見出し画像

シンポジウム「女性監督は歩き続ける」をしますよ。

気づけば秋

なかなかコラムを書くことができず、せっかく8月の終わりに行ったソウル国際女性映画祭のことも書けないまま、気づけばすっかり秋、なぜこんなに忙しかったかというと、東京国際映画祭でシンポジウムを行う準備をしていたからです。

これまで、映画をつくる女性たちがゆるやかに繋がる場が作りたいな、コミュニケーションの場があったらいいなと思い、意見交換会をしたり、Bandアプリに試験的にグループを立ち上げてみたりしていましたが、なかなか一人でぼちぼちやっていても前進しないところがありました。
いっそのこと、映画祭の場でと、自分のやりたい放題の企画を提出したところ、今年からウィメンズ・エンパワメント部門が新設されるということで、やってみようということになったのです。
しかし慣れないことで6月からてんやわんや。さらになぜか官邸にも行ったり、子どもたちが風邪をひきまくったり、ソウル国際女性映画祭にも行ったりと、気づけばもう、開催は目の前。
やっと、当日が見えて落ち着いてきたところです。

今回のシンポジウムは丸一日に目一杯いろんなことを詰め込んだうえ、資料ブックレットまで作成しました。この春から個人的に女性監督作のリスト作成をしていたので、それを成し遂げよう!という目論見でした。我ながら欲張りすぎです。
下記が今回のシンポジウムと、ブックレットの内容です。

第37回東京国際映画祭 ウィメンズ・エンパワーメント部門シンポジウム 「女性監督は歩き続ける」
Symposium on Women's Empowerment: Women Directors Keep Paving the Way

11月4日[ 月・祝 ]10:00-17:00
会場:東京ミッドタウン日比谷 BASE Q
入場料: 無 料(事前申込制)
※場内お子様連れ可、託児・見守りサービス・キッズスペースあり

オープニングミニトーク【東京国際女性映画祭の思い出】
挨 拶: 安藤裕康(第37回東京国際映画祭チェアマン)
ゲスト:クリスティン・ハキム( 俳優・プロデューサー)
聞き手:近藤香南子

上映『映画をつくる女性たち』監督:熊谷博子 (2004,103min)

女性監督クロストーク(4部構成)
[第1部]道を拓いた監督たち
登壇者:熊谷博子、浜野佐知、松井久子、山﨑博子
聞き手:森宗厚子( フィルム・アーキビスト、広島市映像文化ライブラリー )
[ 第 2 部 ]道を歩む監督たち
登壇者:佐藤嗣麻子、西川美和、岨手由貴子、ふくだももこ、金子由里奈
聞き手:近藤香南子
[ 第 3 部 ]ウィメンズ・エンパワメント
登壇者:ジェイラン・オズギュン・オズチェリキ(トルコ)、オリヴァー・チャン(香港)、甲斐さやか
聞き手:アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ( 当部門シニア・プログラマー )
[第4部]女性映画監督の未来+Q&A
登壇者 : 1、2 、3 部の監督たち
聞き手 :児玉美月氏(映画文筆家)

スタッフ
シンポジウム企画・プロデュース:近藤香南子
公式ブックレット編集:月永理絵
公式ブックレットデザイン:中野香
制作協力:田澤真理子
当日制作協力:坂野かおり、角田沙也香、中根若恵
当日託児:in-Cty 合同会社
当日記録:木下雄介、木下笑子、矢川健吾

豪華!

ブックレット目次
東京国際女性映画祭を振り返る   
  東京国際女性映画祭上映作品一覧   
  女性活躍の場の創造 ――髙野悦子の果たした役割 | 高崎郁子   
  東京国際女性映画祭とその時代 | 松本侑壬子   
  再録インタビュー 髙野悦子に聞くー浜野佐知『女が映画を作るとき』第五章「早く生まれ過ぎた世代」から‒

日本の女性監督たちのこれまでとこれから   
  日本の女性監督作品一覧    
  日本映画における女性監督の歴史を再考する
  ――戦前から1990 年代まで | 森宗厚子   
  「はかなさ」に抗って
  ――女性たちの実験・自主制作映画のこれまでとこれから | 中根若恵   
  知られざる女性映画監督・笹木一子 | 鷲谷花

豪華だ!

