことはあったけれど、メンバーとその家族を守れないかもしれないと思うと、本当に辛くて不安でたまらなかったんです。
せっかくeiiconという船に乗ってくれた大事な仲間を、路頭に迷わせるわけにはいかない。この船に乗ったことが、彼らの人生にとってマイナスになってはいけない。
そう思うと、なおさら「開発と採用を止めてなるものか」という気持ちが強まりました。
ーー一方で、会社全体の雰囲気が変わったそうですね。
富田:コロナ禍は、結果としてみんなを一枚岩にしてくれました。
2020年5月、受注がドンと下がった瞬間があって。そこで「このままでは会社が危ない」とみんなが危機感を覚え、eiiconが「生きるか死ぬかのスタートアップ」だと強く自覚したんです。
「自分たちが頑張らないと!」と本当の意味で思えたのでしょう。
その後、受注は復調しましたが、一人ひとりが会社のことを自分ごととして深く捉えられるようになりました。皮肉にもコロナ禍の後押しで、eiiconは会社としてより強固になれた気がします。
時代がやっと追いついてきた
ーー近年、オープンイノベーションという言葉が当たり前に使われるようになってきましたね。
中村:そうですね。2008年、日本にオープンイノベーションという言葉が入ってきた当初はなかなか理解されず、特に大企業からは懸念を示されていました。
「よく分からないけれど、大企業がスタートアップとコラボするものなんでしょ?」と思われていたし、実際そういうオープンイノベーション“ごっこ”が横行していたんです。
そんな市場もまだでき上がっていないタイミングの2017年に、eiiconは参入。当時「理論」だと言われていたオープンイノベーションを、おそらく私たちが初めて「手段」だと言い切りました。
2018〜2019年あたりになると「オープンイノベーションって手段だよね」と言う人も増えてきたので、私たちとしては「しめしめ」という気持ちでしたね(笑)。
ーー時代がやっと追いついてきた、という感じなのですね。
富田:始めこそ訝しげに見られていたオープンイノベーションですが、今の日本にイノベーションが必要なのは明らかですし、事業会社も各々そう思っているでしょう。
第4次産業革命によりあらゆる業界で技術革新が進む今、1社だけの画一的なもの作りには限界があります。それよりも、複数企業がコラボして新しいものを生み出す方が、イノベーションのスピードを早められると考えます。
例えばカーボンニュートラルにどう対応するか、DXをいかに推進するか、そしてコロナ禍の課題をどう解決するか。これらにおいてオープンイノベーションは最適な手段で、実際、多くの企業が大幅な予算を投入しています。
そう考えると、僕たちがサービス開始当初から掲げてきた目標の「文化を作る」は叶えられているのかもしれません。まさに、時代がやっと追いついてきたのですね(笑)。
オープンイノベーションで日本の未来を作ろう!
ーーオープンイノベーションの最終的なゴールは、どのような状態だと考えますか?
中村:オープンイノベーションという言葉がなくなっている状態ですかね。
先述した通り、オープンイノベーションはイノベーションを起こす上での一つの「手段」であって、その中には資本業務提携やアクセラレーター、M&Aなど細かい選択肢がいくつも内包されています。
なので将来的には、オープンイノベーションという言葉を使うより先に、より具体的な連携のあり方から議論を進められるのが理想ですね。
また日本においては、世界各国と手を組める状態になるのが望ましいと思います。例えばアフリカの人口増大は多くの方が知っている課題ですが、彼らの負を解消する事業をグローバルの力で生み出せたら、新たな世界が見られそうです。
富田:そんな世界を見るために、今eiiconは爆速で事業計画を引き直しています。
詳しいことはまだ言えないし、周りから色々と言われている部分もあるけれど(笑)、実現したい未来のために絶対遂行したいです。
ーー大変そうですが、楽しみですね。最後に、これから仲間になってくれる方にメッセージをお願いします!
富田:eiiconはオープンイノベーション業界の中で、プラットフォーマーという唯一無二の存在です。そこで文化を作る礎になるのは、なかなかできない経験だと思います。
泥臭くて大変なことも正直あるけれど、一緒に文化を作りつつ様々な企業、そして日本のイノベーションを支援しましょう!
中村:eiiconの事業に取り組むことは、オープンイノベーションで日本の未来を作っていくことです。それが自分の人生のプラスになると思える人は、ぜひ仲間になってくれると嬉しいです。
イノベーション創出の現場に関わりたい人には、間違いなく面白い現場だと思いますよ!
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