AIの普及により、ベテランの「匠の技(経験値)」が不要となる未来が待つのなら、若手は苦労して業務経験を積まなくてもよくなるのかもしれない
自身が馴染みの深いマーケティングの世界でもAIが普及し始めており、徐々に「人間の頭脳やアイデア」よりも
・データが示す正解に従う
世界に入ってきています。マーケティングではもう何十年も同じこと、
・チャネル統合
・パーソナライズ
・1to1
を目指して、ソリューションが開発され導入が進められているわけですが、その中の機能としては
・メールの頻度
・メールの件名
・メール送信時間
・各チャネルの組み合わせ
・メールの内容(新製品紹介、クーポン、セールなど)
などはすでにAIによって「自動化」されつつあります。
こうなると、それまで人間が勘と経験を頼りに正解に近いものをジャッジしてきたものが、
・データから推測される正解に限りなく近い選択肢
を自動で決めてくれるようになります。つまり
・人間の勘と経験が不要になる世界
になりつつもあります。
また、営業(セールス)の世界においても、AIによって
・ファーストコールのメッセージ
・コンタクトする頻度
・掘り起こしまでの期間
・営業プレゼンの組み立て
などがAIによって「アドバイス」されます。仮に経験的に「違和感」があったとしても、データとしては「正しい」ものになるわけです。ここでも「人間の勘と経験」よりもデータが優ります。
過去30年ほどは、このような「勘と経験」を磨くために試行錯誤しながらベテランになってきたわけで、それはつまり「学習によって得た唯一無二の判断材料」でもあったと思います。しかしAIの普及により、こうした
・ベテランの「匠の技(経験値)」が不要
になっていくのだろうと推測されます。そのような時代に、若者はどんな技術を磨くべきでしょうか。
ざっくり言えば、
・判断=頭脳やアイデア
は不要になり
・対人関係=コミュニケーション能力
だけが唯一無二の経験値になるのではないでしょうか。
技術職の世界では
・「作る側」と「使う側」という区別が在るので「作る側に回る」
という成功法則が成り立つと思いますが、ソフトスキルの場合は
・判断という要素以外のモノの向上
が必要になってくるのではないでしょうか。言ってみれば
・同じデータを使っているのに、なぜか売れる人
というのは、そのデータの使い方=コミュニケーション能力(単にお客様との会話というだけでなく、広告コミュニケーションのような1対多も同様)の違いなのではないでしょうか。そのためには何十年も下積みを経験する必要はなく、自分の持ち味や強みを伸ばして武器にしていけばいいというわけです。
もう一つあるとすれば、データから読み取れる事実から「考えられる次の一手のアイデア」でしょう。データはデータ、事実は事実、
・で、どうする?
に答えるアイデアはいくらAIといえども(現時点で想定しうる限り)出してはくれません(示唆出しすらすぐに出るようになる気もしますが)。そこの
・事実を線で繋いで見たときに見える、創造の世界
だけは、磨いていく必要があると思います。もっとシンプルに言うと
・「知っている」より「創造的に考える」
能力が必要になる、ということです。
逆に言うと、これまで「勘と経験」が価値であったベテランはその強みを失うわけで、しかもいまからコミュニケーション能力(他者と関わる能力)を磨くというのは困難でしょう。
今現在のベテランにとっては、「勘と経験」で乗り切るか、コミュニケーション能力を改めて磨くか、いずれにしてもこれまでの延長上にキャリアは存在しない(存在するのが難しい)状態になっていくのだと思います。