ブックレットのあとがきに、企画にあたっての気持ちをまとめたので、ここに転載します。

シンポジウム「女性監督は歩き続ける」にあたって


今年の2月20日、家事育児や仕事の間を縫ってなんとか駆けつけた国立映画アーカイブで『映画をつくる女性たち』を観て、スクリーンで語る女性映画人に「かっけ〜!」と思うと同時に、今まで私はどうしてここで話している女性たちに出会っていなかったのだろう、とふと思いました。

髙野悦子さん、大竹洋子さん、小藤田千栄子さんがカネボウ国際女性映画週間について語った座談会が掲載されている「女性監督映画の全貌」(パド・ウィメンズ・オフィス)は大学生当時手元にあったし、上京したときには東京国際女性映画祭もまだ開催されていました。助監督として参加した『赤い点』(宮山麻里枝監督)も上映されたのに…。

高校生の時に河瀨直美さんが現れ、大学の時にはタナダユキさんや西川美和さんがデビュー、『桃まつり』に知人が参加したりと、当時の私は髙野さんたちが切り拓いた道の先ばかりを見ていたのでしょう。

子育てをして40歳を過ぎて、人生の折り返し地点に立った時に、自然ともっと先のことを考えるようになりました。コロナで収入が無くなってしまうフリーランスの働き方や上がらない報酬、子どもを産むと遠ざかる撮影現場、なくならない性加害。こうしたことを、そのままにできないなと、ちょこちょこと手探りで動いている矢先の、髙野さんとの出会い直し。髙野さんとその仲間たちが切り拓いてきた道について、もっと知られてほしい、私も勉強したい。そんな気持ちからスタートした企画です。

そして、東京国際女性映画祭当時あったような、女性映画人たちのコミュニケーションの場が映画祭の中にふたたび生まれることをとても嬉しく思っています。これを機に、新しい出会いと緩やかなつながりがどんどん増えていきますように。来年からは、海外の女性監督たちにももっと話を聞いてみたいとも思っています。また、こうして女性監督の歴史を振り返ることができるブックレットを作ることができました。素晴らしいご寄稿とともに、これまでの映画における女性たちの(とってもハードな)道のりを知ることができます。社会の変化と女性監督の状況の関係について考えながら、リストを読んでみてください。

浜野佐知さんの著書から転載させてもらった髙野さんのインタビューに、公的な委員会の委員を嘱託されて女性が自分一人だと、特に関心がなくても女性を代表して話さなくてはならないが、女性が増えれば、自分の関心のあることをもっと話せる、というくだりがあります。映画をつくる女性監督たちにも、“女性ならでは”や“女性を代表して”ではない、ひとりひとり異なる視点や表現がありますよね。今はこうして「女性監督」について性別二元論で半分に分けて取り上げているけれど、遠からず女性の数が男性の数と同等になることで、女性、男性、またそのどちらでなくとも、どのような存在でも、映画の世界がひとりひとりの物語が大切にされるような表現の場所になりますように。

そのためにも、まだまだうるさいくらい女性、女性と言い続けなくてはいけないのでしょう。先人たちを見習って、声を上げ続けなくてはと思います。

シンポジウムの企画制作、またブックレット作成にあたって本当に多くの方に助けていただきました。この場を借りて、御礼申し上げます。

近藤香南子


おかげさまで200枚以上の事前受付枚数はソールドアウトです。良い内容になるよう準備中です。どんなシンポジウムになったか、記事なども出ると思いますが、またこちらでもレポートしますね!

優しい色合いが気に入っているチラシ
上品でとっても素敵なデザイン♡


いいなと思ったら応援しよう!