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【毎日映画レビュー】「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」とアクションにノる気持ち
【1月11日鑑賞日記】
2023年公開、阪元裕吾監督「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」を初鑑賞。
だらだらと日常を送っているようで、裏では組織に雇われた冷徹な殺し屋を営む一見普通の女の子コンビと、彼女たちの殺し屋としてのポジションを狙う、うだつの上がらないアルバイト殺し屋兄弟の抗争を描いたバイオレンスアクション。
新作が出るたびに話題になる人気シリーズなのは知っていたが、1作目を半年前くらいに後追いで見るまでスルーしてた。(反省)
1作目を見ての印象は、作品の持つ独特のゆるさに正直苦手意識が拭えない作品、というものだったが、ポッドキャスト「深めるシネマ」の相方がこのシリーズについて語ってみたいと言うので再挑戦。
が、結果としてはやはり1作目の印象は覆されず。
「日常はゆるゆる、アクションは残酷でキレキレ」という、アニメや少年漫画テイスト溢れるギャップが熱狂的な人気を得ている理由なのはわかる。
しかし、普通の女の子がだらだらご飯を食べている様子を眺めて癒やされ、そしてそんな彼女たちがためらいもなく人を殺す姿に萌える(死語?)というフェティシズムを残念ながら持ち合わせていない僕の目には、主人公たちのバイトや日常シーンがなかなかに退屈なものとして写ってしまう。
オープニングで描かれるお話の着火点である、「あいつら殺したら自分たちが正規の殺し屋の座につける!」という殺し屋兄弟コンビのエピソードから、その解決となるクライマックスの対決シーンまでをそのまま繋いでもまったく違和感がないほどお話に中身はなく、キャラクターが深堀りされることはない。
「人物描写」はそこまで深くされず、多くのアニメや漫画のように「キャラ付け」がされていく。
もちろんアクションはすごい。
リアルな肉弾戦が見れるアクション映画は大好物だし、前作も含めて本シリーズで体現されている格闘アクションは間違いなく超一級品。(何度も『おお〜』と声が出てしまうほどには迫力がある)
ただ、僕は本シリーズの肝心の格闘シーンをも、どうしても冷めた目で見てしまう。なぜだろうか。
本作ラストの格闘シーンを見ている際、この理由が少し分かってきた気がするので言語化してみるが、それはスクリーン上で起きている激闘にこちらの気持ちが乗らないからだ。
「戦い」ではなく「演舞」を見ている気持ちに近い。
これはやはり脚本に原因があると思う。
主人公たちが戦っている理由や感情が日常パートで「キャラ付け」以上のものとして描かれないので、肝心の格闘シーンでカタルシスが得にくいのだ。
僕は普段ヘラヘラしているあの2人が、本当のどん底まで落ちるのを期待してしまう。
見たいのは、あのゆるゆるした日常がもう元通りにならないほど壊される瞬間なのだ。
同じくアクションの迫力で人気を博している作品に「ジョン・ウィック」シリーズがあるが、観客があのアクションに魅了されるのは、格闘の振り付けがすごいからだけじゃない。彼の犬(=日常)が無惨に殺されたからだ。
本作には一応、対決する双方の殺し屋コンビに、クライマックスの対決へ向かわせる動機付けシーンが存在するが、これが実に中途半端だ。(特に主人公側の動機づけが半分ジョークとして描かれており、ゆるい)
もっと徹底的に彼女たちの日常が破壊される様子が描かれれば、終わりのない「ゆるゆる日常」パートもかけがえのないものとして輝き、さらに劇中のある登場人物の台詞「あいつらグチョグチョにしてください」という台詞も際立ってくるはず。
だが映画は主人公2人の「終わりなき日常」を重要視するあまり、そこまで足を踏み入れない。
作り手的にはシリーズを続けていく上で、そこまでシリアスな展開に向かわせる気はないのだろうし、そのゆるさこそが作品の魅力として人気を博しているのだろうから、余計なお世話な視点だろうが、僕はやっぱりアクション映画でもドラマが見たいのだ。